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レーヴァティン

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第二十二話 東の島その二

「凄いだろ」
「そうだな、空を飛べるとはな」
「人間がそう出来るなんてな」
 明るい笑顔でだ、船乗りは英雄に話した。
「本当に夢みたいだよ、けれどな」
「現実だな」
「俺達が現にこうして飛んでるな」
「確かにな」
「それが何よりの証拠だよ」
 彼等が飛んでいるそれのというのだ。
「この通りな、それでな」
「このまま飛んでだな」
「東の島に行くからな」
「そこの港までか」
「ああ、堺までな」
「堺か」
「いい港町だぜ、豊かだしな」
 そうした街だというのだ。
「人も多いし色々な奴がいてな」
「商いも盛んか」
「そうなんだよ、ただ西へを行き来する空船がな」
「今の話の通りだな」
「ああ、多くは飛ばせられなくなっててな」
 それでというのだ。
「商いも今一つな感じなんだよ」
「成程な」
「それで俺達もな」
 その船を動かす船乗り達もというのだ。
「出る船が少ないとな」
「仕事も少ないな」
「そうなんだよ」
 まさにその通りだというのだ。
「これがな」
「普通にそうなるな」
「やっぱりこの仕事は船があって動いてだよ」
「儲けになるか」
「そうだよ、本当にな」
「行き来、貿易がだな」
「出来てこそな」
 それこそというのだ。
「食えるんだな」
「そうだよ、まあ普通に食えてるけれどな」
 それは出来ているというのだ。
「おっかあやガキも含めてな」
「あんたの家族か」
「ああ、女房と男のガキが二人いるんだ」
 船乗りは英雄に自分の家族のことも話した。
「その連中も食わせてやっていけてるさ」
「だからいいか」
「まだな、しかしもっと儲けたいな」
 仕事が増えてというのだ。
「だからな」
「そう言うのか」
「ああ、もっとな」
 それこそというのだ。
「いい家を建てないからな」
「そうした理由でか」
「仕事したいぜ」
「では平和になって島が統一されるとか」
「空船の数だって増えてな」
 そうしてというのだ。
「もっと稼げるだろうな」
「そうだな、平和ならな」
「ああ、商売も普通に出来る様になってな」
「その商売の品を西の島に送る」
「それもあるし人の行き来も増えるな」
 平和になればというのだ。
「旅をしたい奴、あっちでも商い出来るって奴が出てな」
「それでか」
「ああ、俺も平和になって欲しいな」
「平和になるといいことが多い、か」
「そうだよ、しかし実際はな」
「東の島もだな」
「戦ばかりだよ」
 西の島と同じくというのだ。
「毎日どっかで殺し合ってるさ」
「物騒な話だな」
「死んだって生き返られるしな」
「術でだな」
「もう気楽な感じで殺し合ってるさ」
 それこそとだ、船乗りは英雄に苦笑いになって話した。 
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