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十月の嵐

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第二章

「嵐なんてね」
「因果だね」
「全く、ゲームしかすることはないわ」
「それはそれで楽しめるんじゃ」
「ちょっと外に出たかったの」
 折角の休日だったからだ。
「そう思っていたのに」
「ううん、ゲームをしてもいいけれど」
 彼は運転をしつつ私にこう言ってきた。
「ここは一つね」
「一つ?」
「うん、面白い場所に行かない?」
 こんなことを言ってきた。
「今からね」
「面白いって何処に?」
「今ストレス溜まってるよね」 
 私にかなり率直に聞いてきた。
「そうだよね」
「この嵐を見てるだけでね」
「だったらね」
「だったら?」
「身体動かそうか」
 こう私に言ってきた。
「そうしない?」
「運動?」
「そう、運動をね」
 しようというのだ。
「そうしたら?」
「運動っていうけれど」 
 私は首を傾げさせて彼に返した。
「雨よ、外は」
「ジョグングは出来ないね」
「雨用のウェアを着ないとね」
「それ着て走れっていうの?」
「君それはそれでストレス溜まるよね」
「だから嵐自体が嫌いなの」
 秋のこれがだ。
「見ているだけでね」
「そうだよね、それじゃあね」
「何処に行くのよ」
「プールに行こう」
 彼が言うのはそこだった。
「そこに行こう」
「プールね」
「室内プールに行って泳いでね」
 そしてというのだ。
「身体を動かそう」
「それでストレス解消ね」
「そうしたらどうかな」
「秋に水泳ね」
「室内の温水プールだから」
 だからだというのだ。
「いいと思うよ」
「そうね、ただ水着持ってないわよ」
「それはプールで借りて」
 そうしてと言ってきた。
「それだけで住むよ」
「タオルも」
「全部ね」
「そうね、正直ゲームだけしていてもね」
 お部屋の中で二人でだ。
「別にね」
「ストレス解消しないね」
「下手したらかえってよ」
 それこそだ、ゲームも調子が悪いと。
「ストレス溜まるし」
「じゃあ一度ね」
「プールで泳いで?」
「すっきりする?」
「そうね」
 私も彼の提案に乗って頷いた。
「借りるよりも」
「水着を?」
「ええ、買うわ」
 そうするとだ、私は彼に言った。
「競泳水着ね」
「あったら泳げるしね」
「何時でもね」 
 手元にあればにしてもだ。
「丁度新しいの買おうって思ってたし」
「じゃあね」
「ええ、勝ってね」
 その競泳水着をだ。 
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