| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔弾の王と戦姫~獅子と黒竜の輪廻曲~

作者:gomachan
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第21話『奪われた流星の丘アルサス~忍び寄る魔王の時代』【アヴァン 】

『なぜ』――――とヒトは一生の内に感じることは多々ある。
思いがけない行動。起こり難い事態。描ききれぬ現象。
想定外はともかく、予想外のそれらに『理由』を付けることは難しい。
ひとりの『青年』は必ずしも『アルサス』を救う必要などなかったはずだ。
同時に、ひとりの侍女も『アルサス』を訪れる必要もなかったはずだ。
それでも、ひとりの『傭兵』には――はっきりとわかっていた。
力無き侍女はアルサスの領主代理として、その地に住まう民を護る責務があり――
大義無き青年は『助けて』という誘惑に類する甘声に抗えない。
だが、それでも『なぜ』と思わざるを得ないものがいた。

ザイアン=テナルディエ。

彼は以前に一人の青年の戦いを見た。黄金の鎧纏いし勇者の聖戦を。
どういうわけか、彼はその『人を超越した力』を即座に振るおうとせず、まるでガラス細工を扱うかのように、己の力を振るおうとする。
仲間を気遣うのは分かる。だけど、敵の生命さえも大切に扱う青年の真意は分からない。

―――――――――何故だろう?

銀閃の風姫が自軍の地竜を真っ二つに処断した、至宝アリファールを持っているにも関わらず。
一騎当千……などというぬるい言葉では片付けられまい。
戦場を闊歩できる力を持ちながら、約束されし勝利の剣さえもありながら。
銀閃竜の牙を携えしその青年は告げた。

――俺は敗北も勝利も望んでいない。

――俺が『流星』に望むのはただ一つ。戦争の早期終結。

そして、本来なら『敵‐カタキ』同然である自分を信じて、父上の居座るアルサスへ向かおうとしている。
人は生まれる『何故』に理由を付けようとして、相手の意図をたどろうとする。

己と敵。

利益と損害。

思考と行動。

美徳と大罪。

原因と結果。

温情と打算。

結局理由を求める基礎は、生命が『相手より優れていたい』・『自分より劣っているか、いないのか』という、己の保身と安定を求める故の生理現象かもしれない。弱者と強者の輪廻……『弱肉強食』という摂理もまた、生命体が『生きる』という営みをするうえで、避けては通れない呪縛の一つであった。敵と認識し、狂気に堕ちたその先で、やがて『生きる』ことに対して『何故』を問う者も次第に現れた。

カルネアデス――生きる意味を問う一枚の舟板。

地球上たった3割の大地にて、肺呼吸を行う生命体で満たされている現実。火山活動と地殻変動を幾重にも繰り返し、元々は一枚の船だった『大陸』もやがて『王制国家ブリューヌ』・『列州国家アスヴァール』・『東方国家ヤーファ』と名付けられる土地を始めとした7つの舟板に分断された。波間に漂う舟板のような残された土地を巡り、敵と認識し合ったヒトは剣と馬を操り、生存権を巡って争いを始めていった。
飽くなき輪廻のような戦いに、ヒトが疑問を抱くのも時間の問題であった。母のあたたかい肉体から生まれ出で、いずれ自我を抱く赤子の時のように、『何故俺達は戦う?頂いた勲章の為?王の命令だから?』という戦争へ疑問を抱いたヒトの『萌芽』も拓かれた。
やがて訪れた終戦と同時に、『戦争』によってそれまで安定を保たれていた地球上に、未曾有なる天災の事象が訪れる。

平和はそう長く続かなかった。―――――何故?

