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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
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いままでのあらすじ


蒔風たちに苦戦を強いるも、時間の経過と共に撃破されていってしまうセルトマン一派。

残るサーヴァントはセイバー、ランサー、アーチャーの三大騎士クラス。
攻撃の完全・オフィナは撤退。見極の完全・フォンはいまだ健在。


そこに、ついに北郷一刀が帰ってきた。

予想以上に時間を掛けてきた彼が手にしているのは、セルトマンに関する情報。
回線は開かれ、その会話は全員へと伝えられる。



最初に口火を切ったのは、一刀からだった。



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「セルトマン家は、遡ること紀元前から続く家系だ」

そう話し始めた一刀は、セルトマンと「EARTH」の玄関を真正面に見据えるように回り込みながら続ける。



「お前達一族は、魔術協会に監視、もしくは管理されていたな?」

魔術協会からセルトマンに関して送ってきた資料は、当初顔写真だけだった。
しかし、ハッキリ言って「そんなことはありえない」というのが、北郷一刀の考えだった。

「あれだけの組織が、封印指定にまでしておきながら素性が一切不明?そんなことはないだろ。ならば、魔術協会が単純に情報の開示を渋った、ってことだ」


時計塔、とも呼ばれる魔術協会というのは、聞いた通り魔術師たちの協会だ。

魔術師というのは「魔術(神秘)を用いてこの世界の根元へと至る」のを目的とする人間のことを言う。即ち、研究職の人間だ。
魔術を用いているが、根元への到達を特に目指さない者を「魔術使い」と、侮蔑の意味を込めて呼んでいるのもそう言う理由からだ。


彼等にとって魔術とは、あくまでも「根元に至る為」に用いる物であり、そのほかに使うのは魔術師として半人前以下、ということだ。
そして、魔術はその神秘性を保つために、その内容を一切の秘匿にしている。

「魔術」という存在が公になっているこの最大世界だが、未だに一般的にはミッドチルダの魔法科学と魔術教会の魔術の違いが判る者など数える程度しかいない。
更には他系統の「魔術」という物も存在し、一口に「魔術」と言っても、絞り込めないのが今の現状だ。



その為、魔術協会は情報の開示を渋った。

「EARTH」は、かなりオープンな組織だ。聞かれなければ言わないが、聞かれればできる限り答える。
そんな組織に、情報をホイホイと与えてその秘匿が守られるとは考えにくい。

そう考えた魔術協会の中で、セルトマンの情報をわずかながらにでも持っていた一派は、セルトマン再捕獲のために顔写真のみをだし、他の情報は一切伏せたのだった。


「それだけ、お前の魔術は希少だってことだ。お前、数年前までは魔術協会の施設に軟禁状態だったんだな?」

「へえ。そこまで調べたってことは・・・・行ったのか?俺の家に」

「いや?お前あそこ跡形もなく吹きとばしてんじゃん」



一刀が資料を見ると、セルトマンが軟禁されていた屋敷はすでに跡形もなく吹き飛びクレーターになっていた。

だが、その情報源である魔術師たちを締め上げて聞けた話の方がはるかに重要だった。



「さてま・・・・そんな知ってる話はどうだっていい。問題は」

「俺が何で、立華奏を狙ったか?」

そう。一刀が言及しようとしているのはそこだ。
とはいえ、彼の中ではすでに答えは出ている。あくまでもこれは確認作業。


「あいつらは言っていた。お前の使う魔術は、繰り返し展開されると。そして、舜から聞いた世界の話から推測するに―――――お前の起源は、流転か循環。若しくはその両方・・・・違うか?」

