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夢幻水滸伝

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第十九話 四国上陸その十八

「いや、そこは」
「まあ出来たらですわ」
「それだけでええですけれど」
「出来なくてもやっていけますな」
「それよりも人間としてどうかや」
 また大蛇が四人に言ってきた。
「自分達の場合はな」
「人間としてアホ」
「そう言うんやな」
「勉強とかやなく」
「そっちやな」
「その通りや、それはわかるんやな」
 つまりその程度の頭はあると言ったのだ。
「そこは認めたるわ、しかしな」
「アホであることは変わらん」
「そう言うんやな」
「結局結論はそれか」
「うち等はアホっちゅうんか」
「そういうこっちゃ、それでやが」
 ここでまた言った大蛇だった。
「四国での戦は終わったわ」
「そやな、伊予や土佐まで攻め込むこと考えてたけど」
 綾乃が応えた。
「ここで終わってよかったわ」
「これから宜しく頼むぜよ」
 正岡も笑って言ってきた。
「楽しく政をして貿易もしてぜよ」
「天下を豊かにするんやな」
「そうぜよ、天下を統一して大海原に漕ぎ出すぜよ」 
 笑顔のままの言葉だった。
「太平洋も統一して太平洋の隅から隅まで船を出して太平洋も世界も豊かにするぜよ」
「でっかい夢はな」
「夢はでっかくぜよ」
 正岡は笑顔で言っていた、とかくだった。
 関西の勢力に入った彼は今は彼が本来見るべきものを見ていた、大海原にある途方もない夢を。
 四国の戦も終わり正岡と織田の二人の星が加わり四国全土も関西の領土に組み込まれた、こうして山陽と合わせて綾乃達関西の勢力は九州と沖縄以外の全ての地域を手に入れたのだった。
 このことを御所において戻って来た綾乃から聞いてだ、中里は言った。見ればそこには芥川もいた。彼も呼ばれて御所に来たのだ。
「いや、あっという間に終わったな」
「そやな、四国での戦もな」
 芥川もその話を聞いて言った。
「あっさり終わったな」
「山陽と一緒でな」
「僕もここまで早く終わるとは思ってなかったわ」
「山陽も四国もやな」
「それぞれ全土で戦になると思ってた」
「そやってんな」
「それで戦力も整えてきたんやけどな」
 それがというのだ。
「いや、どっちもすぐに見切りつけてやな」
「こっちに降ってくれたな」
「ええことか、それでな」
「ああ、これで四人の星とな」
「山陽と四国が手に入ったな」
「これは大きいで、あの四人はそれぞれ政戦両略でや」
 それだけの能力があり、というのだ。
「しか人格も誠実やしな」
「ああ、僕もそれは感じたわ」
 山本、井伏と実際に戦い話をしてみてだ。中里はそのことがわかっていたのではっきり答えられた。
「あの連中は信じられる」
「そやろ」
「四国の子達もやで」
 綾乃も棟梁の座から言ってきた。 
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