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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  薄緑の流れ星


アリスが作り出したこの「EARTH」ビル(仮)は、もともとの物と比べると小さいものの、やはりそれでも大きな建物だ。

とはいえ、内部はかなり敷き詰められているので廊下などは狭くなっている。
二人、横に並ぶとそれだけで封鎖されてしまうほどの幅しかない。


時間帯は深夜。

その廊下を、コールが駆け抜けていく。
振り返っても、そこにパンチホッパー、キックホッパーの姿はない。

龍騎とナイトもサバイブになったまま追ってくる様子がなかった。


「逃げ切った!!」

元気よく宣言するコール。
疑問形ではなく断定しているあたり、この男の性格をよく表している。

つまり――――それは早とちりだと言うことである。



《Rider Punch》

「は?――――ゴッ!?」


腹部に強烈な一撃。
視界の隅に、鈍色の装甲のライダーが移り込んだ。

バォォッッ!!と空を裂きながら、一直線に廊下をすっ飛んでいくコールの身体。


が、それは長く続かない。
即座に回り込んだパンチホッパーが、今度は顎を蹴り上げて前進を止め、その足を踵落としの要領で降ろした。


しかし、相手もあのセルトマンの一味だ。
一筋縄ではいかない。

身を翻して踵落としを回避し、床に両手をついて反撃の蹴りをブチかましたのだ。



装甲から火花が散り、パンチホッパーが転がる。
その背後からキックホッパーが掴みかかるも、それを読んでいたかのように起き上がった頭で頭突きをお見舞いするコール。


ちなみに、この動作の全てはクロックアップの高速世界で行われたものだ。


全ては一瞬の出来事。
しかし、それについて行く速度の完全。


動作が止まり、三人が高速の世界から戻る。

倒れたとはいえ二人のライダーのダメージは浅い。
しかし、一撃を食らったという事実が彼らの脳内に警鐘を鳴らす。


一方、両ばさみからの状態においても、コールは一切焦っていなかった。
ゴキゴキと首や手を鳴らしながら立ち上がる二人のライダーを、逃げ場のないこの廊下に置いて余裕そうに指を指して笑う。


「もう勝ったもんね~。あんたたちの速度じゃ、俺には勝てない!ってな!!」

「結論を早まると痛い目を見るぞ――――!!!」


クロックアップはしない。
それに合わせてか、コールもそのままの速度で二人の攻撃を受け応えて行っていた。



突き出される拳。蹴り出される脚。放たれる攻撃それらすべてを、それ以上のスピードの体捌きで弾き、受け、流す。

(こいつッ・・・・)

(迅い!!)



コールの受けの手はほとんどが手刀だ。
それを以って、時には回避し、時には弾いて防ぐ。

しだいしだいにコールの速度は増し、それに合わせて二人の速度も上がっていく。


侵食され、侵食する攻防。


気付けば、三人の速度はクロックアップのそれへと突入していた。

その上限いっぱいまで加速し、手足を極限まで稼働させていくライダー二人。
コールはそれに対し、その場をほとんど動くことなく(正確には挟まれているので動けないのだが)、全てを受けていた。


その速度は、もはや同じクロックアップに入っても見切れるかどうか。
もともとZECTの隊長という優れた人材である矢車に影山が、さらにクロックアップという力で増長されているのだ。

肉体は当時よりも洗練され、動きは鋭さを増している。


手先足先からは、空気との摩擦によって生じた熱が装甲を染め上げ、一手一足の動作が赤い閃光となって爆ぜていく。
装甲の色は深緑に鈍色だと言うのにもかかわらず、ヒヒイロカネという素材の名称にたがわぬ火花をまき散らしていた。


だがそれを以ってして、コールという男は速度の底を見せていない。



彼等は各自の持つ完全以外のステータスも、常人以上にあげられている。
ゆえにある程度の攻撃力や防御、耐久力はある。

しかしこのコールがこの攻撃にダメージをさほど受けていないのはそれが原因ではない。



速度が速い方が、ダメージは喰らわない。
割り箸の紙袋で割り箸を叩き割るのは、その速度がゆえにだ。

一瞬触っただけでは、熱は伝わらない。
熱が伝わり感知、肉体に影響を及ぼすより早く、手を引けば問題はない。



コールの速度は、すでにその域へと入っていた。


ただ受ける、流すではない。
熱すら、ダメージすら通さぬ速度を以ってして、この二人の攻撃をしのぎ切っていたのだ。

この状況でやり合っている、ということその事実が、すでに二人を凌駕して余りあることの証明に他ならない――――!!!