戦争終結による人工増加。加速する火文明。それらのもたらす、温室効果の含む二酸化炭素での海水上昇により、舟板のように漂う大陸は面積減少への拍車をかけられた。
前時代から続く、燃焼に伴う大気汚染。空を覆いつくす不純物が太陽を遮り、光合成を行えず発生する植物被害。これにより大地の汚染が加速度的に進み、作物ひとつ育たぬ死の国土が生まれた。

砂漠化。
温暖化。
寒冷化。

摂理を知らぬ咎人を裁く自然監獄。
そして――
ヒトの手など行き届いていない新鮮な土地を巡り、国々は再び剣を手に取った。これで戦争が起きないはずがない。

弱者たる小国に、強者たる大国が本能に抗えず訴える。――よこせと。

宇宙を形作る三柱の摂理。150億年前に栄華咲き乱れた機械文明が、宇宙空間から跡形もなく洗い流された、14回目の『新宇宙の孵化』を得たばかりの人類は、『だから』という回答に辿り着けなかった。黒竜の化身を覗いては――
恐らく、黒竜の化身にとって『何故』は愚問なのかもしれない。
直接的ではないにせよ、そうした知的生命体の自然破壊行為が、『古の時代』にて『造られし者』の活動を呼び覚ます結果につながった。
輪廻――摂理――遵守――そうした『宇宙の力学』より外れた者たち。人ならざる者。
戦争発端も、やがて魔物と呼ばれる彼等の発生原因も、黒竜の化身の『何故』には既に『理由』がついていた。

『古の時代』竜具もまた、そうした環境汚染と産業廃棄物たる『魔物』を『浄化』する目的で作られた。全ては生命体に『活力(エネルギー)』を注ぎ込む為に。

ただ、生命体を突き動かすのが活力である以上、『力学』が働く。
停滞した大気が循環して、不要な粉塵物を払拭することで、肺呼吸の為の空気を洗浄透過(クリーニング)する『銀閃』の力学。
膨大な熱量も拡散され、やがて冷却して結晶構造(クリスタル)を保ち、生体の増幅作用を与える『凍漣』の力学。
有機物を燃やし尽くすことで発生する灰が大地に溶ける必須元素(ミネラル)となり、生命の継続効果を維持する『煌炎』の力学。
放射した波長が波長分散(スペクトム)を得た電磁波となり、光酵素によって状態異常から神経回復をもたらす『光華』の力学。
暁の雷衝(インパルス)に作物成長の突破口を開き、冬の眠りから植生を目覚めさせ、実りある豊かな楽園を築く『雷禍』の力学。
天然自然の建造物における測量技術で、仮想空間と現実物体の立体構造(グラフィック)を形成する『虚影』の力学。
無機物層が減別、交換、分改の解体循環(ディスペリング)を得て、これら六つの基礎を建設する『羅轟』の力学。

これら力学を束ねる英知(ヴェーダ)の『王』こそが、『何故』と混迷に惑うヒトを救える英雄へ至れることを、黒竜の化身は信じて疑わなかった。
『無知』そのものが罪だ。ヒトが、滅びゆく自然の叫び声に耳をふさぎ、既に犯した七つの大罪から目を反らし続ける者達の存在そのものが。
――――『だから』なのだろう。戦姫に竜具を与え、力学の自浄作用をもたらす知識にして竜技(ヴェーダ)……たった一振りの『爪』を与えたのは。

汚染された大気を浄化するには、どうしたらいい?
答えは簡単だ。『大気ごと薙ぎ払ってしまう』のが一番。

太陽の光を遮る、空に舞う粉塵を沈下させるにはどうしたらいい?
答えは簡単だ。『空さえも穿ち凍てつかせる』のが一番。

すなわち――

大気ごと薙ぎ払え――レイ・アドモス。
空さえ穿ち凍てつかせよ――シエロ・ザム・カファ。
我が前に集え煌めく波濤よ――ファルヴァルナ。
双焔旋――フランロート。
天地撃ち崩す灼砕の爪――グロン・ラズルガ。
虚空回廊――ヴォルドール。
爪裂の零――ゴルディオーラ。

そうだ。これらの爪があれば、ヒト同士の紛争で汚染された大陸を浄化できる。例え現在を恨まれようとも。

300年前――『乱』の末、『王』となりて幾星霜。『今』を失おうとも、『末』の世の為。

黒竜の化身が竜具の『柄』に……そのような『詩』を刻んだのは何故だ。
我が意に従わず、自らの手で滅ぼしたテナルディエ家への贖罪なのか?
まだ見ぬ理想世界の為に準じた、彼の祖にして素の願いなのか?

