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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第十七話 グリンメルスハウゼン子爵


やっとグリンメルスハウゼン子爵の話に、ヤンが出るのはいつの日か。

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第十七話 グリンメルスハウゼン子爵

帝国暦477年12月27日

■オーディン    ノイエ・サンスーシ  ベーデミュンンデ侯爵邸  テレーゼ・フォンゴールデンバウム

 昨日は悲しいことがありました。弟が生まれそして死にました。取り乱し酷い状態でしたが父様母様によって慰められ勇気付けられました。今日から又頑張ろうという気力がわいてきました。

 朝起きると父様母様が見守ってくれていました嬉しかったです。
小声で父様が『テレーゼや此からのことを思うのであれば年明けにもグリンメルスハウゼンに会ってきなさい』と言ってくれました。私は『はい』と返事をしました。

その後支度をして朝食を食べながら赤ちゃんのお墓はどうなるのと聞くと皇室専門の墓地に埋葬されたとのことです、早いと思ったら生きられなかったので早く天国へ送ってあげるとのことでした。そんな風習があるのかと思いました。
取りあえず午後にお参りに行き冥福を祈りました、人生ってむなしいね。


帝国暦478年1月1日

■オーディン    ノイエ・サンスーシ    テレーゼ・フォンゴールデンバウム

 新年になりました。今年こそは良い年でありますようにと大神オーディンに祈りました。
さらに元日本人として初日の出を見ながら天照大神に祈願しました。


 新年ですので身支度をした後いつもの通り、黒真珠の間で新年パーティーです。
喪中の習慣がないのか或いは帝室としての義務でしょうか、父様は若干思い込んだような顔で笑顔を無理に作って居るようです。

私としては欠席したいのですが義務ですから仕方がありません。いくら転生者でも今の六歳児の精神がメインですので、身近の死にはメンタル面で非常に辛いです。
皆さん王子死産を知っていますが、さすがは貴族神経が図太いかライバル死んで嬉しいのか、全然平気で談笑してますよね。
 兄上は軽いため息を吐きながら談笑に応じています。

マグダ姐さん、(いやねお姉さんと言うより姐さんじゃないかと我ら6人組では呼んでるんですよ)とヒルダお姉さんが来てくれて慰めてくれます、因みに敬語は止めてと言ってるんですが、正規の時には矢張り敬語なんですよね。

「皇女殿下この度はご心中お察しいたします」
「男爵令嬢お心遣い痛み入ります」
「皇女殿下のお心を思うと胸が痛みます」

「伯爵令嬢お心遣い痛み入ります」
取りあえずの社交辞令をして少し離れた所で雑談。
普段は敬語なしでお願いしているのです。

「弟さんは残念な結果だったわね」
「死産だそうですね」
「そうなのです、外因的なことを聞いたのですが正真正銘の死産だと母から聞きました」
「気を強く持ちなさいね私も出来る限りのことをしますわ」

「私もお手伝いできることはします」
「お姐さん、お姉さんありがとうございます、頑張りますんで今年もよろしくお願いいたします」
「ええ今年もよろしくね」
「今年もよろしくおねがいします」

「そう言えばお姐さん、グリューネワルト伯爵夫人とお友達になったそうですね」
「ええアンネローゼがみんなから爪弾きにされて気の毒で母性本能を擽られましたわ」
「伯爵夫人はどのようなお方なのですか」

だいたい原作で知ってるけどね、男爵夫人の見識を聞きたいのがね。
「私も聞きたいですね」
「彼女は凄く大人しくて物静かで優しく料理も上手よ」
「綺麗な方ですよね」
「そうですね」
 
「テレーゼ様〜」
「クラちゃんブリちゃんリアちゃんエルちゃんカロちゃん」
「今年もよろしくおねがいします」
「今年もよろしくおねがいします」

ワイワイしながら新年は始まっていったのです。


帝国暦478年1月7日

■オーディン            テレーゼ・フォンゴールデンバウム

 今日この瞬間こそ待ちに待った時、父様が会いに行けと勧めてくれたのだ全身全霊をかけ力を見せよう。果たして鬼が出るか蛇が出るか、グリンメルスハウゼン爺さんの裏の顔が有れば正体を見せてもらえるか正念場だ。


■オーディン  グリンメルスハウゼン子爵邸    リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン

 本日テレーゼ様と初めて会談する、私が見てきた限りテレーゼ様は大器だ。年齢不相応の冷静さ知恵も有り機敏も効き政治経済歴史軍学等に多大まれなる興味を引いている。この姿は幼き頃の陛下を彷彿とさせるものじゃ、儂も久々に朝から興奮しておる新たな昇竜を見つけたのかも知れんからな。
テレーゼ様がいらっしゃったのお手並みを拝見させて貰いましょうかの。


