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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  最強の暴走


今までのあらすじ


召喚されたサーヴァントは五騎。

「最強の観測者」ブレイカー・飛鳥
「究極の闇」ライダー・クウガ


圧倒的な力を有するライダーの前に、翼刀、ディケイド、ディエンドの三人。

そして、永きにわたる時の果てに彼と出逢う赤銅。


そのころ、三体の魔女と場所を移して戦う彼女たちは・・・・・


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「デカい・・・ですね」

「いや、お恥ずかしいです・・・」

禍々しい形相の魔女。
この世の総てを憎み恨んだその果てに生まれた魔女。

その姿を見て、セイバーが呟いて恥ずかしそうにさやかがうつむいた。


まあそれはそうである。
この魔女はいわば絶望に押しつぶされて変化した自分自身だ。それがこんなにデカデカと。羞恥プレイもいいところである。


(まあなんでこうなったかってのは多分あれだよねー。恭介のこと云々だよねー。あー恥ずかし・・・)

「少女の失恋とはなんという負の感情・・・・!!」

「ななななんで知ってんですかァ!?」


その禍々しさを前に、改めて驚くセイバーにさやかが慌てふためく。

顔を真っ赤にしたさやかを見て「あ、かわいい」と思ってしまうセイバー。なかなかに俗世に染まってきてますね


ちなみにセイバーが知っていることは本当にそれだけだ。
そして何故知っているかというと、蒔風に以前教えてもらったからである。

「ぎぎぎ。あの人、後でブンナグッテヤル」

「まあそれは置いといて」

「置いとかないで!?いやまあそうだけど!!」


一人漫才のように騒がしいさやか。
同じ色をした剣士なのに、どうしてこうも違うのか。


その間、目の前の魔女オクタヴィアは特に何をするでもなくその場で佇んでいるばかり。


ふと、さやかがセイバーに聞く。


「あの、コイツなんで襲ってこないんでしょうね?」

「さあ・・・・ですが士郎の魔力はそう持ちません。宝具は使えませんので留意しておいてください」


そう、セイバーはすでに一度、戦いを終えている身だ。

ここ二、三日の間、冬木の方の大聖杯は外部の魔術師によって狙われていた。
それを奪われぬために彼女たちは夜な夜な戦っていたのだ。

そうなれば、魔術師としては今だ半人前の士郎の魔力がそう持つわけもない。


「まあ士郎もなかなか腕を伸ばしていますからね。普通の戦闘であるならば問題はないでしょう」

「なるほど・・・・」

今ごろの士郎はというと、無理矢理セイバーを「助けに行ってやってくれ」と押し出してきたために、衛宮邸で凛や桜に怪しい点滴とか魔術とかで回復にフォローを入れられている。
がんばれ。



と、そこでついにオクタヴィアが動いた。


ギギギギギギ、と無理矢理歯車を動かすかのような音。
その音に、二人は思わず耳を塞ぐ。


そして閉じていた目をうっすらと開けると―――――


「これは!?」

「魔女の結界!!!」

周囲の光景が一変していた。
オクタヴィアは壇上の上に。周囲を囲むはオーケストラ。その中心は一人のバイオリニスト。

まるで、というか禍々しさはある物の、そこはまさしくオーケストラホール。

主役は哀れな人魚姫。
その姫の哀しみを慰める為、彼等は音を奏で続ける。



「ひ、ヒィぃィイいいいい!!!」

「おや、これはまたなかなか」

その光景にセイバーが感嘆し、さやかが顔を真っ赤にして口をパクパクさせた。

そりゃそうだ。
自分自身だからこそ、この結界の構造の理由がなんとなく分かる。


(わ、私お姫様になってる!!しかもあのバイオリンの人恭介じゃん!?私のためにだけとか私マジどんだけだぁぁああ!!!!)