何故――――それは、生きる意味を問う永遠の問答であり、未来果てぬ永久の呪詛でさえあった。










【銀の流星軍領地・指揮官幕舎】










「本気なのですか!?あなたは!」

ジェラール=オージェは糾弾した。
彼だけじゃない。父君であるオージェ子爵も、リムアリーシャも、マスハス=ローダントも、銀の流星軍の中枢はそろいもそろって声を上げた。

「相手を信用しすぎです!アルサスに向かうとしても、『個』ではなく『軍』としていくべきです!」

彼女からは厳格な教師の態度で言われた。何らかの罠の可能性を捨てきれず、油断して凱を失う愚は避けたいリムアリーシャ

「危険じゃ!今のアルサス……いや、ブリューヌ勢力圏はガイ殿が想像している以上に魔の巣窟となっておる!」

ぐんずりとした体格の壮年貴族から、かつてブリューヌ王宮で遭遇した経験から告げた。あの時、『光華』の錫杖の一振りがなければ命を落としていただろう。
己の発言からマスハスは、自領土に残されているオードの民が気がかりで仕方がないはずだ。同じ境遇であるオージェ子爵も例外ではない。今では、奴隷のような扱いを受けているのか?民の生活はどうなのか?そのような安否の情報を求めることに飢えつつある。
そのような彼等が、いかなる苦渋の中で申したか、凱にも十二分に分かっている。凱とてこの『孤立無援』に感じられる状況を、何とか打破したいのだ。

――銀の逆星軍と対立したときからずっと、銀の流星軍は敗走の連続であった。

出来る限り物資を確保しており、水以外なら何もしなくても数日を食いつないでいける糧食が手元にある。
だが、今後はどこからか補給も当てにできず、全てを自力で調達しなければならない。戦姫不在のまま、ライトメリッツ帰還は果たせない。自ら敗北を告げるような行いこそ、奴ら逆星の思うツボだ。
ひしひしと……孤立した現実を思い知らされる。
ジスタート兵からすれば、元々アルサスの伯爵に「領土を守る為に力を貸してくれ」と言われた、雇用兵にすぎない。リムの戦姫不在が通達されるまで、そう思っていた。

――今は違う。

ブリューヌ、ジスタートの国境を、習慣を、そして理念さえも越えて、『全軍内部をひとつのまとまった構成員』として、彼等は結成された。
戦姫様を――!ヴォルン伯爵を――!俺達が――!俺達の拠り所を――!助けたい!!
明日という光が閉ざされし世界ブリューヌ。その明日の光を取り戻す為に。
ティグルの明確な目標があった先ほどの戦いの旅とは違い、今度は至極簡単な理由で戦おうとしている。はっきりと目標地点が見えているわけではないのだか。

「――リム」

隣から、フィグネリアがさり気なくリムの名を告げた。

「アルサスにテナルディエがいる可能性は十分あると思う。ザイアン=テナルディエ……この坊やのいう事を信じるわけじゃないけど……ヴォージュ山脈の山岳部にあるアルサスなら、拠点として申し訳ないはず。私なら、誰にも咎められることなく軍備を整える立地条件として、間違いなくここを選ぶね」

身にまとう衣装のように、彼女らしい意見だとリムは思った。地図の端から端まで――そして遠くを見渡して、それでいて決断を加速させて狙いすます『隼』のように。
それに、アルサスはちょうど山脈を挟んでジスタートと隣接している。
凱は以前フィグネリア同席のもと、ヴィクトール王に銀の逆星軍の予測経路を説明していた。『陸』と『海』から攻め立てる、多方面進軍という作戦。