「いや、流石・・・・・まったく。正解だよ、一刀」

手を広げて応えるセルトマン。


魔術師、アーヴ・セルトマン。その起源は「流転と循環」。
即ち、一巡して戻ってくる、ということ。

確かに、それさえ体現できれば人間として完全な存在となるだろう。


未だ科学でも魔術でも再現できない、完全永久機関として、セルトマン本人が存在することになるのだから。



「奏ちゃんは、死後の世界とかいうところに行って、そしてこの世界に転生という形で帰ってきた」

「生と死の循環ほど、強力で強大なものはないからな。ライフストリームの流れで手っ取り早くやっても良かったんだが、やっぱりこっちの方が質がいい」

一個人の死後から現世への命の循環。
その流れを奏の魂から逆探知のように読み取り、パターンを取り込んだことで彼の起源は最大級にまで強力に仕上げていた。

だが、それでも謎は残っている。


「解せないのはなんでわざわざ奏ちゃんだったんだ?ってこと」

「おぅ?そこまでわかっててそれを聞くの?死後の世界からの転生だからって」

「だったらこの世界の人間、いくらでもいそうじゃないか。なんでか知らんが理樹を襲ってまで奏ちゃんにこだわったのは、なんでだ?」


一刀の言葉はまさしく正論だ。
輪廻転生した魂ならば、この世界の人間のほとんどにあてはまるだろう。

もしも結合前の人間では不安だと言うならば、新生児でも良かったはず。

それでも、彼は立華奏にこだわった。
それは、なぜか


「だってほら、おっさんやるよりかわいいあの子の方が――――」

「ざけんなバカ。そっちのが確実だからだろうが」


セルトマンのふざけた台詞。
それを、やっと到着した蒔風の言葉が遮った。

観鈴を引き連れ、回復してもらいながら蒔風がセルトマンを指差して糾弾する。


「音無が言うには、力のある子だったらしいからな。奏さんは確か、あの世界じゃ天使と呼ばれるほどの実力者だった」

「舜!!」

「おお、蒔風!!身体ボロボロだが――――なるほど、観鈴っちに治してもらったのね」

「うっせぇ。話題逸らすな」


振り返り、蒔風の登場に一刀が反応する。

そして、セルトマンが嬉しそうに腕を広げた。
まだ遊べる。そう言わんがばかりにだ。


だが、そんなセルトマンの態度を無視して蒔風が言葉を続ける。



「そもそも、お前は死後の世界をどうやって知った」

「ん、そういえばそうだ・・・なんでセルトマンはそれを知ってたんだ?」

「俺が昔、「奴」とともに訪れた最後の世界。因果変更でいなくなった魔女のこと以上にシークレットだぞ?それを貴様が知っているのは、なぜだ?」


ギラリと睨み付け、蒔風がセルトマンに問う。
だが、薄っすらと笑みを浮かべて、セルトマンは答えない。


言いたくない、というわけではない。
それは、蒔風がすでに答えに行きついていることを知っている目だった。

だからこそ、セルトマンは言わないのだ。
蒔風の口から、その言葉が出てくるのを待つ。



「英霊の座からは、決して出てくるはずのないサーヴァント。立華奏の理由。彼女を見つけ出した捜索魔術。すべてつながったぞ、セルトマン」

「それで?」

「たった今、調査を頼んだ佳景山と初原から連絡が入った。お前は―――――同系統の奇蹟をもとに、立華奏の居場所を特定したんだよな?」

「正解」

蒔風に、称賛の言葉を贈るセルトマン。短い、一人分の拍手がその場に響く。



ここに向かってくる途中、依頼をした佳景山と初原から連絡があった。
アライアの戦闘中というわずか数十分前に頼んだことだと言うのに、即座に動き結果を出してくれた彼等には感謝するしかない。

その報告は、以下の二つ。

『確かに、お前が言ってた街はあったよ。言ってた通り、昔、山の上の大木で事故があったらしいな。住宅街に「水瀬」って家もあった』

『屋上にプラネタリウムがあるデパートは、そう多くない。確かに、花菱デパートに少女型のかわいいガイドアンドロイドはいたぜ?ゆみな、って子だった』


即ち、それは――――――


「お前が集めた物は、それぞれ"輝志"による奇跡の片鱗だ。世界名は――――」

「KanonとAirだろ?それから」

「そして、CLANNAD、planetarian、リトルバスターズ・・・・極め付けには、Rewriteだ」


セルトマンの後に、蒔風が一気に言い切る。
我々であるならば、これどういった意味を持つかは一目瞭然だろう。

しかし、世界をめぐった蒔風やショウならばともかく、セルトマンがその情報を知っているのはありえない――――!!!


