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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0189話『姦しい三姉妹と羨む赤城』

 
前書き
更新します。 

 





今日は結構な人数の進水日なので酒保やらを周っていた私は赤城と遭遇する。

「あら? 提督、どうされましたか?」
「そう言う赤城こそ」

お互いに聞き返すという間抜けを演じているけどすぐに二人して笑みを浮かべて、

「ふふ。提督は天城さんの進水日のプレゼントですか?」
「ああ、まぁな。今日は他にも熊野とか卯月とかもそうなんで結構悩んでいたんだよな」
「でしたら一緒に選びませんか? 天城さんに関しましては私にも考えがありますので」
「いいのか?」
「はい」

赤城がそれで頷いてくれたので私は頼る事にした。

「それじゃお願いしようかな」
「はい。それでは選びましょうか」

それから赤城と一緒にプレゼント選びをしていたんだけど、

「やっぱり赤城の方は本当の姉の方の天城に関しても気にしている感じか?」
「そう、ですね……彼女は進水日すら迎えられなかったですからなにかと天城さんの事は構ってあげたいというのが本当の所です」

赤城はそれで「あはは……」と力ない笑みを浮かべる。
その普段の赤城とは違った笑みに私は聞く内容を間違ったかという気分にさせられた。
赤城の姉になるはずだった空母・天城は関東大震災のせいで竜骨を破損してしまい破棄せざるを得なかったという話がある。
だから余計同じ名前である天城の事を妹のように構いたいんだろうな。

「あまり無理はしないようにな赤城。それじゃ加賀さんとかが心配するぞ」
「大丈夫ですよ提督。無理はしていませんので」

もうそれで赤城の表情は普段通りになっていた。
これなら安心かな?
それから赤城と一緒に天城に贈るプレゼントは紅葉の形をしたブローチに決定した。
天城は戦闘時以外は改装前の着物を着ているから似合うだろうな。

「これでいいと思いますね」
「赤城の方は黄色い紅葉色か」
「はい♪」

二人してプレゼントは決まったのでそれでみんなに渡しに行こうと思う。
ちなみに卯月にはウサギのブローチ、熊野には鈴谷とお揃いの髪留めなどを買ってみた。喜んでくれるといいけどな。
そして赤城とともに天城を探していると甘味処間宮にいたので、

「天城さーん」
「天城、いま大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫ですよ」

なにやら天城は少し慌てていたようで身嗜みを直している。
どうやらまだ葛城と雲龍はいないようだな。

「それで提督に赤城さん。どうしましたか? 天城になにかご用でしょうか?」
「はい。天城さん、本日はあなたの進水日でしょうから提督と一緒にプレゼントを用意しましたので受け取ってもらえないでしょうか?」
「赤城に言われてしまったけど、まぁそんな感じだ」

私と赤城はそれで天城にそれぞれ色違いのブローチを贈った。

「わぁ! 私にですか!? 提督に赤城さん、天城……嬉しいです!」
 
天城は素直に喜んでくれていたのでよかった。
もしかしたら過去にとあるビラを撒かれてそれ関係で葉っぱ関係は苦手なんじゃないかと危惧していたけど杞憂だったか。
そんな時だった。

「あー! 雲龍姉、提督に先を越されちゃったみたいよ……」
「そうね。少し残念……」

そこに私たちに遅れて雲龍と葛城がおそらく天城を探していたのだろうやってきた。

「お前たちも天城にプレゼントか?」
「ふふん。そうよ提督。天城姉の進水日の事を忘れるわけないじゃない?」
「まぁ、私が教えたんだけどね……」
「雲龍姉! それは言わないでって……!」

ぼんやりしていながらもしっかりとダメだしする雲龍と慌てる葛城の姿を見て赤城が、

「やっぱり姉妹というのはいいですね、提督」
「そうだな。天城はどうだ?」
「あっ……その、はい。とっても嬉しいです……」

それで涙を流し始める天城の姿に、

「あー……もう、天城姉は涙脆いんだから……」
「天城、泣かないで……ここは笑う時よ」

雲龍と葛城が天城の涙をハンカチで拭きながらも慰め合っている。
うん。やっぱり姉妹仲はいいようで安心できる光景だ。
ふと、赤城の方を見てみるとやっぱりというかどこか羨ましそうな表情で見ていた。
だから私は赤城の頭を撫でてやりながら、

「大丈夫だよ赤城。姉妹がいないからって赤城にはたくさんの仲間がいるじゃないか」
「……そうですね。それをいったら加賀さんだって土佐という妹が本来ならいたはずですが廃棄処分されてしまいましたから悲しいはずですからね。私だけが悲しんでいられませんよね」
「土佐か……確かにな」

まぁとにかく天城の進水日を祝わないといけないなという事で、

「それじゃ今から私がなにか奢ろうか? ちょうど間宮にいることだしな」
「いいのですか提督?」
「ああ。天城の好きなものを頼みなさい」
「ラッキー! 提督、それじゃ私達にもなにか奢ってよ!」
「……葛城。少し図々しいわよ?」
「いや、いいよ雲龍。赤城や雲龍、葛城にもなにか奢るぞ」
「そう。それじゃなにを食べようかしら……?」
「赤城さん、これなんてどうですか? 新作みたいですよ!」
「それはいいですね葛城さん。それではこれにしましょうか」

四人がそれでそれぞれ個性的に騒ぎだしているのを見て、姦しいなとも思っていた。
やっぱり艦娘と言えど女の子なんだからこれくらいがちょうどいいんだよな。
戦闘をするだけの機械じゃないんだから。
人間と同じく感情を持つ立派な私達の同類なのだから。

「提督! これをお願いね!」
「わかったわかった。それじゃ間宮さーん! 注文をいいでしょうか?」
「はーい、ただいま!」

私は間宮さんを呼んでそれからみんなで新作のデザートを楽しんだ。
その後に雲龍たち三姉妹と別れた後に、赤城と一緒に歩いていたんだけど、

「提督……なにかと私にも気を使ってくださってありがとうございます」
「いや、構わないよ。赤城もたまには気を抜くこともしないと疲れちゃうだろう? 一航戦という誇りと看板を背負っているとはいえ赤城も一人の女の子なんだから」
「もう……提督はずるいです。そんな事を言われてしまったらもう少し提督の事を好きになってしまいますよ……?」
「ははは。それならむしろ嬉しいかな」

そんな会話をしながらも赤城とともにこれからどうしようかと予定を立てていくのであった。


 
 

 
後書き
天城を題材にしながらも赤城さんを主に書いていましたね。
まぁ楽しいですからいいんですけど。




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