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レーヴァティン

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第二十四話 都その七

「絶対にだ」
「残さずに」
「そうして食べるものだ」
「お酒もですな」
「肉も魚もだ」
 所謂生臭ものもいうのだ。
「布施ならいい」
「食べてもらう為に殺して出されたものならともかく」
「それならいい」
 布施、それならばというのだ。
「別にな」
「そうした考えですな」
「本来の仏教はな、そうした意味でだ」
「お酒もですな」
「別にいいだろう」
 僧侶が飲もうともというのだ。
「もっと言えばだ」
「酒を飲まずとも信仰があるとは限らない」
「そうだ」
 そうしたものだというのだ。
「世の中腐った僧侶もいる」
「どの世界にも」
「いるものだ、この島も同じだろう」
「実際よい僧侶もいれば」
「悪い僧侶もいるな」
「左様でござる」
「糞坊主という言葉があるな」
 俗に言われている言葉だ、この言葉はそれこそ日本に仏教が伝来してから存在している言葉だ。
「何処でもある」
「ですな、確かに」
「学問や法力、信仰だ」
「僧侶に必要なものは」
「それの有無であってだ」
 それでというのだ。
「二人目ともだ」
「飲みますか」
「あちらが飲みたいならな」
「般若湯として」
「そうしたい」
 こう言いつつ仏教では般若湯と呼ぶ酒を飲む。
 そうしつつだ、英雄は正にこうも言った。
「西の島では教会も神殿も問題のある者は多いが」
「こちらもござるよ」
「しかし俺達の世界の中世の教会と比べるとだ」
 ローマ=カトリック教会、当時のあの教会の腐敗と比べるとというのだ。
「全く以てな」
「ましですな」
「当時のバチカンの腐敗はあまりにも酷かった」
「ですな、比叡山の腐敗なぞ」
 信長が忌み嫌ったそれもというのだ。
「最早な」
「バチカンの腐敗と比べると」
「遙かにましだった」
「左様でござった」
「あの腐敗は人類への挑戦だったのか」
 そこまでの腐敗だったというのだ。
「ある意味不思議だ」
「あそこまでの腐敗は」
「あまりにもだった」
 バチカンの腐敗はというのだ。
「あれはな」
「おそらくでござるが」
 そのバチカンの腐敗についてだ、正は己のその意見を述べた。
「やはり一つしかなかったので」
「宗教的権力がだな」
「しかも政治にも関わったので」
「余計にだな」
「絶対権力となったので」
「そのせいでだな」
「腐敗も酷かったのでしょう」
 こう英雄に話した。
「あちらは」
「そうだろうな、我が国はな」
「はい、そうした存在はなかったので」
 バチカンの様な絶対の存在がだ。
「腐敗もなかったのでしょう」
「比叡山は確かに権勢はあった」
 白河法皇、天下の君であられた方も比叡山の僧兵達には何も出来なかった。そのことに頭を抱えておられていた。 
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