《Rider Punch》
《Rider Kick》

その状況を打破せしめんとして、二人が拳と脚にエネルギーを送り込んだ。


灼熱の閃光の中に、タオキン粒子の電火が走る。
それがコールの目に、どれだけの速さで映ったのか。それは本人にしかわからない。だが


「「喰らえェ!!」」

「せっ!!」


恐らく、見切り行動するだけの速度にすぎなかったのだろう。


「なに!?兄弟、躱・・・・ゴゥッ!?」

「ハッ・・・ゴッ!?」


両者の肺から、空気が吐き出される。
パンチホッパーの左わき腹に脚が、キックホッパーにの胸に拳が。

コールに放たれたそれらは命中するべき相手を逃し、仲間のそこへと飛び来んで行っていた。


「がッ・・・こいつ・・・」

「回避して・・・ずらし・・・・」


コールは、あの瞬間に倒れた。
正確には、足の筋肉を抜いて崩れたのだ。

そして拳と脚が頭上を通過したところで、回し蹴りを下から少し押し上げたのだ。

ぶつかり合って相殺するはずだったそれは軌道を外れ、お互いに一撃を入れあうという結果になった。



痛みに身体が一瞬止まる二人。
コールは即座に立ち上がり、二人の正面全身に無数の打撃を叩きいれた。


その一撃一撃は必殺とは言い難い威力。
だが叩き込まれた数と位置が尋常ではない。

装甲に守られているとはいえ、急所。
そこを一斉に叩かれては、通常ならば戦意喪失は免れない。



「よっしゃ!!勝――――」

「「ヌゥンッッ!!」」

ガッツポーズのまま、コールが投げ飛ばされた。
倒れそうになったライダーの曇った複眼が、紅く力強く発光し、コールの首を掴んで投げ、胴体を蹴り飛ばして外に投げ捨てたのだ。



