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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第百十二話 甥誕生


第百十二話 甥誕生

帝国暦482年12月8日

■帝国全土

この日帝国全土は祝賀ムードに包まれていた。皇太子ルードヴィヒに跡継ぎたる男児が誕生したのである。巷は未だにサイオキシン麻薬密売組織撲滅の真っ最中であり、多くの逮捕者が出ていたが、この日ばかりは皆が皆、新たなる皇子の誕生に祝杯を上げていた。

「皇帝陛下、皇太子殿下、皇太孫殿下、万歳!」
「皇帝陛下万歳!」
「皇太子殿下万歳!」
「皇太孫殿下ご誕生万歳!」

帝国全土で8日9日は休日とされ、軍人を含む公務員には一時金が支給され、臣民には町で酒が振る舞われ、皆が皆暗い世相の中での皇太孫殿下の誕生を祝っていた。一部の人間を除いてだが。

更に恩赦が行われる事が発表されるはずであるが、現在の混乱を鑑み恩赦はサイオキシン麻薬密売事件が済んだ状態で発表される事に成ったが、囚人達にも久しぶりの酒類が配給されたのである。


■オーディン ノイエ・サンスーシ 皇太子宮殿

弱々しい鳴き声の赤子がベビーベッドに寝かされている、彼こそ銀河帝国ルードヴィヒ皇太子の男児エルウィン・ヨーゼフ皇子である。原作では躾も愛情も受けずに我が儘な情緒不安定な餓鬼になったが、この世界ではどうなるのであろうか?

「「皇太子殿下、この度は皇子誕生おめでとうございます」」
「ブラウンシュバイク公爵、リッテンハイム侯爵、忝ない」
腹の中では、喜んでも居ないのに上辺だけの挨拶をしあう皇太子と貴族達、
凄まじい火花が散る状態で有ろう。

上辺だけの挨拶をする貴族もいれば、勢力争いで沈下した地位を次期皇帝になるはずの皇太子殿下に媚びを売り、復活の足がかりにと必死に頑張る姿はある意味滑稽でもある。

しかし、最近父である皇帝フリードリヒ4世の開眼で過ごし辛くなって来たぼんくら貴族達にしては、露出が少なく、大人しい感じの皇太子殿下は操りやすい御神輿としての価値が急上昇しつつあったので、今回の皇子誕生で、繋がりを強化しておこうと考えるのも仕方のない事であった。

此処にもうらぶれた、一貴族が参列してきた。ブラウンシュバイク公やリッテンハイム侯はあからさまに汚物でも見るような目で見ている。

「皇太子殿下におかれましては、この度の皇子ご誕生、誠におめでとうございます」
「クロプシュトック侯爵、よう来てくれた、嬉しく思うぞ」
うらぶれているが故に必死の懇願が判る姿に皇太子殿下も上機嫌である。


帝国暦483年1月1日

■オーディン ノイエ・サンスーシ 黒真珠の間 テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム

新年が来ましたが、今年は新年の宴も普段と違い自粛気味ですが、うざい連中が少ないので快適です。兄上は待望の男児誕生でにこやかに過ごしておりますが、あの赤子がエルウィン・ヨーゼフ2世となる訳で私としては非常に複雑な気分ですね、まあ育成方法を切り替えて我が儘にしない方法もありますから、それをするようにして貰うしか有りませんけど。

まあ、あの子のお陰様で継承権第2位から第3位にランクダウンしたので、狙われる可能性が少しでも減れば良いんですけどね。

しかし、ブラウンシュバイク公爵もリッテンハイム侯爵もヘルクスハイマー伯爵もあくどい事してるのに捕まらないのは、非常に上手く悪事をしてるからでしょうね、根こそぎ一気に捕まえて、門閥貴族の勢力を削りまくろうとしてるんですけど、流石腐ってもルドルフ爺さんから続く門閥貴族ですよ、尻尾を出しゃしないです。

