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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1837話

 結局俺は犬とフリスビーで遊ぶ時間もないままに、月光館学園に向かった。
 ……何故寮ではないのかと言えば、桐条が今日は生徒会の仕事があるとかで、月光館学園にいたからだ。
 そんな状況でどうやって魔法の勉強をするのかと思ったが、午後2時までは暇らしい。
 生徒会というのが具体的にどのような仕事をしているのか……何より、この月光館学園の生徒会が他とどう違うのか、と。若干気になるところはあるのだが、ともあれ今は桐条も暇らしいので特にその辺は気にしない事にした。
 そんな訳で、俺はいつものように月光館学園にやって来た訳だ。
 だが、春休み中という事もあって以前何度か月光館学園に来た時と比べても、かなり静かだ。
 一応部活中の部もあるらしく、微かに声は聞こえてくるが……うん? 真田とスーパーで遭遇したというのを考えると、ボクシング部は今日休みなのか?
 ともあれ、そんな風に考えつつ……月光館学園の校門前で待っている桐条に声を掛ける。

「待たせたか?」
「いや、私もつい今し方来たところだ」
「……そうか」

 ふと、今の桐条との会話がデートの時に行われる定番のものだと気が付くも、それを口にすれば処刑だ! とか言いかねないので、黙っておく。
 ゆかりと同様、桐条もそっち方面ではかなり疎そうだしな。

「で、時間的にはあまり余裕がないんだろ。どこでやるんだ?」
「うむ、場所は用意してある。こっちだ。……ああ、その前にこれを渡しておく」

 俺を校舎の中に案内しようとした桐条だったが、何かを思い出したかのように、手に持っていた紙を俺に渡してくる。
 その紙には、入校許可証の文字が。
 あー……なるほど。まぁ、俺は月光館学園の生徒じゃない、第3者だしな。
 そんな俺が校舎の中に入るには、こういうのも必要になるか。
 実際には気配遮断とかを使って、普通に入っていたりするんだが。

「私がいない時、誰かに何か言われたらそれを見せてくれ。そうすれば、問題はない筈だ」
「分かった」

 このまま紙を持っていても邪魔なだけなので、ポケットに入れる振りをして空間倉庫に収納する。
 そんな俺の様子を見ていた桐条は、今度こそ校舎に案内した。
 そうしてスリッパに履き替えると、そのまま校舎の中を進んでいく。

「あ、桐条先輩、ちょっといいですか?」

 そうして進んでいると、ふとそんな声が聞こえた。
 声のした方に振り向くと、そこには1人の男がいる。 
 どことなく偉そうな……別の見方をすると、自信に満ちているといった感じの男。

「うん? 小田桐か。どうした?」
「ちょっと書類に不備が見つかったのですが……その、桐条先輩。そちらは?」

 小田桐と呼ばれた男の視線が俺に向けられる。
 ……何だか、ナチュラルに見下されているような感じがするな。
 だが、何故か小田桐は俺と視線を合わせた瞬間、即座に視線を逸らす。
 何だ? 偉そうにしてはいるが、実はそれは表向きだけなのか?
 とてもそんな風に見えないが。

「うん? ああ、彼はアクセル・アルマー。理事長と私の知り合いで、今はこの月光館学園を案内しているところだ」
「……彼は、その、もしかして新入生か何かですか?」
「いや……うん? そうだな。そうなればいいな」

 おい?
 当然のように、俺は月光館学園の生徒という訳ではない。
 そもそもの話、俺は戸籍すら持ってないのだから、学校の生徒になれる筈もないだろう。
 なのに、今の桐条の様子では、まるで俺が月光館学園に入学するようにも聞こえるではないか。

「なるほど。……では、お邪魔しても悪いでしょうから、この辺で失礼させて貰います」

 そう告げると、小田桐は即座にその場から去っていく。
 何故かは分からないが、向こうは俺を思い切り怖がっているらしい。
 いや、何でそうなったのかは、本当に分からないが。
 ともあれ、それよりも前に今は聞くべき事がある。

「桐条、何のつもりだ?」

 そう尋ねるが、桐条は特に気圧された様子もない。
 それなりに視線に力を入れていたつもりだけに、こうもあっさりと視線を返されるというのは予想外だった。
 もっとも、だからと言って桐条の追求をしない訳ではないのだが。