「セイバーさん!!!」

「は、はい。なんでしょうかサヤカ」

「あいつブッ倒しますよ!!んで、ここで見たこと絶対に忘れてくださいね!!!?」

「わ、わかりました・・・・」


物凄い勢いに、思わず頷いてしまうセイバー。
魔女の結界。いわばここは、絶望し、真っ黒になるまで思い詰めた乙女の花園。

それをこのような暴露をされては、さやかだって穏やかではない。



壇上を駆けあがる。
その途中で襲い掛かってくるバイオリニスト。

そしてその頭を、さやかは勢いよく踏みつけて

「フンッッ!!」

「キュィッッ!!!」

メシャァ、と踏みつけられた使い魔は、変な声を出して潰れて消える。

そして剣の切っ先を向けてさやかは叫んだ。

「これ以上変なの見せられる前にあんた消してやるからね!!!」

捕捉すると、恥辱に真っ赤になりながら、である。



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一方、杏子の方もアリスと共に、武旦の魔女・オフィーリアの結界に取り込まれていた。

だが彼女の方はさやかほどひどくはない。
なぜならこの魔女の在り方は


「性質は自棄、ですか。なかなか杏子さんらしいですが」

「へっ、だからなんだっての?」

本来はこの魔女にも使い魔はいる。

「行進」の役割を与えられた使い魔がいるはずである。
だが、今その姿はなくただ魔女だけが佇んでいる。


「杏子さん、負ける気は?」

「しない!!」


そう言って杏子が槍を構え、切っ先を真っ直ぐにオフィーリアへと向けた。
対し、オフィーリアもまた騎乗した状態から切っ先を二人に向けた。


「この魔女は真正面から挑んでくる魔女です」

「正々堂々ってか」

「いいえ。わかっているでしょう?あの魔女の場合は自らを捨てるような戦いです」

「・・・・・」

「でもま、今の杏子さんなら心配ないですよね」

「・・・・・うっせ。だぁ!!頭撫でんな!!」

ふふ、と朗らかに笑いながら杏子の頭をなでるアリス。
それを真っ赤になり文句を言いながらも、手を払おうとはしない杏子。


瞬間

「フィオオ!!!」

笛のような声を出して、魔女がこちらへと突っ込んできた。
しかも、その途中でその姿が増えてきて――――


「分身!?」

「へっ、なるほど。なんだかんだでやっぱ私の魔女ってことか!!!」

しかし彼女の本来の魔法である幻術分身とは、これは違う。
この分身には、実体がある。


「グッ!!」

ガキィ!!と頭上から突き出される槍を受け、その勢いに後退していく杏子。
更にもう一体はアリスの方へと向かい、彼女は槍を回避して柄を掴んで投げ飛ばす。


「杏子さん!!」

「へ?うぉ!!」

「そっちが本体です。しっかりやってください、ねッッッ!!!」


杏子の方へと本体を放り投げ、アリスは分身のオフィーリアの顔面を、飛び上がって殴りつけた。
その一撃で魔女は馬ごと地面に倒され、その身体が塵と消える。


「雑兵は私は相手をしますので、存分にやっつけちゃってください!!」

にかっ!といい笑顔をして、アリスが杏子にサムズアップする。

それを見て杏子が「はぁ~」とあきれるやら何やらのため息をつく。
そうしていると背後のオフィーリアが立ち上がり、杏子へと一突きを放ってきた。


だが

ガキィ!!という音と共に、杏子の組み上げた鎖璧にそれは押しとどめられる。


「ったく、あいつも化け物かよ。まあ、そうだってんなら私はこっち、やらせてもらうとするさね!!!」

キュバッ!!と反転し、一気に槍を突き出していく。

その顔面へと飛び出していく杏子の目に恐れはなく。
決して、彼女はもう一人じゃない。


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どこに行ったかかわからない。
どこにいるのかわからない。

どこから攻撃されるかわからない。


まさしくアサシン。

おめかしの魔女・キャンデロロは、まるでフィギュアではないかと見紛うほどに小さな体をした魔女だ。

ゆるゆるふわふわなファンシールームの体を成した結界には、ぬいぐるみからカーテン、クッションなどの、小さな彼女にしてみれば隠れる場所がてんこ盛り。

しかもここには使い魔もいる。
その使い魔のドレスの中などに潜み、認識の外から致命の攻撃を仕掛けてくる。


それがこの魔女の戦い方。
かつて翼刀も戦い、手を焼いた相手だ。


相手をするのは


「実際見ると・・・あんなに小さいの?」

巴マミと

「もしかしてマミちゃんって寂しがり屋?」

神尾観鈴である。


観鈴の発言に「へ!?」と驚くやら仰け反るやら否定しようとするやらで慌てるマミ。

しかし相手はアサシン。
気を抜けばその一瞬で


ギャィンッ!!

