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激怒

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第二章

「そうしていました」
「おい、酷いな」
「そしてです」
「はい、そのうえで」 
 それでというのだ。
「私は稽古を受けていなかったですが私のかよっていた学校の生徒にもです」
「何をしていたんだ」
「はい、中学生に突きを浴びせたり。それもリンチ技のシャベル突きを」
 竹刀を下から上に思いきり突きあげてそうして突きを入れる技だ。尚剣道の正規の技であるどころかリンチ技として実際の試合で使えばそれだけで警告を受ける。そうした外道ともいえる技とされている。
「浴びせていました」
「そんな奴か」
「酷いですね」
「中学生にそんなことしていたのか」
 主将は驚いた顔で応えた。
「最低の奴だな」
「本当にそうですよね、見ていてです」
「怒ったのか?」
「その時怒りが収まりませんでした」
 実際にとだ、理央は真剣に答えた。
「本当に」
「そんな奴が顧問か」
「その様です、まさかです」
「ここで会うとはか」
「思っていませんでした」
 とてもという返事だった。
「夢にも、ですが」
「若しもな」
「はい、あいつが何かすれば」
 その時はと言う理央だった。
「わからないです」
「怒るのか?」
「そうなるかも知れないです」
「君が怒るとかな」
 主将もこう言うのだった。
「まさか」
「しかしです」
「それでもか」
「あの男が何かすれば」
 その時はとだ、理央は歯噛みし怒らせた目で述べた。
「その時は」
「わかっていると思うが」
「はい、私は武道家です」
「剣道をしているな」
 もっと言えば合気道をしている。
「それならな」
「武道家としてですね」
「ことにあたれ、あの先生が何をしてもだ」
「あいつと同じことはですね」
「君が知っている様なことはな」 
 決してとだ、主将は強い声で話した。
「するな、いいな」
「はい、そうします」
「怒ってもな」
「そうします、しかしあいつは」
 その教師はというと。
「主将も気をつけて下さい」
「俺達の前でも暴力を振るうのか?」
「そうします、私の前で殴って蹴って平手打ちをしていました」 
 中学時代の理央の目の前でというのだ。
「その時のことを考えますと」
「今もか」
「普通にしてくるかも知れません」
「本当に酷い先生なんだな」
「ですから気をつけて下さい」
「師範にもお話をしておくか」
「そうしましょう」
 こうした話をしてだ、理央は中学生達に稽古をつけてそうして稽古の一環として練習試合もした、そしてここで。
 中学生のうちで一人の子が動きが悪かったがその子にだ、その教師はというと。
 動きが悪いと怒ってだ、座っている彼のところに来て罵って膝で蹴って平手打ちをした。これには大学の誰もが驚いた。
「動きが悪いだけでか!?」
「あんなに怒るか?」
「あれは罵倒だろ」
「しかも蹴って平手打ちをして」
「あれは暴力だろ」
「何て先生だ」
「やはり変わっていないな」
 理央は教師のその所業を見て目を怒らせた、それでだった。 
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