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レーヴァティン

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第二十五話 最後の修行その八

「そうです」
「そんなところだと思った」
「先程の龍達ですが」
「あれは何だった」
「陰陽術で出した龍でして」
「龍の気か」
「それで敵を撃つのです」
 術として出した龍のその気でというのだ。
「そうして倒すのですが」
「所謂体当たりでだな」
「我が主の得意の術の一つです」
「術とはいえ龍の力をそのまま使うとは」 
 このことからだ、正は考える顔になって述べた。
「お主の主殿は」
「はい、この島一の陰陽師です」
 童子は微笑み正に答えた。
「そうなのです」
「やはりそうでござるか」
「はい、それでなのですが」
「これからでござるな」
「お会いして頂けるでしょうか、主殿に」
「先程の龍達はその試験でしたか」
「はい」
 童子は微笑みのまま正に再び答えた。
「左様です」
「わかり申した、では」
「これから」
「ご案内致します」
「既に我々が来るのを知っていたとは」
「それも式神の力です」
 童子は笑って譲二にも話した。
「鳥の姿をした式神を放ち」
「その式神が目となり耳となり」
「そうです」 
 まさにそれとなってというのだ。
「そのうえで、です」
「我々を見ていたのですか」
「空の鳥に紛れていればわかりませんね」
「はい、中々」
「特に気を周りに取られていれば」
 尚更というのだ。
「そうですね」
「我々はこのお屋敷に来ることを考えていました」
「そして何をしてくるのか」
「そうしたことをです」
 考えていた、そちらに神経を集中させていたとだ。譲二は童子に対して素直に答えた。
「そのせいで」
「それで、です」
「我々は気付かなかった」
「我が主も気配を消していましたし」
「お互いにそうなら」
「気付かないものです」
「どの辺りから見ていた」
 英雄は鋭い目になり童子に問うた。
「御前の主は」
「それが気になりますか」
「俺達は何時から御前の主に気付かれていたか」
「そこからですね」
「御前の主の実力もわかる」
「気付きそして気付かれない」
「俺達もかなりの実力がある」
 このことに自信がある、それだからこそなのだ。
「その俺達に何時から気付かれないで観ていた」
「橋のすぐ近くですよ」
「あそこか」
「はい、龍が出て来た」
「すぐ近くか」
「それまで気配は感じていませんでしたが」
「感じてか」
「すぐに式神を飛ばされ」
 その鳥のものをというのだ。
「そしてでした」
「俺達を見ていたか」
「はい」
 そうだというのだ。 
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