ゴロゴロと転がり、口に溜まった血を地面に吐き出すコール。

まだ戦意は喪失していないようだ。
目に見えるダメージはかなりものではあるが、それが実際に効いているかは別問題。



「ふぅ・・・もうこれは勝つな。狭いあそこより、広い外の方が動きやすいし!!」

コールの判断は間違っていない。
彼の速度は、狭い室内でだと発揮しきれない。

対し、屋外ならば逃げ道も回避も思いのまま。


そう、その判断は間違ってもいないし、今度ばかりは早とちり、とは言い難いだろう。

コールは逃げおおせる。
この場において、彼を捕まえることなど不可n―――――


「それはどうかな?」

「外なら外の包囲網ってのが、あるんだよなぁ~」




この状況で、あの人数で。
それでも包囲を展開することが可能な者が存在する。


ハッとして、コールが周囲を見渡す。
そこには、姿を見せていなかった龍騎とナイト。

しかしおかしい。見回すと、それがはっきりとわかる。
そう。彼等はコールを中心に見渡すほどに存在しているのだ。


「俺たちにはこういうカードがあってな」

「へっへ~。もう逃がさねーかんな!!」


ナイトが取り出すのは、トリックベントのカード。
龍騎がもつのは、カードを変化させるストレンジベント。


ナイト五人、龍騎四人の包囲網。
その全てがサバイブ。


建物内からキックホッパーとパンチホッパーも駆けつけ、コールを包囲する。


「詰みだ」

「逃がさないぜぇっ!!」



これだけの数。
ナイトと龍騎は速度についてこれないとしても、それはキックホッパーとパンチホッパーでカバーするだろう。


いくらコールでも、いきなりあのトップスピードにまで加速することは出来ない。
しかし、その状況でもコールの打算は崩れない。



「行けるっ!!」


それはまた早とちりか。はたまた、高速で計算した結果なのか。
どちらにしろ、彼は目の前の状況から考え着くことを口にする。


判断は早い。しかし、間違うことも多い。


だが、的外れなことは言っていない。




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「相手を――――考える?」

「そうだ」

階下の騒乱は届いていないのか、理樹と鈴の話し合いは進む。
空を見上げるが、答えはそこにはない。

いまだ曇った空は、なんの光も通さない。


「鈴は考えてるの?」

「当たり前だろ」

理樹の質問に、ズバッと切り返す鈴。
これだけはっきり言われると自信のなくなってくる理樹だが、鈴のドヤ顔を見ていると笑ってしまう。


「鈴の、敵って?」

「きょーすけとか、筋肉バカとかだ」


質問の答えは、あまりにも日常的なものだった。
座っていたら、ズリ落ちていたかもしれない。


「鈴・・・僕が言っているのはね・・・」

「まだわからないのか」

「む・・・じゃあなんだっていうんだよ」

少し言葉が荒くなる。
しかし、それを気にとめることもなく鈴は言葉を続ける。


「あたしはバカ兄貴や筋肉バカを蹴り飛ばすとき――――決して容赦はしない」

「ああ・・・うん、知ってる」

「でも、他の奴を蹴るときはそんなに強くしない」

「・・・・え?」


鈴の蹴りは、時にあの真人を倒すくらいの物だ。
本気なのはわかるが、それ以外の奴には本気じゃない・・・というのは、理樹は少し引っかかった。


「どういうこと?」

「あのバカはいくら蹴っても絶対に立ち上がる。きょーすけもだ」

「まあ真人なら・・・・」

「あたしは、真人には全力で蹴り飛ばす」

「そうじゃないと効かないでしょ、真人には」

「違う。あたしが言いたいのはそーいうことじゃなくて・・・その・・・・・」


ここで、何が恥ずかしいのか鈴は口をすぼめる。
はてな?となっていると、下の方から騒ぎが聞こえてきた。

ちょうど、コールが外に投げ出されたところだ。
立ち上がってフェンスから乗り出し、下を見るとそこにはいつの間にか戦闘を始めている四人と侵入者の姿が。


「大変だ――――」

「理樹」

「ちょっとまって!今行かないと・・・」

「理樹!!」


鈴の言葉を振り払って下に降りようとする理樹。
今の自分が戦えるかわからないけど、加勢に行かないといけないだろう。

しかし、その理樹を鈴は強引に止めた。
肩を掴み、拍子に押し倒してしまう。

理樹に覆いかぶさるように四つん這いになる鈴。


お互いに顔が近づき、少し頬を赤らめる。

一瞬の思考停止。
そこから逃がさないと言わんばかりに、鈴が口を開いた。


「私は、真人や恭介を信じているから全力なんだ!!」

「え・・・・」

「どんな無茶をしても、思いっ切りやっても、あいつらなら大丈夫だって信じているから、私は安心してやるんだ」

「――――――」

なんとなく
理樹には言われていることが分かった気がする。


