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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
  第02話 それぞれの日々

H13年5月後半 side-Asumi

「意外とキレイにしてるじゃん和谷」

 小宮くんと本田さんと和谷の下宿先を訪ねた。まあ彼の部屋に比べると劣るけど、もっと汚れてると思ってた。私も春からアパートを借りて分かったけど独り暮らしってホントに大変。

「っていうかモノがないんだな基本的に」

「さすがに冷蔵庫くらいいるんじゃないの?自炊しないの?洗濯ものは?」

 洗濯物は家に持って帰ってるらしい。私と一緒だ。

 食事も実家で食べたり、師匠の森下先生のところで食べたりするとのこと。生活に必要最低限のモノしかないってところは彼の部屋と似ている。

 それでも彼の部屋に通うようになって1年以上経つが少しずつ物を増やした。

 碁盤だけじゃなくって、ちょっとした家具とかお揃いの食器とか…。

 余りにも殺風景な部屋を少しずつ衣替えして彼の居場所にしてあげたかった。

「毎週土曜日にプロが集まることにもなってるんだぜ」「プロって誰?」

「冴木さんに、岡田さんに、中山さんに」「進藤は?」

「アイツ棋院に出て来ねェんだもん。まだ声かけてねェよ」「進藤、どうしたんだろ?」

「しらねーよ。森下先生は怒ってさ、ほっとけって言うけど」

「なァ、土曜のその研究会、オレも来ていいかな?師匠の研究会は土曜ないし」

「もちろんさ、みんな来いよ」「奈瀬は参加しないの?」

「うーん。興味あるけど土曜は対局や取材の予定があるから、しばらくは無理かな?」

「あれか。若獅子戦で優勝してテレビで取り上げられたから?」

「そうそう。学校でも大変で。いきなり知らない男子生徒から告白されるようになったり」

「マジかよ」「まあ塔矢アキラを押しのけての優勝だしな」

「塔矢アキラに勝ったのは真柴だけどね」「あれは驚いたよな」

「真柴さんはプロになったときも思ったけど……」「あの人は“持ってる”よな」

 そう。塔矢アキラは初日の二回戦で真柴さんに半目差で敗れた。

 確かに真柴さんの碁は悪くなかった。けど、それ以上に塔矢アキラが明らかに精彩を欠いていた。

 勝った真柴さんも天狗になるようなこともなく明らかに苦虫を噛み潰した表情で相手を見ていた。

 その真柴さんは三回戦で越智に敗れて、越智は準決勝で稲垣三段に敗れた。

 勝ち進んでいた私は決勝で稲垣三段を破り優勝を果たした。

 本田さんは二回戦で、和谷は三回戦で、私が準決勝を戦った津坂三段に敗れていた。

「でも奈瀬はホントにすげーよ。入段してすぐに若獅子戦とはいえ優勝だろ」

「若獅子戦で女流棋士が優勝したのは初めてだからな。そりゃあニュースにもなるよ」

「個人的には天元戦が控えてるから対局に集中したいんだけどね」「勝ち進んでるの?」

「6月に後1回勝てば予選B突破で、本院予選Aで2回勝てば本戦トーナメント進出だよ」

「そーいや、塔矢先生が引退したときも言ってたけど、天元位に何かこだわりあるの?」

「ないしょ」「なんだそれ」

「あ、そうだ!和谷は知ってる?」「なに?」

「九星会出身の棋士何人かが勉強と交流を兼ねて中国に行ったんだって」「フーン、それが?」

「伊角さんも一緒にいったらしいのよ。それに」「伊角さんが!?」

「碁、続けてたんだ。伊角さん。そうか…今年もプロ試験受けるのか」

「あー、私もまた中国行きたいなー」

 若獅子戦に優勝したご褒美に思い切って彼に旅行をおねだりしたけど、お互いに忙しく予定が立てられず、とりあえず夏休みになってからとお流れになった。

「あ、伊角さんも中国でちびっこ和谷に会ったら驚くだろうなー」「何だよそいつ!」

 後で楊海八段に伊角さんのこと会うことがあればよろしくってメールしておこう。 
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