「え」

「ほら、そこ今いたから気を付けてね?」

「は、はい!!」


観鈴はほんわかした顔ながらも、周囲への警戒を決して切らない。

空気を伝わる、微弱な振動。
それを翼で感じ取り、相手の位置を捕捉しているのだ。


「私が言うから、そこにドンドン撃って行ってね」

「わかりました!!」


そういうと、観鈴の指示通りにマミは次々にマスケット銃の引き金を引いていく。

隠れられるクッション、走り回る使い魔、何故そんな形をしているのか謎のオブジェ。
それらを撃ち漏らすことなくバラバラに破壊していく。

破壊されたそれらは魔力粒子となって消滅してしまい、あとには何も残らない。
このままいけば、簡単にあぶり出しだ。

「にはは、いぇい。観鈴ちんブイっ」

この勝負は、簡単に終わりそうである。




問題があるとすれば





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こちらのほうだ。



《FINAL ATTACK RIDE―――DE DE DE DECADE!!》

《FINAL ATTACK RIDE―――DE DE DE DEEND!!》

「焦、土ッッ!!」


二人のライダーと翼刀の渾身の一撃。
ディメンションブラストにシュート、そして炎熱を帯びた刃幕の射出。

それらが一斉にクウガの元へと向かって行った。


着弾速度としては、ディエンドが先だ。
だがクウガはそれを裏拳の一発で粉々に砕き、続いてやってきたディメンションブラストを片手で握りしめて砕く。

最後に翼刀の焦土。
自身に飛来した刃そのものを回避しようとも、炎と熱からは逃げられない。

その身体が猛る炎による爆発に巻き込まれ、その向こうに姿を消した。



だが、直後に炎の中からクウガが現れた。
やったか、などとくだらないことを口走る暇もなく、だ。


「まじかよ・・・!!!」

だがそれでも発した翼刀の言葉は、決して無事であることに対してではない。

それは、そう。
クウガを中心に、その背後に円を描いて浮遊する無数のタイタンソードのこと言ってのことだ。


「触れなくても変えれるのか!?」

「いや、そもそも最初から物なんて必要なかったような気も・・・・」

「何もなくても無手の状態から武器生成できるんじゃなかったか?あのライダー」

「なんですトォ!?」

翼刀が叫ぶと、びゅっ!!と空を切って飛来してくるタイタンソード。

それを回避して散開する三人。
ディエンドが翼刀が刃幕を放ち、その隙に二人があるカードを取り出した。


カードの種別は、ファイナルフォームライド。
この二人のライダーは、仮面ライダーを武器化することができる。

しかもそれは、実に卑怯なことだがその対象が敵であろうとも関係ない。
それはきっとこいつにも当てはまるはず。

ならば―――――


だが、クウガの行動は何を察知したのか迅速だった。

即座に手の中にペガサスボウガンを出現させると、一回転しながらボウガンを引き、上空に向かって一発発射した。
するとその弾丸は空中で破裂し、地上に向かって無数の弾丸の雨を降らせた。