だが、解っていても理樹にはそれをそのまま飲みこむことは出来なかった。
溜飲が下がるには、少し無茶があった。

「この人は全力を出しても大丈夫だって・・・敵を信じるの?」

「出来ないか?」

「難しいよ・・・・」


少し気は楽になった。
だが、完全には―――――


「ンっ!?」

そして
まるでそれを後押しするかのように、鈴の唇が理樹のそれに重ねられた。

胸で詰まっていた言葉が、すとんと落ちた気がする。


そして、一息を入れながら離れていく。



「じゃあ、足りない分はあたしを信じろ」

理樹は言葉を返せない。

反論などない――――



「それでも足りなかったら、今度は小毬ちゃんを信じろ」

もうすでにその言葉に意味はない――――



「それでもなかったら、きょーすけも、真人も、謙吾も、みんなもいる」

なぜなら



「お前はあたしたちのリーダーだろ。みんなの期待を、裏切っちゃめっ!だろ」

すでにそれは、彼の納得のいくところに落とされているのだから。



「だから・・・んきゅっ!?」

理樹が、鈴を抱きしめる。
数秒そうして、理樹が立ち上がった。


その顔は、もうすでに曇ってなどいない。


気付けば 空にもう雲はなく
瞬く星と 輝く月が 闇夜を彩っていた

「行ってくるよ」

「ああ・・・ばっちりやってこい」


フェンスに立ち、飛び降りる理樹。
それを見送る鈴を、扉の陰からリトルバスターズのメンバーが覗き見していた。


理樹を元気づけようと集まった彼らの手には様々なモノが抱えられていたが、どうやら必要なくなったようだ。

その中で、小毬が手を合わせて空を見上げる。

「願い事、叶いますように」

そして、空には流れ星。




薄緑の翼は、友の想いを背負い広がる。




「!?」

その速度を以ってして四人ライダーを圧倒しながらも、今だ包囲網を抜けられないコールは、頭上にその気配を感じて見上げる。



満月だ。
そしてその中心に、翼を広げた人間が。


月光を受け、その薄緑の翼は瞬きに美しさを携え―――――





ズドドドドドッッ!!

「はぇえ!?」

コールを中心に、円柱状にバリアを張らせた。
地面から生えるように生まれたそれはコールの逃走経路の全てを断ち、自身は開いた真上から飛び降りていく。


「だがまだいけるだろ!!」

コールはそれに対し、今だ打算を持っていた。
左右の壁を交互に蹴って上がって行き、理樹をすれ違いざまに切り抜ける気だ。

そのまま逃走、勝利、という考えらしい。



だが


理樹はコールを素通りさせた。
特に止めるわけでもなく、攻撃するわけでもなく、そこを通したのだ。


おかしいと思いながらもコールは円柱の中から出て、地面に足を付ける。
そこから一気に駆け出し、占領した「EARTH」ビルへと帰還するのだ。


しかし、おかしいではないか。


着地するまでの自由落下の時間
そして、足に力を込めて加速するまでの時間

その間にでもいくらでも妨害の手はあっただろうに

他の四人は、一切手を出してきていない。






「逃げるぞ~・・・っとうぶ!?」

コールが、眼前の壁にぶつかる。

薄緑のドーム。
円柱を中心に、円形に壁が張られている。


そしてその内側から更にもう一枚、地面から出現してドームを作る。

コールは巻き込まれぬよう下がるが、更に内側からもう一枚、さらに一枚、さらに一枚とドームはその大きさを縮めながらも次々に作られていく。


反対側に行こうとも
地面を掘ろうとも
真上に飛び上がろうとも
無数の打撃で砕こうとも


その壁が崩れることはなく、次第に追い詰められていくコール。


四人は手を出さなかった、のではない。
出しようがなかったのだ。この状況では。



だが、コールは行き場をなくして負けるのではない。



「うお!?」

再び行動しようとしたコールの腕が、ガクンと止められる。

バリアを使った拘束。
それを高速振動で破壊しようとするコールだが、振動するだけの隙間すら許さない。

本来ならば身体に食い込み、最悪だと鬱血する可能性すらあるほどだ。



しかし、理樹は信じる。

相手のことを信じるのは、彼にはまだ無理だ。
だが、自分にはできると。自分をそう信じてくれる仲間が、大切な人がいる。

それだけあれば


「十分ッ!!!」


逃れようと腕を引っ張るコールだが、今度は左手が拘束された。
そうしていると次々に拘束されていく。


左足首、右足首、腰、右太腿、左脇腹、首、左胸、右肩・・・・・・・


一瞬でも止まったところから、次々に拘束されていく。

そして、ついに全身が薄緑に覆われ指一本の動きすら許されない状態に。


許されるのは、呼吸。
彼の強化された肉体は、この拘束だけでは絶命に至らない。


(やばいやばいやばい・・・このままじゃ・・・・・!!!)

