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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第一部 佐為編(桐嶋和ENDルート)
  第48話 エピローグ 桐嶋和ENDルート

■ 帰還 ■

「なんだまた、知らない天井か……」

 気が付けば真っ白な病室のベッドの上に横たわっていた。

 そういえば何年か前に同じような台詞を吐いたような気がする。

 傍らには椅子に座りながら船を漕ぐ女性の姿があった。

「……よかった。戻ることができたんだ」

 どうやら連絡が取れなくなった僕は、自宅で倒れているところを見つかり病院に運ばれて3日近く意識を失っていたらしい。

 医師は過労による症状と診断を下した。

「心配したんだから!」

 久しぶりに彼女の名前の声を聞いて僕は笑みを零した。

「あい、天元戦どうなったの?」

 気になっていたことを尋ねる。

「もちろん、勝ったよ。貴方が倒れたからって天元位を逃したら約束守れないでしょ?」

 ああ。やっぱり彼女は強いな。と安堵の息を洩らした。

■ 結末 ■

「そうそう。面白い夢を見て来たから聞いてよ」

 退院した日に彼女の家の碁盤に石を並べる。

「……誰の対局か分かる?」

「黒は和-Ai-よね。何度も打ってるんだから見間違えるはずはないわ」

「白は……秀策っぽいけど少し昔の現代碁の感覚もあるわね」

「これは白がsai。ヒカ碁の藤原佐為」

 驚いた表情の彼女が大きく目を見開いて僕を見つめてくる。

「Aiとsaiの対局がもう一つあって……」

 からかうように、また一から、ゆっくりと石を並べ始める。

「倒れてるときに見た不思議な夢の話。
 信じて貰えるかは分からないけど……僕が覚えてる棋譜だけが証拠の話」

 そして彼女に僕が体験して来た物語を語る――。

 僕が語った物語は酔って口を滑らせた彼女から原作のほった先生の耳に入り、囲碁AIソフト和-Ai-の販売プロモーションに合わせて小畑先生の手によりWEB漫画として公開された。

 冗談みたいな公式によるヒカルの碁の世界でチート人工知能の和-Ai-がネット碁で無双する話。

 僕の記憶していた棋譜は漫画の中で使われることになった。

 彼女はAi vs toya koyoの棋譜がないのと、自分もsaiと打ちたかったなと残念がっていた。

 天元位を獲得した翌年には彼女は念願の本因坊のタイトルを獲得する。

 桐嶋和二冠が監修した人工知能と人間の対局を集めた『和-Ai-』という打碁集が出版された。

 そこには漫画で使われたAi vs saiの棋譜と共に、Aiと奈瀬明日美の棋譜も載ることになった。

 僕らのプライベートの約束の話とかは置いといて結末としてはこんな感じだろうか?

 The story of my dream I saw 

■ ヒカ碁世界での後日談 ■

 プロになって4年目、二十歳で約束の天元位を取ることができた。

 彼と和-Ai-が消えてしまっても挫けることなく頑張った私を褒めて欲しい。

 私は和-Ai-の碁を検討する研究会を桐嶋研と名付けて主催した。

 緒方先生だけは桐嶋和という名に心当たりがあったみたいだけど、他の人から名前の由来を聞かれたときは尊敬する人の名前だと答えた。

 しばらくして緒方先生にいなくなった彼のことを尋ねられたときには「フラれちゃったんです私。彼は桐嶋和さんに会いに私の元から消えちゃいました」と正直に答えた。

 緒方先生はsaiと共に消えてしまったAiのこととか私には何も尋ねずにいてくれてた。

 和-Ai-のホームページは彼が残した手紙に従って1年後に消した。

 天野さんから天元のタイトルを取った記念に本を出版しないかと誘われた。
 そこでネット碁のAiの棋譜をまとめた『和-Ai-』という打碁集を出版することにした。

 和-Ai-の対局者にも許可を取り、桐嶋会に所属するプロ棋士たちの解説がついた豪華本だ。

 無敗のまま姿を消した謎のインターネット最強の棋士Aiは、消えてからもカルト的な人気を誇っており棋譜集は異例の大ヒットとなった。

 プロ棋士たちは今も和-Ai-の残した棋譜から各々がインスピレーションを得ている。

 来年こそ若干19歳で本因坊戦史上最年少の挑戦者となった進藤ヒカルに対抗して約束の本因坊を私も目指す。

「遠くない未来の、新しい囲碁の世界に近づくために」

 消えてしまった和-Ai-の碁を私が残していく――。

 happy end ? 
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