「いや、今ふと思ったのだが、アルマーと協力関係を結ぶのであれば、アルマーも月光館学園に通った方がいいと思ってな。アルマーも日中は特に何かをしている訳ではないのだろう?」
「それはまぁ、そうだが」

 基本的に、俺は日中特にやるべき事はない。
 それこそ、今日のように神社の境内で犬と遊んだり、もしくは部屋でTVを見たり、何か食べる為に外に出たり……といった具合か。
 タルタロスに入れるのが影時間でしかない以上、どうしたって日中はやるべき事がないのは間違いない。

「だからこそだ。アルマーも特に何かやるべき事がないのであれば、月光館学園に通ってみてはどうだ? 知っての通り、ここは影時間になればタルタロスになる。その辺りでも、色々と興味があるんじゃないか?」
「それは……まぁ、否定はしないが」

 何がどうなれば、この校舎があんなダンジョンになるのか。
 そして、タルタロスになった時に入手する金や、16階で入手したレポートの類はどこから来たのか。
 そこに興味を惹くなという方が無理だろう。
 だが……だからと言って、俺がこの月光館学園に通わなくてはならないというのは、正直なところどうかと思う。
 確かに日中は暇だが、だからと言ってわざわざ授業を受けるというのも、正直どうかと思うし。
 あー……でも普通の学生生活というのを経験してみてもいいか?
 俺の学生生活といったら、士官学校とか、何故か子供の姿で女子中学生に混ざってとか、そういうのだけだし。
 そう考えれば、普通の学生生活を送ってみるのも楽しいかもしれない。
 勿論、ここはタルタロスになるんだから普通の学校って訳じゃないけど。
 ……どうせなら、1度くらいこういう戦闘が前提となっている原作の世界じゃなくて、ほのぼの系か日常系って言うのか? そういう世界に転移してみたい気がしないでもない。

「ふむ、どうだろうか。こうして見る限り不満もないようだし、試しに数ヶ月程学校に通ってみるというのは。それで学校に通うのがつまらなかったら、通うのを辞めてもいい」
「……俺は戸籍がないんだぞ」

 そう告げた時点で、既に俺は普通の学校生活を送ってみたいと思っている証なのだろう。
 桐条はそれを分かっているのか、いないのか……ともあれ、俺の言葉を聞くと自信満々に、口を開く。

「その辺りは心配いらない。理事長に相談するつもりだ。お父様にも、報告する必要があるだろうな」

 理事長という言葉に、幾月の顔を思い出す。
 相変わらず、俺はあの男が生理的に受け付けない。
 もしかしてこの学校の生徒になるという事は、あの幾月の命令に従わなくてはならないのか?
 あー……正直なところ、それはごめんだな。
 もっとも、理事長というのは普通なら一々一般の学生に干渉してきたりはしないだろうが。……一般? と一瞬疑問に思ったが、その実態はどうあれ俺が一般の学生という扱いになるのは間違いない。

「それに、彼の一件もある。出来れば岳羽以外にも彼の事情を知っている者はいた方がいい」
「……彼?」

 桐条の言葉に、そう尋ねる。

「ん? ああ、いや。何でもない。4月に転入してくる者がいるのだが、その手続きのついでにアルマーも転入させようと思っただけだ」
「……俺は新入生扱いじゃなかったのか?」

 少なくても、さっきの男……小田桐だったか。その小田桐は俺を新入生なのかと尋ね、それを聞いた桐条は新入生だと頷いていた筈だ。
 だから、てっきり新入生として月光館学園に入るのかと思ってたが……桐条の狙いは違うらしい。
 まぁ、新入生と在校生では、授業が始まった時とか学校の説明やら教師の説明やら授業の説明やら、色々と面倒な説明を受ける必要がある。
 その点、転校生という形を取れば、その面倒な事はしなくてもいい。
 そう考えれば、桐条からの提案というのも決して悪いものではない。
 ああ、何だ。自分でああだこうだと言ってはいるけど、やっぱり俺も学園生活を楽しんでみたいとは思っているのか。
 そう納得すると、俺はあっさり桐条の言葉に頷いてみせる。

「そうだな。学園生活を楽しんでみるのもいいか。……じゃあ、頼めるか?」
「……本当にいいのか?」

 何故か、桐条からは信じられないといった視線を向けられる。
 おい、元々お前が俺に勧めてきたんだろうに。

「勧めてきたお前が、何で驚く?」
「いや、勧めはしたが、まさか本当に引き受けてくれる相手がいるとは、思ってもいなかったんだ。勿論、アルマーがそれを望むのであれば、すぐにでもお父様や理事長にも話を通そう。戸籍の件を何とかするには、やはり相応の手続きを踏む必要があるからな」