初めて焦りを抱くコール。




これが、薄緑の翼人。
これが直枝理樹だ。

信じる友の為
そして、それを信じる自分

友を想い、想われ
信じ、信じられる


その相乗効果から生まれる翼の力は、もはや彼の迷いすらをも吹き飛ばした。



だからこそ、今この瞬間。
直枝理樹に敗北があるはずもない。


トーン、と、理樹がコールの側頭部を軽く、掌底で叩いた。
それ自体のダメージはない。

だが、衝撃は反響する。
それが彼の脳内へ響き、揺さぶり、そして、静かに意識を闇へと落した。










先に、コールの速度は二人のライダーを凌駕すると述べた。

しかし、それはあくまでも速度に関してのことだ。
コール自身の耐久は、セルトマン一派の中では一番低い。


他の四人やセルトマンは、受けても大丈夫か、そもそも喰らわない能力を持っている。
コールとて、そもそも捕まらない速度で駆け回れば攻撃など当たるはずがないのだ。

理樹の姿が頭上に見えた瞬間に、多少の無茶をしてでも、包囲網を抜けることも可能だった。


しかし、彼はそれを怠った。
原因はあまりにも明確すぎる。即ち、彼の性格ゆえに。

「見積もってこれくらいでいいな」という早計。
その早とちりという性格。


心に抱いたものの違い。


ならば、その勝負で翼人が始めから負けるわけがなかったのだ。



「――――っていうのも、彼をフロニャルドにつれて行かなかった理由だね」

「EARTH」内で話をしながら歩を進めるセルトマンが、フォンに話を続けていた。

フォンはもう半分眠そうだが、目の前の興味の方が大きいらしい。
場合によっては、自分のことにも直結する可能性があるからだし、見極の完全をも抱く彼からすれば、情報はとても重要な意味を持っている。



「彼は何事も、今あるその状況から必要な分だけしか出さない。そしてさっさと結論を出して、さっさと行動してしまう」

「僕もそうだけど」

「君はそれからまた状況が激変しても見極められるから。だが、彼はそれが出来ない」


セルトマンは何かを通してコールの戦いを見ているわけではない。
遠見の魔術や使い魔など、魔術師ならばそれを行う方法がいくらでもあるのだが、一切をしていない。

だが、それでもセルトマンは最初からそう推測していた。
「コールは潜入し、そして捕まるだろう」と



「でもわかってたのになんで出したんす?情報が漏れるかもしれないのに」

「ああ・・・・それはだいじょうぶ」



セルトマンは不気味に断言する。
フォンの背に、嫌な汗が少し流れた。

この人は、たまに本当にわからないところがある。
ついて行って大丈夫なのか、この人が得体の知れないモノのような気がしてしまうのだ。


それがこの見極の力なのか、それとも本能から来る警告なのかは解らない。

フォンたちも知らない、セルトマン自身の「完全」
知りたいとは思うが、知ろうとはしない。


知ったとき、彼らは選択を迫られるのだろう。
離れるか、ついて行くか。

それは本人がそうしたいかどうかなど無視した選択になると感じていた。


ついて行くなら、いい。
だが離れなければならなくなったとき――――


(この人、面白いからなぁ~・・・・)


また退屈が自分を殺すのではないか、という恐怖の方が強い。


だから、知る必要はない。



まだ




------------------------------------------------------------



コールを捕縛し、その意識を完全に断つ。


理樹が屋上を見上げる。


そこには鈴と、大切な仲間たちが。
そのみんなに向けて、親指を上げて応える。


「僕は――――リトルバスターズのリーダー!直枝理樹だ!!」




なにはともあれ、こうしてついに「EARTH」はセルトマン一派から一勝を収める。

同時に、重要な情報源を手に入れることになったのである。





to be continued
 
 

 
後書き

理樹君復活。
リア中爆発しろ(笑)


コール、あっさり捕縛されましたね・・・・・
まあ早とちり、というか浅はかな奴なのでしょうがないか


セルトマン勢の中でもいらない子扱いですしね。

さて、ここから知ろうとするのですが


うまく情報は引き出せるのか・・・?


理樹
「次回、得られた情報はただ一つ・・・・?」

ではまた次回 
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