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夢幻水滸伝

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第二十一話 地の星達その十一

「よおないわ」
「陰口とか叩いたりね」
 玲子も言う。
「そういうのはよくないさ」
「ほんまやな」
「特に相手に聞こえる様に言うとね」 
 その陰口をだ。
「相手は一生覚えているだろうね」
「世の中そんなものやな」
「その時は軽い気持ちで言ってもね」
 その聞こえる様な陰口をだ。
「相手は一生覚えてるだろうね」
「恨みは買うもんちゃうわ」
「誰に対してもね」
「その時軽く見てた人も十年後はわからんし」
 そうしたこともあってというのだ。
「少なくとも恨み買ってええことはないわ」
「全くだよ、そうした裏表がある奴はね」
「恨みも買うやろな」
「そう思うよ、あたしも」
「そこは玲子ちゃんやな」
「そうした奴も見て実際有り得ないまでに嫌われてたよ」
「そういうことって女の方がきついしな」
 芥川はこの言葉は真剣な顔で言った。
「何かとな」
「陰にこもっていてね」
「まあ男でも腐ったのおるけどな」
 女の方が、と言ってもというのだ。
「そうした奴とは付き合うもんやないわ」
「全くだね、あたしはいじめはしないけれど売られた喧嘩は買うさ」
「そういう奴は売ってこんやろ」
 その喧嘩をというのだ。
「大抵は」
「まあね、ダチがそういうことされて殴ってやったことはあるけれどな」
「こっちの世界でもか」
「ああ、何度かね」
「そこは自分らしいな」
「腐った奴にはなりたくないし嫌いでね」
 実に玲子らしい言葉だった。
「そういう時は容赦しないさ」
「わしもじゃ、どうもな」
 山本は苦り切った顔になって言った。
「そういうのは抵抗がある」
「自分もか」
「色々ありまして」
 それでとだ、中里に応えた。
「それでなんですわ」
「そうなんか」
「はい、ほんまに」
 こう中里に言い中里も突っ込みを入れなかった、そしてだった。
 芥川がだ、中里と綾乃に言った。
「ほなんあ」
「ああ、次やな」
「次の子等のとこに行こうか」
「二年生はもう回ったしな」
 今面識のある星の者達はというのだ。
「そやからな」
「一年生やな」
「そこ行こうな」
 彼等のところにとだ、芥川は綾乃に答えた。
「そうしよな」
「そやな、それやったらな」
「これで一旦お別れだね」
 玲子が笑って応えた。
「じゃあ先輩達またな」
「何時でもです」
「来て下さい」
 井伏と山本も言ってきた。
「それで何かありましたら」
「何でも言って下さい」
「ほなな、また機会があったら来るわ」
 また綾乃が応えた。
「よろしゅうな」
「はい、それでは」
「また」
 こう話して、そのうえでだった。
 綾乃達は三人と別れ二年生の工業科そして体育科の校舎を後にした。そうしてそのうえでだった。 
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