「これは、別の世界でいずれもゲームとして発表された世界だ。しかも、すべて同ブランドからの物として・・・・それをテメェが知っているということは―――――お前は、この世界のアーカイヴに通じている、ということだ。違うか!!」

「――――大正解」


蒔風の言葉に、セルトマンがニヤリと口角を上げた。

ほとんどのメンバーは、その話の半分程度しか理解できていない。




蒔風と「奴」の訪れたこと、そして結合によって、本来とは異なった未来を進んでいるこの世界。

だが、それ自体は何もおかしいことはない。
パラレルワールドという物の確認は、すでにされている。


そしてこの世界にはさまざまな世界が結合している。
その各世界の「基」が「原典」だ。


このアーヴ・セルトマンは、この最大世界に結合した世界の原点が並ぶ場所。アーカイヴに大聖杯を接続しているのだ――――!!!



「道理でこいつ、馴れ馴れしいはずだ。だってこいつは、ある意味じゃぁこの世界の「視聴者」か「読者」なんだからな!!」

「魔女のことを知っていたのも・・・・」

「大方、まどかちゃんの世界の原典を見たんだろうよ」

「じゃあ、俺達の力とかを知っていたのも、この最大世界の原典を見たから!?」

「面白かったよー、君らの物語」

「・・・・そりゃどーも。もしよかったら「良かった点」「悪い点」「一言」を添えて感想が欲しいね」

「あっはは、誰宛に?他の世界で、この世界を受信した人を探すとか?」


セルトマンが大聖杯を接続しているのは、アーカイヴ。
彼は、そこの登場人物を引っ張り出してサーヴァントとして召喚しているのだ。

故に、ゼストや朝倉涼子、ティーダ・ランスターを召喚することができたのである。


「それにお前の力の起源が流転と循環、ってのもわかった。おおかた、自分の排出した魔力を循環させて再び利用しているんだろう?」

「ああ、そうだろうな。ってか、それ調べてきたの俺だし!!」

「いや、サンキューだ、一刀。ホント助かってる。でも遅刻しすぎじゃね?」


敵の正体がわかったからか、荷が降りたように談笑し始める蒔風と一刀。そしてそれを眺める観鈴。

しかし、セルトマンは手を振って

「違うよ」

と、言い放った。



「・・・・・は?」

「ああ、確かにオレはアーカイヴに接続しているよ。俺の君たちに対する情報の出所も、まあそこさ。でも、俺の使っている魔術の根元はそれだけじゃない」

ズッ、と
セルトマンの足元が光りはじめる。


それは、さっきまでも見たことがある光。
回数は七回。即ち―――――サーヴァント召喚の魔法陣だ・・・・!!


「うっそだろ!?」

「あのさ。話だとコイツ、聖杯戦争のプログラムいじってんだよね?」

「・・・・ああ」

「だったらさ、別のサーヴァントを召喚するのも可能なんじゃない?既存の七騎じゃない奴とか」

「・・・・そう来るか・・・!!」


これまで流れ良く倒してきたから忘れていたが、セルトマンの召喚できるサーヴァントは、七騎とは限らない。
故に、欠員が出れば追加の人員を召喚することが可能である、ということ。


