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ハルケギニアの電気工事

作者:東風
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第08話:やっとの事で書庫到着!!

 
前書き
第8話をお届けします。
図書室って大好きなんですよね。最近、近くの図書館にも言っていないな。
一度、国会図書館に行ってみたいものです。 

 
 おはようございます。アルバートです。

 屋敷を出てから足かけ3話目になってやっと書庫に着きました。長かったな~。時間的には出発してから2時間程度だと思うのですが………。

 さて、着陸した皇城の前庭で皇帝閣下と別れ、女官に案内して貰い書庫まで皇城の廊下を歩きましたが、右に曲がったり左に曲がったりで、もう自分が何処にいるのか解らなくなりました。とても一人で歩けません。
 大体廊下自体が広くて、何処も同じような作りになっているから余計混乱するのだと思います。一応階段を上がったので2階にいるのだろうと思った頃ようやく書庫の前に着きました。

 目の前には大人の背の2倍以上ありそうな扉がそびえています。無駄に大きいですね。こんな大きな人間が居る訳無いのですから、ただの見栄なのでしょうか?
 皇城を構成してるパーツ、それぞれがやたらに大きいようで、部屋のサイズも、こんなドアのサイズも僕のような子供の目線では余計に巨大に見えます。まあ、前世で周りに建っていた家と比較してしまうのは、一般庶民出としては仕方のない事なのでしょうか。

 幸いドアのノブは僕でも届くところにあるのですが、扉の大きさを考えると僕の力ではとても動きそうにありません。仕方ないので、魔法を試してみます。

「アン・ロック!」

 あれ?何も変わりませんね。ああ、すみません。これはロックを解除する魔法でした。
 そう言えば閉まっているドアを開放する魔法ってあったっけ?もしかして必要ない?そりゃ確かに鍵が開けば後は自分でドアを開ければ良いんですから必要ないように思えますが、誰か今の僕のような状況を考えなかったのでしょうか?

 こんな所で愚痴を言っていても始まりません。仕方ないので誰か探して開けて貰いましょう。なんか情けないな~。

 なんて一人で考えて誰かいないかなと振り返ると、すぐ側に女官が一人立っていました。何してんの?といった顔で見られています。
 そう言えば此処まで案内して貰ってそのままでしたね。余り目の前のことの集中しすぎて、この人が居るのをすっかり忘れていました。落ち着いて考えれば初めからこの人に頼めば良かったんですよね。思わず赤面です。

「すみません。此処まで案内して貰って名前を聞くの、忘れていましたが、このドアを開けて貰えますか?」

「かしこまりました。(クス!)私の名前はスピネルと申します。本日はアルバート様のお手伝いをするようにと申し使っております。よろしくお願いいたします。」

 うっ、笑われてしまいました。この状況では仕方ないですね。でもお手伝いを命じられていたのなら黙って見ていなくても良かったでしょうに。
 スピネルさんが開けてくれたので、ようやく書庫の中に入る事ができました。

 書庫は、ドアを入った側に10メール四方位のスペースがあって、机と椅子が並んでいます。窓もこのスペースの部分にしかないようですね。太陽の光で本を傷めないためでしょうか。奥の書棚で選んだ本を此処で読むようになっているのでしょう。

 このスペースの奥に沢山の書棚が並んでいます。どの書棚も天井まで届く大きなもので、上の方まで本が詰まっていますね。
 書庫の広さは体育館より大きいでしょうか。高さも体育館並みにあります。書棚がなければ楽にバレーボールでもバスケットボールでもできる広さですね。いったい何冊くらいの蔵書があるのでしょうか?これなら当分読む本に困らないでしょう。
 上の方の本はフライで飛んで取るようですが、はしごを使って登っていく事も出来るようになっています。メイジ以外の人も使えるように考えているのでしょう。

「スピネルさん。ありがとうございました。また、助けが必要な事があったらお願いしますね。」

「はい、解りました。それでは私は此方で控えておりますので、御用事の際はお声をお掛けくださいますようお願いいたします。」

 スピネルさんはそう言うと、壁際の方に移動していきました。

 その後、読書スペースに近い方から順に本を引っ張り出してみます。
 最初に引っ張り出した本はゲルマニアの地理や風土に関する本ですが、誰の著書か解りませんし、あまり詳しい内容ではありませんでした。2冊目はゲルマニアにおける産業の発展について書かれていましたが、此方もいまいちですね。個人が趣味のような感じで調べて書いているようなので視野が狭いというか自分の考えが入りすぎています。あまり面白くないので本棚に戻します。どうやらこの棚は主にゲルマニアの事についての本が収められているようですね。

 今日は初日なのでざっと本の種類なんかを見ておこうと考え次の棚へ移動しましたが、何でしょう?変な本を見つけました。

「これって、グラビア雑誌だよね?表紙は綾瀬○るかかな?こっちの表紙はほし○あき?結構新しい本なのじゃないかな?何でこんな本があるんだ?」

 そこの棚を調べてみると、グラビア雑誌のほかにも漫画や週刊誌といったものから、料理のレシピ本、ファッション誌まであります。古いものからおそらくここ数年のものまで年代も多岐にわたっていますが、どこから来るのでしょうか?

