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路上ライブ

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第三章

 大学の講義がない時にまたキャンバスの中で歌う、そこで友人にまた言われた。
「楽しそうに詠うわね」
「歌う場所がいいから」
「この大学もなのね」
「大阪自体がね」
「大阪がいいの」
「この街がね、よくお笑いの街って言われるけれど」
 この評価は日本全体で定着しているだろうか。
「人情があるでしょ、場所にすらね」
「その人情がある」
「大阪の何処もね」
「その人情の中で歌えるからなのね」
「私ここで歌いたいの」
 つまり活動の拠点にしたいというのだ。
「これからもね」
「そういうことなの」
「東京はどうもね」
 一恵としてはだ。
「それが感じらないっていうか」
「人情がないの」
「そうじゃない筈だけれど」
「つまりあんたには合わないのね」
「そうなの」
 要するにそうだとだ、一恵は友人に話した。
「結局は」
「東京はね、私もね」
「合わないでしょ」
「大阪人にはね」
「もっと言えば関西人にはね」
「合わないのよ」
 どうにもとだ、二人で話した。
「あそこは」
「だからなのよ」
「あんたは東京には行かないの」
「そう、ギターは大阪でも弾けるしね」
「大阪の事務所所属になったし」
「それでいいわ、ボカロもね」
 それもというのだ、一恵のもう一つの活動も。
「こっちでやるし」
「大阪で歌って弾いていくのね」
「そうするわ、じゃあ今からね」
「またなのね」
「弾いて歌うわね」
 こう言って実際にそうした、一恵は大阪で歌い弾き続けた。それは彼女にとって実に心地のいいものだった。


路上ライブ   完


                 2017・9・27 
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