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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0171話『陽炎と叢雲の進水日』

 
前書き
更新します。 

 





私が廊下を資料を持ちながら歩いている時だった。
目の前にいきなり陽炎が現れて、

「ね、司令。ちょっといいかな?」
「どうした陽炎?」
「うん。厳禁な話なんだけど今日って何の日か知ってる……?」

陽炎の言葉に少し考えてみる。
そして思い当たるのはやっぱりあれだろうと思って、

「そうだな。今日は陽炎の進水日か?」
「あったり! さっすが司令だね。だけどまだ正解じゃないかな? もう一人いるでしょう?」
「叢雲の方か?」
「うわー……やっぱり把握しているんだね」
「なんだ。答えてやったのにその露骨に嫌そうな顔は?」
「いや、司令って大体の艦娘の進水日は把握しているんだなって再確認しただけよ。その日になったら何かを贈っているのは知っているから」
「そうか。それだと陽炎は何か欲しいものがあるのか? わざわざ催促に来るって事は?」
「いやいやそんなんじゃないって! ただね、叢雲の件なんだけどね」

それでどこか表情を曇らせる陽炎。叢雲が何かあったのかな?

「つい数日前なんだけど叢雲にそれとなく進水日が同じだねって尋ねたんだけど、あの子自分の進水日の事を覚えていなかったのよ」
「あの叢雲がか……?」
「うん。それで場は流れちゃったんだけど、司令、どうしたらいいと思う……?」
「どうしたらいいか、か。まぁこういうケースもなくはないからサプライズで贈り物を渡して驚いてもらうのも一つの手だとは思うけどな」
「そっか。サプライズプレゼントって手もあったか。ありがと司令! 私もちょっと考えてみるよ」

そう言って陽炎はなにかを決意したような顔をして走っていってしまった。

《陽炎さん、何を思いついたのでしょうか……?》
「さぁな。まぁこちらも二人分のなにかを用意しておくか」
《そうですね提督》

それで私と榛名はいつも通りの酒保でなにか彼女達に合ったいいものはないかと検討をしていた。






なにか最近陽炎が私の周りをうろちょろするようになったんだけどなにか用かしら……?
小声で進水日がどうとか言っていたけど、それ関係かしらね?
まぁ陽炎が話をしてきた時につい反射的に知らないとか答えちゃったけど今日が私と陽炎の進水日だってことはしっかりと知っている。
そして司令官も密かに動いているのも知っている。
だから余計に目につくのよね。私も何かをしないといけないかしらって思うほどには……。
それでどうしたらいいか、吹雪に相談してみた。
こういう時にはあの子は役立つからね。

「で、どうしたらいいと思う?」
「うーん……叢雲ちゃんだけだったらいいんだけど陽炎ちゃんの進水びと被るかぁ。それじゃ叢雲ちゃんもなにかを用意してあげた方がいいんじゃないの? 陽炎ちゃんもなにかを用意しているんだったらお互いに楽しくなると思うし」
「やっぱりそうなるのよね。さて、それじゃどうしたものか……?」
「なんならプレゼント選び、私も手伝うよ? 私達も叢雲ちゃんになにかあげようって数日前から姉妹艦で話し合っていたし」
「あんたねぇ……素直なのはいいけど私の前で言うのはどうかと思うわよ?」
「えー? いいじゃない」

そう言って吹雪は私に抱きついてくる。
むむむ。普段から騒がしい子だったけど今日は余計に甘えてくるわね。
まぁ悪い気はしないけどね。

「それじゃ酒保にでもいこうか」
「そうね」

それで吹雪と一緒に酒保へと足を運んでいく。
するとばったり司令官と遭遇してしまった。

「お、叢雲に吹雪か」
《こんにちは。吹雪さんに叢雲さん》

司令官と榛名さんに挨拶をされたので私達も挨拶をした後に、

「司令官も叢雲ちゃんと陽炎ちゃんのプレゼント選びですか?」
「まぁ本人の前で言うのもどうかと思うけどそうだよ」

それでどこか苦笑いの司令官。

「ほら。吹雪、渡すまでは隠しておくのもありなのよ」
「状況によりけりだと思うけどな?」
「しかし、叢雲。君は進水日の事を忘れているんじゃなかったのか?」
「えっ? 誰からそう聞いたの?」
「陽炎からだけど……。それで私もサプライズプレゼントをしようと思っていたんだけど」

