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夢幻水滸伝

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第二十話 現実の世界でその十二

「親御さんにはちゃんと了承得てた」
「裸の写真撮らせてもらうってか」
「そや、そやからな」
「人間としてはか」
「趣味は今から見たらともかくとしてな」
 幼女の裸の写真を撮影するそれはというのだ。
「折り目正しい紳士やった」
「それは間違いないか」
「しかも知的な、な」
 この要素もキャロルにはあったというのだ。
「オックスフォードで学者さんやったしな」
「オックスフォードやったか」
「そこで成績優秀でな」
「学者さんになったんか」
「理系のな」
「へえ、語学ちゃうんか」
 このことには中里も少し驚いた。
「あんだけ言葉遊び多いのに」
「原語やともっと凄いみたいやな」
 日本語訳のものよりもというのだ。
「相当遊んでるらしい」
「それで語学かって思ったけどな」
「理系の人やった、生活はめっちゃ質素やったらしい」
「そうやったんか」
「一生を穏やかに過ごしてや」
 そのうえでだったというのだ。
「そうした作品も残したんや」
「むしろアリスで有名な人やな」
 本業よりもとだ、中里は実際にこうも思った。
「学者としては知らんけど」
「まあそうなるな」
「それで吉川は、か」
「アリスはどちらも読んだ」
 吉川ははっきりと答えた。
「不思議も鏡もな」
「そうなんやな」
「君も一度読むといい」
 中里を見て勧めた。
「悪いことにはならない」
「そうか、時間あったらな」
「読んでみるな」
「そうすればいい、そしてまだ話すことはるか」
「もうないわ、それにな」
 芥川が吉川のその問いに答えた。
「もう僕等のクラスに帰らんとな」
「授業だからだな」
「二時間目終わってすぐに来たけどな」 
 普通科の三年生の校舎から水産科の方までだ。
「そのこともあるし」
「今戻った方がいいな」
「そうや、そやからな」
「また、だな」
「何かあったらこっちに来てええか?」
「構わない、ではだ」
「あちらの世界でまた会おう」
 確かな顔でだ、吉川は三人にこう挨拶した。
「そうしよう」
「ああ、今夜もな」
「ではな」
 最後にあちらの世界での再会を約した挨拶をしてだった、四人は別れた。そして中里達は自分のクラスに戻るが。
 その帰路だ、芥川はこんなことを言った。
「次の休み時間は二年や一年のとこ行ってな」
「そこにいる星の連中とやな」
「会いに行こうな」
「わかった、ほなな」
「後や」
 芥川はさらに言った。
「わかってると思うけど僕等星のモンは色々な勢力に分かれてるからな」
「敵もおるな」
「そや、この学園は世界中から人間が集まってるやろ」
「生徒も先生も職員さんもな」
「そやから世界中から星の奴が集まってる」
「つまり星の奴は全員この学校の人間か」
「生徒ばっかりや」
 彼等はというのだ。
「そうなってるわ」
「何でそうなってるかはわからんか」
「ああ、考えてみたら不思議なことやけどな」
「そやな、それでもそうなってるんやな」
「ああ、あと自分これまであっちの世界では浮島に行ってないやろ」 
 芥川は中里にあちらの世界のことも話した。
「そやろ」
「まだな」
 その通りだとだ、中里も答えた。
「ないわ」
「そやな、そやからな」
「今夜は浮島に行くか」
「陸地からは見えてるけれどな」
 それでもというのだ。 
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