■オーディン  グリンメルスハウゼン子爵邸    テレーゼ・フォンゴールデンバウム

「皇女殿下このような老人の元へ行脚頂き名誉この上なき事、誠にありがとう存じます」
「グリンメルスハウゼン子爵この度はお招き頂き誠にありがとう存じます」
「ささどうぞ」
「痛み入ります」
ふむ普段と違う客間に通されたわ秘匿の意味がある訳だね。

「皇女殿下におかれましてはこの老人に何をお聞きに成られたいのでしょうか?」
「父様の若き頃の思い出話をして頂きたくて参りました」
「皇帝陛下のお話でございますか」
「そうです」

「皇帝陛下は若かりし頃よりご聡明であらしゃりましてございます」
「そうでございましたか」
「皇太子時代においいても其れは其れはご立派でございました」
ふむ試してますね、目が面白そうに見えますよ。そろそろ聞きますかね。

「そうですね若き頃は優秀な兄、才気に富む弟の間で無気力凡庸愚物として自身を韜晦なさっていたのですからね、その為に町の飲み屋の店主に借金を作り皇帝次男が土下座したんですから、天晴れとか言いようがありませんよね、其処まで出来るお父様を尊敬しております」

「・・・・・殿下」
言い過ぎですかね。
「そろそろ相談相手が欲しかったのです、腹を割ってはなせる相手が」
「其れが私だと仰るのですか?」

「もちろん、父からグリンメルスハウゼン子爵へ会いに行けと勧た事もありますが、宮廷や貴族の噂話や動向を長年にわたりお調べしているとかなんとか」
「さようでございますか」
「そろそろお互い猫をかぶるのは止めませんか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

お互いで睨めっこです
「ふふふふふ」
「ははははは」
「殿下には負けましたわ」
「勝ちましたね」

「して何をお聞きしたいのですかな」
「グリンメルスハウゼン子爵貴方は父の影の部門を取り仕切って居ますよね」
「はてさて」
「ここへ来ても知らんぷりですか、色々なスキャンダル等を調べてらっしゃるそうですわね」
「ふむ、よう知っておられますな」
「宮廷内で話を聞いていて次第に判りましたよ」

「さて殿下はこの老人に何をさせたいのですか」
「取りあえずは」
「第一に父が華麗に滅べは良いと考えていた帝国再生準備における人材確保」
「第二に帝国内部の叛乱勢力の確定及び内部への浸透」

「第三に叛乱軍に対しての軍とは別の情報組織の整備」
「第四にフェザーン対策」
「第五に皇族の身辺警護、私は生まれたときに暗殺されかかってますからね」
「取りあえず今の年齢ではこのぐらいが精一杯でしょう」

「殿下流石ですな。とても6歳には思えない考えです」
「できますか」
「できましょう、陛下よりも殿下の好きにさせよとのお言葉を貰っておりますから」
「グリンメルスハウゼン子爵此からよろしくお願いいたしますね」
「この老人残りの人生のすべてを殿下に捧げましょうぞ」

「今日は有意義な日でした。其れと殿下では無くテレーゼで良いです」
「ではテレーゼ様今宵は良き日でございました、お気おつけて」
「では失礼いたします」


 よっしゃ矢張りグリンメルスハウゼン子爵はスパイマスターだった原作じゃ其れらしい描写がありありだった物ね、其れを言う訳にはいかなかったけど何とか出来た。父様感謝でございます、此から忙しくなるぞ、人材確保が第一だラインハルトに取られてたまるかこっちが先取りだー!


■オーディン  グリンメルスハウゼン子爵邸    リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン

 今宵テレーゼ様と話してみて先ほどの感が間違いで無いと身にしみて判った。
まさにあの才気韜晦具合正しく陛下の御血を色濃く引いておられる。
あれほどとは思わなんだ若干6歳とは末恐ろしいぐらいじゃ。

男児であれば確実に皇帝として中興の祖となれる素質じゃ。
しかし男児で有れば今この世には居ないじゃろう、女子に生まれたのは天の采配としか思えん。
此から短い人生精一杯陛下とテレーゼ様の為に誠心誠意尽くそうぞ。
早速明日にでもケスラーと話し合わんといかんの、出来るだけ早く陛下と話もしなければならん。
忙しいが面白い年になりそうじゃ。


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第五次イゼルローン攻略戦、エル・ファシルの戦い、帝国領侵攻作戦のプロットは出来てるのに其処まで話が行かない状態、果たしていつになるやら。
 
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