司令官はそれで「考え直さないとな」と言っていた。
それにしても、やっぱりあの時の咄嗟の言葉でそう誤解しちゃったのね、陽炎は。
ま、それならそれで好都合かしら?

「それならそれを利用してやろうかしら?」

私がそう言うと司令官と吹雪がニッコリと笑みを浮かべる。

「な、なによ……? 言いたい事があるならはっきりと言いなさいな?」
「いや、叢雲は優しいなって思ってな」
「うんうん。さすが私の妹です」

なにか司令官と吹雪がお互いに分かりあっているのか笑みを浮かべあっている。
少しむかつくわね。
まぁ、いいけど。
それで私は陽炎に何を渡すか選んでいたんだけど、渡すものが決まった時にそこに不知火がやってきた。

「叢雲。陽炎が部屋に呼んでいましたよ。おそらくサプライズがどうとか言っていましたからそう言う事でしょうね」
「ん、ありがと不知火。それじゃ司令官も一緒に行きましょう?」
「いいのか?」
「ええ。どうせ渡すんだから一緒の方がいいでしょう。不知火はどうするの?」
「私は陽炎型のグループの方で渡しますので叢雲と司令の方で先にやっておいてください。それでは」

それで伝える事は伝えたのか不知火はどこかに行ってしまった。

「不知火もあれで姉思いだからな。色々とみんなで用意でもしているんだろな」
「そうね。それじゃ行きましょうか」
「ああ」

それで私と司令官で陽炎の部屋へと向かおうとしたんだけどそこで吹雪が、

「あ、叢雲ちゃん。後で私の部屋にも来てね?」

そう言って吹雪もどこかに行ってしまった。

「ははは。何か想像できるだけに良い事じゃないか」
「そうでもないわよ。吹雪型は結構盛大に開くから疲れるのよ」
「そうは言うがどこか楽しそうじゃないか?」
「ばっ! そ、そんなんじゃないんだから……」
「わかったわかった。酸素魚雷は食らいたくないからここまでにしておくよ」
「うー……」

私の決め台詞を先に取られてしまったのでなんか消化不足ね。
まぁいいわ。
それで私と司令官は陽炎の部屋へと向かう。
そして扉をノックして、

『入っていいよ』

と、陽炎の声が聞こえたので扉を開くとそこには陽炎が待ち構えていた。

「叢雲! 進水日おめでとう!」

そう言ってクラッカーを鳴らしていきたんだけど、

「あれ……? あんまり驚かないね?…って、司令も一緒なの?」
「ああ」

それで司令官は叢雲に色々と説明をしていた。
それで陽炎は納得した顔で、

「そっかー……叢雲は本当は知っていたのね」
「誤魔化して悪かったわ」
「別にいいわよ。それじゃお互いに……はい!」

陽炎は私にラッピングされた箱を渡してきた。
それなので私も同じく箱を渡す。
それで同時に中身を空けてそれぞれに合った物が出てきたので私と陽炎は互いに笑みを浮かべあう。

「それじゃ私も二人に渡しておこうか」

その後に司令官も私達にプレゼントを渡してきたので姉妹艦でのパーティの前のプチパーティを三人で開いた。
とても有意義な時間だったと思ったわね。


 
 

 
後書き
二人の進水日祝いを同時にやりました。
こうでもしないと二人とも出せないので。
陽炎と叢雲、進水日おめでとうございます。



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