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GS美神他、小ネタ集

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ハグハグ、はづきはオバ級?

 
前書き
アメリカ独立記念日SS(需要完全無視)ハッピーレッスン  ハグハグ、はづきはオバ級?
 このSSは、TV版ハッピーレッスンをご覧になった方のみ、お楽しみになれます、あらかじめご了承下さい。
 

 
 
 7月4日、アメリカの独立記念日、この日は各地で記念のイベントが行われていた。
「ちーちゃん、聞こえる~?」
「ああ、テレビも映ってるぞ」
 今日は仕事?でニューヨークにいる、はづき姉から日本にいる皆に、動画転送方式の携帯電話が繋がっていた。
「画像も送る君、バージョン1.8です」
 それは市販のCDMA方式や衛星電話ではなく、きさらぎママの手が入った特別な物なので、アフガンから中継されたような、モザイクのかかった絵と違い、鮮明な画像が送られていた。
「お姉ちゃん、がんばってね」
「まかせてっ!(ぶい)」
 911以降のアメリカでは、テロに負けないよう、どのようなイベントでも中止される事無く、例年通り行われた、そのイベントとは。
 ネイサン*主催、ホットドッグ早食い競争

 これはもう、はづき達の為に行われるイベントのようだが、プロの大食いやフードファーイターより上の「神」の領域に立つ者は参加できないはずだった、芸能プロダクションが女性枠、芸能人枠を駆使しなければ。
「じゃあ、マネージャーさんが持っててくれるから、応援しててね」
「おう」
「うん」
「無理しないで下さいね、あんなに大きな人と同じ量なんて、体を壊しますから」
 あの吸引力を考えれば、すぐに勘違いだと分かるが、台所で料理をしていた、むつきママは、はづきの吸引力を目の当たりにしていなかった。
「大丈夫よ(ニヤリ)」
「では必勝を祈願して祈祷を」
「いや、それはいいから、人間離れした記録を出さないよう祈っててくれ」
「え?」
 事務所ではアメリカ進出だとか、いい宣伝になる、程度に思っていたが、視聴者が恐怖を覚えるような食べ方をすれば、マイナス効果間違い無しだった。

「レディース・アンド・ジェントルマン(ピッ、紳士淑女の皆さん、お待たせしました)」
「わあ、ちゃんとわかる~」
「英語もわかる君、バージョン1.01です」
 テレビから聞こえる音声が、同時通訳のように翻訳されて聞こえてきた、バージョンが低いので爆発しそうな気もしたが、みなづきがいる場所では多分爆発はしない。
「チャンピオン、Tunami~」
 去年50本を食べ尽くし、2位に倍以上の差を付けて優勝したチャンピオンが紹介される。
「すごいね~、ホットドックが50本だよ、お兄ちゃんとそんなに変わらないのに」
「確か12分だろ?俺でも10本以上食えるかどうか?」
「へっ、俺なら20本ぐらい楽勝だぜ」
「さつきさん、あれは多分、アメリカサイズだと思うんですけど」
 米軍基地のマクドナルドでは、ビッグマックの大きさが倍、体積は4倍以上と言う噂があり、経済指標で使われる"その国で買えるビッグマックの値段"なる物は、ジャンクフードなど食べた事も無い、評論家や金持ちのたわ言とされている。
「うづきちゃんなら1本でおなかいっぱいだよ、あ、始まっちゃう」

「レディーー!(準備はよろしいですか?)ゴォーーーー!(始めっ!)」
 まずは東京スタイル(パンを水に漬けて食べる)で飛ばすチャンピオン。
「やっぱりアメリカね~~、味なんか無いし、パンもパサパサじゃないの」
「日本代表の女性はケチャップとマスタードを手に取りました、かけています、もう勝負は捨てたのかも知れません」
「うん、やっぱりホットドッグはこうでなくっちゃ」
「Tunami~、すでに3本目、TOKYOスタイル、早い」
(うわ、何アレ、水に漬けちゃって、まずそ~~)
 他に構わずケチャップとマスタードをかけて、正しい食べ方をしているはづき。
「いいぞ、その調子だ」
「何言ってるの、お兄ちゃん、このままじゃあお姉ちゃん負けちゃうよ」
「いいんだ、人として負けてくれ」
 全世界に向けて、はづきの力を見せ付けないよう、心配するちとせだったが。

