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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
  第27話 師走

H13年12月後半

 天元位は乃木九段との五番勝負を制した石橋九段が獲得した。

 奈瀬は調子を落としつつも女流棋聖戦の本戦を勝ち進み女流タイトル初挑戦、女流棋聖戦挑戦者となった。女流棋聖の西川恵美三段を相手に三番勝負となる対局は翌年の1月から行われる。

 今年の新入段は伊角慎一郎、門脇龍彦、和谷義高の三名に、女流枠で香川いろは。

 東堂シオンに和-Ai-は見えなかったらしい。

 たしかに東堂シオンは彼女とは別の人物だということは分かっていた。
 けどヒカ碁には登場しなかった僕の知らないイレギュラーだ。
 
 気にならないはずがない。だからこそ期待に胸が膨らむ。
 和-Ai-を倒して僕を元の世界に戻してくれる人物として――。

 戸刈室長には驚かれたが北斗杯で和-Ai-の対局の舞台を用意することはできた。
 
 北斗通信システムの創業会長はTシャツ姿の少しぽっちゃりした若手実業家で、僕は前職(前世の職業)を活かした事業の投資戦略に関する助言や出口計画(Exit Plan)の策定なんかも行っている。
 だけど将来、証券取引法違反容疑で逮捕されないか心配している。株式も持ってるけど、もし会長が球団買収や選挙に立候補したら上場廃止になる前に売るかもしれない。

 北斗杯の一か月前にプロモーションを兼ねたエキシビジョンマッチが開催され各国代表チームの団長とネット碁で公開対局を行うことになっている。

 原作通りなら相手は中国の楊海八段、韓国の安太善八段、日本の倉田厚七段となるだろう。

 一柳棋聖は棋聖位という棋界最高位のタイトル保持者ということで本人の意思とは別に棋院の腰が重い。なので北斗杯とは別件で桐嶋堂のKGSの碁サーバーの宣伝対局っていう企画案も提出している。

 私事だけどアキラくんの中国語はかなり上達した。今は韓国語も別で習っている。

 韓国語は喋れないけど語学についての個人的なアドバイスとして最初はネイティブの先生より、経験のあるノンネイティブの先生から習った方が良いと伝えた。
 中国語に関しては機会があればネイティブと会話を重ねるようにってことで中国語教室にも通い始めた。

 囲碁サロンで進藤ヒカルと鉢合わせたけど特に気づかれなかった。

 まあネットカフェのときは素顔を隠した怪しげなパーカースタイルのラフな格好だったけど、今はビジネスカジュアルで過ごしてるから印象も違うだろう。後はメガネも違うし。←ここ大事。

 4月に行われる北斗杯の予選はアキラくんは免除されてるけど、ただの初段とは違って、天元戦本戦出場、女流棋聖戦挑戦者の奈瀬も予選参加らしい。
 とは言ってもアキラくんは本因坊リーグに続き、11月に最終予選を勝ち抜き名人戦のリーグ入りも果たした。

 凄すぎ!!ってか原作でもそんなに活躍してたっけ??
 と思ってたら東堂シオンの活躍に影響を受けてるっぽい。
 和-Ai-という存在のバタフライ効果でアキラくんも強化されてるのだろうか?

 天元戦の奈瀬と倉田七段の棋譜を並べながら考える。

 名人戦のリーグ入りってことで原作よりも活躍してるってことは分かるけど……強さは分からない。
 僕には東堂シオンの強さも、進藤ヒカルの強さも活躍の度合いでしか分からない。
 そういえば彼女の棋譜だって僕は並べたことが無かった。囲碁に関してはただのミーハーだ。

 来年は元の世界に戻れるとしたら最後のチャンスの年になる。

 さあ、ここからは最後まで走ろう。 
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