「さて、ではルールをお話しようか。この聖杯戦争、召喚できるサーヴァントは七騎までだ」

召喚の光の中、セルトマンが笑いながら今回の聖杯戦争の内容を語る。
七騎という数を越えると、サーヴァントの性能が下がるらしい。

予備回路もあったらしいが、その分もすべて大聖杯につぎ込んでいるため、七騎が限界だ。


「しかし、追加召喚は可能だ。更に、一度召喚した者は二度と召喚できない代わり、別のサーヴァントの召喚が出来る」

そう言って、呟くのはクラス名。
しかし、それにしてはおかしな点が一つ。


「ライダー、ライダー、ライダー・・・・!!」

ドゥンッッ!!と、煙と光を発して召喚されるのは、まさかのライダーが三人。


「クラスの重複が可能なのか!?」

「そう。やろうと思えば、セイバー七人組も可能だ」


そうして煙の中に現れたライダーたちは、どうやら仮面ライダーらしい。
各々変身アイテムを手にして、それを起動させてくる。


「マズイ!!退くぞ!!」

「え!?」

「あいつはなんでか知らんが「死者」しか召喚してこない。だが、もし生者も召喚できるとしたら、お前勝てるか!?」

その通り。
原典に接続しているということは、いまだ生存している者も召喚できることを示唆している。

もしもそうなったとき、今この場で戦闘に入るのは圧倒的に不利だ。


「セルトマンが言っていたのは全部本当だった・・・・じゃあここであれらが戦ったら潰されちまうじゃん!!」

「ってこと!!逃げる逃げる!!」

翼人だからわかる。
セルトマンの言葉に、嘘偽りはない。


蒔風たちが駆け出して、その場を後にしていく。
それを見ながらセルトマンは「EARTH」ビルへと入りながら、フォンへと撤退の指示を出していた。




一方、蒔風たちの背後から聞こえてくる変身音。
いずれも聞いたことがある、この世界にいるライダーたちと同じタイプだが、細部が異なっている変身音だ。


「ガブリ」

《(ピッピッピッ)standing by》

《スカル!!》

「「「変身」」」


しかし、蒔風たちはそれを確認しようともせずに走り抜ける。


「セルトマン、言ってたよな」

「ん?」

「確か、一度召喚したのはもう呼べないって」

「そうだ。だから俺たちは退かなきゃならない」

「がお・・・「EARTH」総力戦ってことだね」



平原を走り抜けていく三人。
そして、目の前から別の三人の人影が現れ――――



「あいつら任せた!!!」

「「「変身!!」」」


三人を飛び越え、現れた三人の仮面ライダー。
一人は疾風を、一人は赤い閃光を、一人はステンドガラスのような色彩を纏いながら変身し、蒔風たちの背後に迫る三人とぶつかり合って、衝突した。



「テメェらは―――」

「俺達《ボクたち》が―――」

「倒す!!!」



蒔風に頼まれた三人は、仮面ライダーファイズ、W、キバ。
セルトマンが召喚したのは――――


「気に入らないなァ・・・・」

仮面ライダーカイザ・草加雅人と


「渡・・・悪いな」

仮面ライダーダークキバ・紅音也と


「お前は・・・・翔太郎か?」

仮面ライダースカル・鳴海荘吉である。




そして――――――――――――




「EARTH」ビル局長室。
大聖杯の核があるこの部屋。


「・・・・来るか?」

ギィ、とそこの椅子に座る男が、ピクリと動いた。



サーヴァント、再び七騎揃う。



to be continued
 
 

 
後書き

まさかのサーヴァント七騎召喚再び。
ですが、そろそろセフィロスあたりはガタがくると思います。


セルトマンが接続したのは、アーカイヴ。
原典を知っているから、蒔風たちにも馴れ馴れしいんですねぇ。

多分、自分たちがあっちの世界行ったらあんな感じですよね?

ガイア・ティガ・ダイナの映画の時とかそうでした。
なんでこの子は僕のこと知ってるんだ?って。

この世界のアーカイヴにある原典は、この最大世界に結合された作品群と「世界をめぐる、銀白の翼」です。


セルトマンは死人しか召喚しません。それは彼の目的のためにです。
出来ないわけではないのですが、やる必要がない、ということですね。

現状のサーヴァント

セイバー:セフィロス

ランサー:ゼスト・グランガイツ

アーチャー:ティーダ・ランスター

ライダー:草加雅人(仮面ライダーカイザ)

ライダー:紅音也(仮面ライダーダークキバ)

ライダー:鳴海荘吉(仮面ライダースカル)

???:???


ティアナ
「次回、超える世代」

ではまた次回 
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