(ふっ、甘いわね、ホットドックは「飲み物」なのよ)
 ゴクン…ゴクン…ゴクン…ゴクン
「オーマーガー!」
 隣にいたイングランド代表が、はづきの飲み方を見て、思わず手を止める。
「ジーザス!(なんと言う事でしょう!彼女は飲んでいます、まるで中学生のような少女が、大男より早いペースで平らげて行きます)」
「やっちまった(汗)」
 大食いオバ級の力を遺憾なく発揮し、8秒に1本のペースで飲み込んで行くはづき。
「チャンピオンはすでに30本、しかしこのペースならすぐ追い付きます、ついにタイトルが入れ替わるのか?」
 ゴクン…ゴクン…ゴクン…ゴクン…
「ここでチャンピオンもペースアップ、区間記録では去年を超えました、残り5分、勝利の栄冠はどちらに?」
 闘志に満ちた目で、はづきを見ながら食べるチャンピオン、各国代表の2メートル近い巨体とウエストを持つ巨人は、例年通り10本そこそこの本数しか食べていなかった。 

(ふっ、やるわね、この私を本気にさせるとはっ!(クワッ)」
 「は」「さ」「み」
 髪飾りのように付いている3つの石、これはどこかの徳の低い高校生が作った、はづきの中に棲む餓鬼を封じるための「文珠」と呼ばれる石で、それを外した瞬間、はづきは鬼になる。
 パシッ! キュウウウウウウウウウウウウウン!
 現地では、まるでスーパーチャージャーか、目の前でジェット機が離陸するような過給音が聞こえた。
「や、やべえっ!」
「お姉ちゃん?」
 ドオオオオオンッ!
 大気圧よりも低いはづきの胃の中に、次々にホットドッグが吸い込まれて行く、給仕が間に合わなくなると、両隣の選手の次の皿を奪い、やがて全てを飲み込んで行った。
「ハグハグハグハグハグハグハグハグ……」
 きっとどこかの法師の右手のように、はづきの胃袋も異空間に繋がっているらしい。

 その頃、空港では
「ダウンバースト警報、ドップラーレーダーに低気圧を検知しました、周辺の航空機は圏外に退避して下さい」
 ニューヨーク近郊では水銀柱が見る見る下がって行き、天候は大荒れとなり、ついに雹が降り始めた。

「ピーーーーーー!(終了ーー!)」
 はづきの後ろでは、正確な集計ができない審判が、紙皿の枚数を数え、数年前のように手書きのボードを用意していた。
「ジーザス(何てこった)」
「アンビリーバボー(信じられない)」

 115本

 周囲では、雹に驚いただけで無く、拍手や歓声ならぬ、どよめきや子供の泣き声が聞こえていた、それは多分はづきの鬼の表情と、闘気に当てられたものと思われる。

 数分後
「ちーちゃん、みなづきー、勝ったよ~」
「笑ってる場合じゃないだろっ、一体どうするつもりだっ?」
 はづき勝利の映像は、ABCやCNNの大手ネットワークで、絶え間無く流されていたが、鬼の表情はモザイクが入りカットされていた。
「ほら、賞品はホットドッグ1年分だって、ママ達の分も冷凍で送るねっ」
「え、ええ(汗)」
「あはっ、頑張ったらなんか、お腹すいちゃった」
「「「「「「「…………」」」」」」」
 残りは、はづきの「おやつ」として、消えて行ったらしい。

 CNN速報
 独立記念日のテロは、アルカ*ダではなく、日本のシンガーによって行われた。
 ネ*サンズ主催の伝統のホットドッグ早食い競争で、12分間に115本を食べ尽くした少女は、バキュームポンプのようにホットドッグを吸い込み、会場を恐怖のどん底に叩き落とした。

「尚、この時間、突発的に起こった低気圧により、空港は一時閉鎖され、1万5千人の空の移動に影響が出ましたが、当局では未だ原因を特定出来ていません」

 その後も、はづきのニュース映像が流されたが、次第に「アナザープラネット」「ブラックホール」などのあだ名が付いて行った。

 その後
「ただいま~~!」
「ああ、お帰り(嫌)」
「何よ~、その顔は、せっかくアタシが帰って来たのに」
 あの宣伝効果により、全米デビューも夢では無かったはづきだが、それらの誘いを断ってあっさり帰国してしまった。
「あっちに残って、世界進出じゃなかったのか?」
「ええ?だって、アメリカって食べ物まずいしね~、香港か台湾進出の方が美味しそうじゃん」
 芸能界用語の「美味しい」ではなく、純粋に食べ物の味の話で、はづきらしい理由だった。
「よ~しっ!次は中華料理、全部制覇するぞ~~っ!」
「オイッ!」
 それは多分、歌手としては間違った動機だと思われた。
 
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