 そう言い、俺の前から急いで立ち去ろうとするが……

「おい、元々今日は魔法の勉強をする為にやって来たんだろ。そっちはどうするんだよ?」
「あ、ああ。そうだったな。そっちも重要だった。ちょっと待ってくれ。すぐに勉強する部屋に案内する。ただ、ちょっとお父様と理事長に連絡を入れる必要があるから、待ってて欲しい」
「まぁ、それは別に構わないけど」

 幾ら許可証があるとはいえ、このまま置いていかれるような事があったら、色々と面倒な事になるのは確実だ。
 学校の中にいるのに、制服ではなく私服という時点で色々と怪しいのだから。

「ああ、そう言えば制服とか教科書とかその他諸々はどうすればいいんだ? 金を払えばいいのか?」
「いや、問題ない。それはこちらで用意させて貰う。ただ、一度制服の採寸をするので、今度少し時間を作って欲しいのだが、構わないか?」
「まぁ、日中なら俺は特に何かしてる訳じゃないしな」

 特に今は春休みだという事も関係しているので、桐条に時間を合わせるくらいの事は何も問題はない。

「そうか、そう言ってくれるとこっちも助かる。では、早速だが勉強をやる教室に案内しよう。こっちだ」

 そう言いながら、桐条は俺を連れて月光館学院の中を進む。
 外にいた時は生徒の気配を殆ど感じなかったが、こうして校舎の中を歩いていると、それなりに生徒達には遭遇する。
 もっとも、桐条はその容姿や家柄、そして本人の能力もあってか、憧れの対象ではあっても親しくされるという事はないらしい。
 同じく人気のある女として、ゆかりがいるが、向こうはそれなりに親しみやすい相手という認識らしいが……微妙に棲み分けのようなものが出来てるんだな。
 ……まぁ、生徒達の多くは桐条だけではなく、俺にも視線を向けていくのだが。
 桐条と一緒にいるのが、俺のような……十代半ばで、桐条より年下に見えるというのが、俺に意識を集める理由の一つだろう。
 勿論制服ではなく私服で校舎内にいるというのも大きいのだろうが。

「すまないな」

 3人の女子生徒がキャーキャー言いながら立ち去ったのを見ていると、不意に桐条がそんな言葉を継げてくる。
 何で謝るのかは分からないで、廊下を歩きながら素直に尋ねる。

「何がだ?」
「いや、私と一緒にいる事で、アルマーにも嫌な思いをさせているのではないかと思ってな。正直なところ、普段はここまで避けられるようなことはないのだが……」
「あー……なるほど。いやまぁ、気にするな。俺は別に気にしないから」

 何となく桐条が考えている事は理解出来た。
 恐らく桐条は、自分が慕われているとは思っていないのだろう。
 勿論生徒会という立場にいる以上、尊敬されているというのは理解しているだろうが……それでも、尊敬と好意は別物といったところか。
 また、一緒にいたのが俺だというのも、やはりキャーキャー言われていた原因の1つの筈だ。
 恐らく……本当に恐らくだが、月光館学院内で桐条と親しい男と言えば、まず真っ先に上がってくるのは真田で間違いないだろう。
 ましてや、男女2人で同じ寮に住んでいるのを考えれば、桐条と真田が付き合っている……どころか、既に一線を越えていると考えている者がいても不思議ではない。
 まぁ、普通の奴に影時間云々といった事を言っても理解されない以上、そんな風に誤解されるのは仕方がない。
 一応幾月も一緒の寮に住んでいるのだが、それは大して効果を上げていないだろう。
 他に桐条と親しい男と言えば……さっき遭遇した小田桐だったか? その男もいるだろうが、あいつの場合は明らかに桐条の部下といった感じの男だったしな。
 そう考えれば、やはり真田と怪しい関係にあると思われてもおかしくはない。
 そんな桐条が、私服を着ているとはいえ、同年代の俺と一緒に行動しているのだから、そんな風に勘違いされても仕方がないだろう。
 ……取りあえず黙っておくか。
 そう考えながら歩いていると、やがて桐条は1つの教室の前で足を止めるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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