無論彼等にそれを防ぐことはできても逃れることはできず、フォームライドのカードも手から落ちて撃ち抜かれてしまった。


「一瞬でいい!!カードを装填するだけの時間を稼げ!!」

「まったく、ボクに指図かい?」

「早くしろ!!あとで伝説の酸素破壊剤の設計図やるから!!」

「さあ行くよ翼刀君!!」

「ゼッテー嘘だろ!!この人ちょろすぎねぇ!?」

「嘘なのかい?」

「そんなことない」

「ほら」

「えぇ~」

早くしろという割にはコントを続ける三人。

周囲の被害を考えず、回避するだけなら何とかなっているらしい。
だがそれでは倒せないし、次第にこのライダーは自分たちを―――――


「うぉ!!」

「翼刀!!」


翼刀の眼前に、いきなりクウガが現れた。
両手に握られ振り下ろされたタイタンソードを何とか受け止める翼刀。

一気に押し込まれ膝が地に着くが、翼刀ならこの状態からでも攻撃が可能だ。


「不動斬ッ!!」

ババババンッッ!!とクウガの胸を、横一文字に火花が走る。
多少よろけるクウガに、手を地面につけて押し出し、蹴りで吹き飛ばす翼刀。

翼刀はさらに一気に攻めて行き、通常の剣撃に加えて、現れてくる刃による連続攻撃でクウガに攻撃のチャンスを与えない。

とはいえ、勝っているかと言えばそうではない。
その間でもクウガは他の二人への牽制として、炎を放つために腕をそちらに幾度となく向けているのだから。


このままでは、体力に限界がある自分が先に潰れる。
なので翼刀は此処を引き際として不動拳を一発ぶち込んでから一気に後退する。


「無理、か」

「あれだけの攻撃の中、僕らへの牽制を忘れない・・・・本当に戦闘マシーンってことだね」

「でもアイツは俺がぶっちめます。邪魔は・・・・」

「君と唯子ちゃんが結婚するとき、士に写真撮らせるよ?」

「な・・・・こ、この悪魔!!」

「俺に言うな!!あいつに言えあいつに!!」


クウガの周囲を駆けまわり、再びぎゃいぎゃい叫びあう三人。

ともあれ、一応方向性は固まった。


「僕らであいつを抑える。隙が出来たら士はすぐにやりたまえ」

「ったく、しゃーなしっすからね!!」


剣と銃を構え、二人が距離を取りながらクウガを攻めていく。

接近戦は危険と見たのだろう。
だがこいつを抑えるとなると、接近しなければ不可能だ。

そのジレンマ。
一回接近し立時の隙。その隙が十分でなければ、二人は確実に死ぬ。


「さあ、お宝のために!!」

「行くぜ海東さん!!・・・ってそんな理由か!」


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そして、ハクオロはというと


『ヌゥン!!』

「ガァッ!?」

「うひゃぁ!!!」

グアァッッ!!と、まるで捕食するかのような勢いで振られる巨椀。

その腕に吹き飛ばされているのはあのオフィナだ。
ギリギリで回避するフォンはその風圧に飛ぶも、くるくると回って余裕で着地する。


「ち。まさかこうなるとは、よ・・・・」

「まっさか、オフィナさんで止まらないなんてね~」

内心焦っているのか、冷や汗を流すオフィナと、軽い口調ながらも正直に驚くフォン。


オフィナの、相手の攻撃への対処は単純明確だ。
ようは自らの攻撃の完全を駆使した「それ以上の攻撃」でねじ伏せるもの。

故に、このハクオロの巨椀ですらも殴り返せば問題はないのだ。
現にこのオフィナの攻撃力は、ハクオロの腕を殴り飛ばすだけの威力がある。


だが、この場合は相手が悪い。

ハクオロは“うたわれるもの”だ。
神と同義とされる能力を持ち、不滅の肉体を有する生命体。

今のこのハクオロの姿は、その存在により近づいた・・・というよりも、それそのものと言える肉体だ。


巨椀を以って攻撃し、オフィナがそれを殴り返す。
当然、力比べではオフィナに軍配が上がるためにハクオロの腕は弾き飛ばされる。

それどころか、消し飛んでしまうだろう。
現にいま、ハクオロの腕は肘から先がない。


だが、完全にそれを滅することができるかと言えばノーである。
ハクオロの腕は切れたとしても再生可能であり、さらに切れた状態でもその切り口から真っ黒なスライムのようなものを吐き出して攻撃することができる。

そうなれば、オフィナが弾き飛ばそうとも結末は変わらない。
腕を弾いても、強引に殴り抜ければそのまま“第二の腕”ともいえるそれで打ち付けることができるからだ。


『ぐッ・・・ぬぅう!!!』

だがこの状態で戦い続けるのには、ハクオロにもリスクが生じている。

このウィツァルネミテアの姿でいることに関しては、過去のWORLD LINKの効果だろうか、特に負担はない。
しかし負傷した箇所をそのままに抑えると言うのにはかなりの力を有する。

だんだんと精神を引っ張られていく気がするのだ。


(このままでは何をしでかすか・・・・・だから!!)