グリンメルスハウゼン爺さまの文書を使っても脅しですからね、それで逆ギレするかも知れないから、あんなモノ危なくて使えませんよ。ああ言う物はそれが存在しているだけで全員の恐怖になるんですから、存在がそれと成しに噂で流れるだけで、貴族は戦々恐々ですからね。

使うとしたら、最後の決戦時に出すんですよ。何れ門閥貴族の勢力を削りまくる時にね。

そう言えば、イザークはラインハルトに感化されずに士官学校へ真面目に通っているようです。先ほどの挨拶で、カロリーネが教えてくれたけど。それと無しにカロリーネがラインハルトがカイザーリング艦隊で女傑に酷い目にあったと言う話をしたところ、16歳じゃ喰われるぞと大人に茶化されて、士官学校を確り卒業する気になったんだそうだ。

姐さんは相も変わらず、豪快に生活続けてるけど、やっぱメックリンガーとの接点は全く無し。メックリンガーは絵画制作に力入れてる状態だしね。姐さんさっきから中央付近でワインガブ飲み素晴らし過ぎる状態ですよ。

母様が笑いながら見てますからね。今年は皇子誕生で寵姫が全員宴に来てますから、母様筆頭にアンネローゼも来てるけど、やはりイゼルローンに留まざるを得ないラインハルトとキルヒアイスを心配して少々浮かない顔なだと判りますよ。

アンネローゼには気の毒だけど、散々アンネローゼの悪いところを捏造しているような感じになってますからね。父様も私もグリンメルスハウゼン爺さんもケスラーもだけどね。こりゃ死んだら地獄行きかな?まあラインハルトが簒奪したら数億の人間が死ぬ可能性があるから、それよりマシかと思うけどね。

ラインハルトは今回の事件では全く手柄がない状態なので、万歳昇進で中尉になるのが関の山だけど、大事件の切っ掛けを見つけたキルヒアイスは、双頭鷲勲章授与は確実ですからね、て言うか父様達と私がそうするようにしますからね。これでラインハルトのオマケのキルヒアイスからキルヒアイスのオマケのラインハルトという事になれば最高なんですよね。

そうそう、ランズベルク伯は相変わらずの下手な詩ですけどガタイが良くなって来てますね。先だってオフレッサーに聞いたんですどけ、装甲擲弾兵としての適正も出来てきて本人も是非装甲擲弾兵へ配属を希望するとの事でした。それを話してくれたオフレッサーは凄く嬉しそうな顔をしていましたよ。

そうでしょうね、門閥貴族であるランズベルク伯が泥まみれと蔑まれ来た装甲擲弾兵を希望したのですから、詩は下手でも戦略眼や戦術眼はメキメキと上がっていると、事件前の士官学校訪問でシミュレーション担当教官ワーレンとライブルの話を聞いてますから、この辺は間違いないと思います。

何と言っても彼等は、原作で言えばローエングラム元帥府の構成員ですから、人を見る目は確りしていますからね、特にワーレンはいい人ですし、だからこそ引き抜いたんですけどね、ルッツを護衛に迎えたのも同じ、ミッターマイヤー、ビッテンフェルト達は殺したくないんですよ。

ラインハルトが野心を捨てて旗下に来てくれればと何度か考えましたが、彼にはそれが絶対出来ない!何故なら彼は孤高の覇王だからなのだから、諦めるしかないのかしらね。

考えていてもしょうがないわね。今回のサイオキシン麻薬密売組織撲滅で軍内部の将校の数が減るため、優秀な人材の特進を行う予定だ、此処で彼等を一気に上げ、経験を積ませる予定と成っている、宇宙艦隊司令長官もエッシェンバッハに親補される予定だ、ベヒトルスハイム元帥は持病の心臓病が今回の件で悪化して入院したために退役するそうだ。

今回の事件を利用しまくり、軍、政、貴族などの膿を出し切るつもりだ。

けど今日はお祝いだ、このぐらいで止めて、みんなの所で世間話でもしよう。この時間が一番癒されるのは父様よりは遙かにマシだよね。父様は四六時中大変なのだから。

 
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