『情』の面で軍は動かない。『理』の面で説くしかないと踏んだフィグネリアの意見だった。

「俺からひとつ――」

今度は凱が告げた。

「フィーネの意見の延長だけど――もし、全軍でアルサスに入った場合、テナルディエ公に気づかれて身を隠されたら、本当に手の打ちようがなくなる。兵力1000.俺達はこれで全軍だからな。できる事なら犠牲は出したくない。まずは俺が先行すべきだと思う」

やはり単独で赴く意思は変わらないのかと、リムアリーシャは凱の表情を覗き込んだ。
かつて、銀の流星軍はガヌロン公爵の降伏勧告を受けた。その時、単独でガヌロン公爵軍の使者として訪れたのがグレアスト侯爵だった。

(グレアスト公の時と同じように、軍全体の存在を悟らせないためなら『良策』なのですが――ガイさんを失う事になれば『愚策』以外ありません)

僥倖と見るべきでしょうか……と別の側面で考えてみる。
誰かを犠牲にして勝利を掴むつもりなど凱にはないが、悠長に時間をかけられないのも事実だ。手をこまねいて状況をより悪化させることも避けたい事態の一つ。
それは決して『甘え』じゃない。今後の展開上で必要なことだから。

決断―――――あとは覚悟するだけだ。

「リムアリーシャさん、マスハス卿、オージェ子爵、これは考えようによっては好機だと俺は思います」

話し合いをするにしても、決着をつけるにしても、相手の総大将がいるアルサスはまさに最良の時だ。もはや迷っている時間はない。
もし、ザイアンのいう事が偽りだとしたら即座に撤退すればいい。単独で向かう事を想定するならば、なおさらだ。

「……わかりました。ここはガイさんの提案に賭けてみましょう。確かに時間はそう多く残されていません」

リムとマスハスは顔を見合わせ、銀の流星軍中枢の人間に告げる。

「長がたに異論なくば、銀の流星軍による『第二次アルサス奪還作戦』を決行します!」

他国から見れば、再びブリューヌへ攻め込む
第二次アルサス奪還作戦――それは、先行隊の凱一人で現地を訪れて状況確認後、銀の流星軍が時間差でアルサス突入する。
ただ遠方の地にて大軍を率いるわけにはいかない。そこでリムは順序立てて説明する。
まず、連れていく兵力は1000。最適な数字というより、凱の言う通りこれで全軍である。敵陣へなだれ込む速度と貫通力を維持するならば、これ以外の数字はない。かつてティグルがエレンに頼み込んでアルサス奪還時に引き連れた兵力と同等の数字だ。
一機当千の『実力』の凱と、文字通り1000の『物量』のみが、彼等に残された最後の武器。失敗は許されない。

「進入拠点は『最も防衛力の装薄』なヴォージュ山脈からとします」

一本道のヴォージュ山脈を抜け、進入と同時に銀の逆星軍の退路を断つ。国境の役目を果たす山脈は『流星』の降り注ぐ進路を欺いてくれるはず。凱はリムアリーシャの軍略論理に思わず気圧された。艶のない金髪も相まって、どこかGGG長官の大河幸太郎の頼もしさを凱は感じ取っていた。
流星の丘アルサスを取り戻す。
決行は夕方日没。