『その前に、終わらせてもらう!!!』


ハクオロの巨大な足が、地面ごと抉り取って蹴り上げられる。

それをフォンは必至にダッシュして安全圏ギリギリまで逃げるが、オフィナはそれを正面から殴り抜いた。
だが砕けるのは装甲と肉体だけ。その先から生ずる、腕から伸びているのと同じような物質に叩きつけられ、飛ばされる。


「ガッ・・・は・・・」

『いまだ!!!』

宙をスッ飛ぶオフィナは、まだ宙を移動するような能力はない。

故に、ここからの攻撃を回避するすべを持たないと言うことで


『オォォォオオオオオオ!!!』

ダガンッッッ!!というものすごい音がして、オフィナに向かってハクオロの鞭腕が叩きつけられた。

それをオフィナも腕力で弾こうとするが、相手は再構築される無固形の鞭。
ドプンと飲みこまれ、そのまま地面に叩きつけられてしまう。

陥没した地面の中心のオフィナは、即座に立ちあがろうとするもそこに次の拳がぶち込まれた。
いくらオフィナが殴り返して防ごうとも、この衝撃だけは全身に襲い掛かる。


ハクオロも精神を削っている以上、いつまで元はいかないはずだがこのままでは自分はつぶされてしまう。


頼みの綱のフォンだが、彼にはわかっているはずだ。
この状況下において、彼は踏み込むことはできない。踏み込めば死ぬだけだと、彼の完全がそう告げているはずだ。


だが、オフィナは絶え間なく叩きつけられる腕の隙間から、それを見た。
フォンがいる。そのフォンが、今にも泣きそうな顔をしてこちらに手を伸ばしているのだ。


フォンの完全は「見極」だ。
相手の一瞬の隙、現在の弱い部位を見切り攻撃し、あらゆる攻撃を初見で見切って回避、防衛する。

しかしその代償に、彼は肉体のスペックを最低限しか上げられていない。
スペックだけで見ると、電王のプラットフォーム程度しかないはずだ。


その彼が踏み込めば、死ぬのは確実である。
それは彼の完全がすでに答えを出しているはず。故に、オフィナはここに踏み出そうとするフォンの姿の驚いていた。そのフォンにとってすれば、誰よりもその恐怖を知っていると言うことに他ならないのだから。


「オフィナ・・・さん!!!」

フォンもそれは解っている。
踏み込むことに意味はない。助けに行くことに意味はない。

だが、だからと言ってこのままではオフィナが倒される。
そしてあそこから脱する術はただ一つしかない――――――


その時、フォンは猛攻の中から腕が伸びているのが見えた。

それはこちらに向けられた手の平だ。
まるで「止めろ、こっちくるな」と言っているかのような、そんなジェスチャー。


そして、フォンは叫ぶ。



「あんたまで・・・ダメだよオフィナッッ!!!」

「ラぁぁ唖ぁアアアアアアアアアア!!!」


大地が 咆哮した



『なに?』

空が 慄く



「シィィァァアアアアア――――――」

吐息が、空気を焼く





咆哮と共にハクオロの腕が弾かれた。
その巨体が、あろうことか後退させられる。


そして、さっきまで殴っていた地点の中心には



「テメェら・・・・・もはや終わりだぜ」

全身を真っ赤に発光させた、攻撃の完全・オフィナの姿があった


「ただ死ぬなら、お前ら何人か出も巻き添えだ。あの人の――――邪魔はさせねェ!!」


攻撃の完全、ついに暴走。
しかし、それが彼の身を滅ぼすまでは幾ほどか。


それまでの間。


この短いひとときの無敵。
彼はこの世界において刹那の最強となった。







to be continued
 
 

 
後書き

とりあえずいろんな戦場。
そしてオフィナさんついに暴走です。

彼に関しては、完全に相手が悪かったですね。

ハクオロの身体を滅ぼすには、翼人か渡航力で削るしかないですから。
まあ他の力(魔力など)でもできなくないんですが、それだとさらに5、60倍ほど出力が必要なので現実的ではありません。




という、あくまでも「めぐ銀」での設定を言ってみました。
原作通りなら、ハクオロさん誰にも負けませんから。自分からやられない限り。

ハクオロがウィツァルネミテア状態で振るう腕は、アニメ最終話あたりであったなんか・・・あれです(笑)
どう表現した物かと悩んだ末に「鞭腕」ど名づけました。


基本的に原作遵守。
しかし、多少のアレンジを効かせてが武闘鬼人。


ハクオロ
「次回。攻撃の完全、暴走」

オフィナ
「俺が死ぬ前に、出来るだけお前らを消す!!」

ではまた次回
 
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