銀の流星軍の末端たちは、指揮官階級の指示を受けて作戦の為に併走を始めた。
そして、話を聞いていた一人の侍女が、名乗りを上げた。

「あたしも……あたしもアルサスへ連れて行ってください!」

ザイアンのもたらした情報以上に衝撃を与えたのは、他ならないティッタだった。

NEXT









懲りずに次回予告です。

――父上は……この戦争をどうお考えなのですか!?――

――貴様とて容赦はないぞ!ザイアン!――

――あたしは今、アルサスを取り戻さんとする一人の『勇者』!脆く儚い道を歩む『弱者』のひとりです!――

――一兵たりとも逃がしはしない!――

――報いは必ず……くれてやる!――

次回はAパート(副題―勇者と王の螺旋曲~今こそ、私たちは勇者を名乗ります)です。バーバ=ヤガーによって強化された、魔弾の王の原作2巻で討ち取られた彼が登場です。





(後書き欄に収まらなかったので、ここへ記します)
ここまで読んで頂きありがとうございます。次回はもう少し文字数を増やして投稿します。(文字数の調整って結構難しかったりしますが――)
読んで頂きました皆様に、『魔弾の王と戦姫~獅子と黒竜の輪廻曲~』の概要を少しだけ解説します。
タイトルは御存じの通り、『魔弾の王と戦姫』が本筋なわけですが、隣にある『輪廻』こそがキータイトルであります。
本作のこだわりは、『原作と同じでいて異なる展開』に意識を傾けて執筆しています。(わかりやすい例がるろ剣の新京都編とか、ドラえもんの映画長編の新~とか)
今回のお話でも、アルサスへ向かう為の兵力は1000とか、次回予告で凱がドナルベインとの戦闘でエレンの台詞をそのまま言い返したり(凱はその時のエレンの台詞を聞いていない)と、略奪しに来たザイアンが、今度は取り戻す側に加担したりとたくさんあるわけです。
元々『輪廻』とは『転生』であり、凱のいる世界は異世界(本当は地球と同じ時間軸)なのですが、これを含めて『異世界転生』となります。すなわち、『原作が及ぼす影響』と『原作に及ぼす発生』をぐるぐる繰り返していきつく先を問い続けるのが、凱の台詞にある『この力を、この時代で、どう振るうべきか、ずっと知りたかった』に繋がります。
公式がチートと世間で謳われる勇者王もとい獅子王凱は、細胞の一つ一つが端末とか、生身で宇宙空間進出とか、プログラムやウイルスの書き換えなんて、殆ど神様から貰ったような能力(だと思う)です。まあ、凱自身もサイボーグからエヴォリュダーへ二度の『転生』を繰り返していますし、もしかしたら、『生まれ変わることで広がる世界』を差すのが異世界転生なのではと思っています。
その力に対して凱は「この身体は世界中の人達を助ける為に、神様がくれたものじゃないか」と答えます。
凱の父親である麗雄博士(凱をサイボーグ治療を施した本人)も、「本当なら、凱は2年前に死んどるはずだった。だが、こうしてサイボーグとして生きてくれとるだけで嬉しいんだ……だから、凱のやりたい事をやらせてあげたい。親として、それを見守るしかなかろう」――
じ~~ん(涙)と来ますよ。10年以上たった今でもこの言葉は……とても浸みます。人間とサイボーグ。概要の異なる世界に分かたれたとしても、親としては、異世界でも生きていてくれただけで、それが分かっただけで嬉しいと、言ってくれるのでしょうか?
別れは誰だって悲しいはず。その悲しさを繰り返さない為に、人は『異常』を『正常』に戻そうとするのです。

話を少し戻して、『チート』についてです。
チートとは、元々コンピューターに用いる言葉なのですが、本作では『別原作によって、本来とは異なる動作を行う原作』を意味します。
アリファールの竜技、メルティーオとか、クサナギとかなんて、本来は原作にない銀閃の技です。中世に比する時代の人間にとって、『断熱圧縮によるプラズマ』や『1兆度の融解熱を対象物へ瞬間伝導』させるなんて、それこそ英知(ヴェーダ)の神髄が成せる――力の均衡を崩す不正行為に見えるかもしれません。
当然、『チート』の存在は『バグ』を生み出します。その結果、本来原作になかったテナルディエの秘蔵兵器『銃』が登場します。アリファールの姉妹剣エクスカリバーも誕生します。これら原作にない武器や武装は、チートを働くもの、若しくはチート自体を消そうと『介入禁止』や『アカウント抹消』という、ステータス違反をした、若しくはしている『登場人物退場』の力学を働かせています。こうして破損したシステムという名の世界は一度『RE:ゼロから始める』必要があるため――それが今回の話に出てきた『第二次アルサス奪還作戦』に繋がるのです。

長文失礼しました。次回も付き合っていただければ幸いです。

gomachan 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