 しばらく原作知識から検索してみましたが、やっぱりこれはサハラの奥、シャイターンの門から出てくるか、日食に紛れて入り込んでくるのかでしょうね。たしか場違いな工芸品なんかもかなりの量が入ってきていたと思いましたから、これくらいはあって当たり前かもしれません。
 考え込んでグラビア雑誌を見つめたまま固まっている僕にスピネルさんが話しかけてきました。

「アルバート様、そろそろ昼食のお時間でございます。あの?アルバート様?そのような本はお子様がご覧になるような本ではございません。お戻しになるほうが宜しいと思いますが。」

 スピネルさんに顔を赤くして言われますと、何かすごく恥ずかしい本を見ていたように感じてしまいます。生前に僕の本棚の奥に隠していたエロい本に比べればとってもおとなしいと思いますよ。あれは米軍の友人から貰ったペントハウスやプレイボーイなど、税関通ってない原本、完全無修正版ですからね。あ~。あの本は今頃どうなっているのでしょうね。持ってきたかったな。

「ごめんなさい、スピネルさん。すぐに戻します。もうお昼ですか?気がつきませんでした。それでは案内をお願いします。」

 スピネルさんに案内して貰って食堂に来ました。もう皇帝や妹姫達も待っています。

「遅くなりまして申し訳ありませんでした。」

「どうやら夢中になっていたようだな。何か面白い本があったか?」

「まだ、入り口近くの本だけしか読んでおりません。ゲルマニアの地理や歴史といったものでしたが、あまり詳しいものではなかったので今ひとつと言ったところでしょうか。」

「何というか、子供の読む本ではないような気もするが、それを言ったら子供用の本などほとんど無かったな。まあ、好きにするが良い。」

 話はそこまでとなって、その後は昼食となりました。
 今日は魚のムニエルですね。この魚は何でしょう。この世界は鮮魚の輸送方法などありませんから干物や塩漬けなどの保存加工した魚しか内陸部の『ヴィンドボナ』には入ってきません。
 どうしても肉類とか脂っこいものが多くなりますから、このままの食生活では生活習慣病になってしまいます。
 何とか日本食を再現できるように色々考えましょう。大豆を見つけられれば海水からにがりを作って豆腐もできるし、麹を見つけられれば味噌も日本酒もできるでしょう。それにお刺身が懐かしいです。 魚介類は地球と同じ種はいるのでしょうか?鮪に鯛に鮃、ハマチや蛸に烏賊など生息しているのか調べないといけません。明太子なんかも大好きでしたがスケトウダラは捕れるのかな?そのうち沿岸部の漁村とかに行って加工方法など教えましょう。
 それ以前にやっぱり冷蔵庫を発明しないと改善できそうもありませんね。

 昼食も終わって、ティータイムです。

「そのほか気になるような本はあったか?」

「そうですね、東方の言葉でグラビア雑誌という本物そっくりな絵を集めたような本や漫画といった本がありましたが、まだ中身までは読んでおりません。」

「グラビア雑誌?どんな本なのだ?」

「きれいな女性が半裸でほほえんでいる絵が表紙を飾っている本です。」

「あれを見たのか?まだおまえにはちょっと早いと思うが。」

「そうですね。スピネルさんにも注意されました。それよりもああいった本はどこから流れてくるのですか?」

「時々東方からやってくる商人が持ってくるんだが、それほど頻繁に来る訳でもないし、量も多くはないのでな。結構な値段となる。」

「そうですか。珍しい物なのですね。それから此方には場違いな工芸品と言われるものはありますか?」

「いくつかあるが、どれも何のためのものは解らん物ばかりだ。まとめて宝物庫にしまってあるが見たいのか?」

「そうですね、今日は書庫の方でいっぱい一杯なので次にきたときにでもお見せ願えますか?」

「ああ、良いぞ。その時は案内をつけるから好きなときに見に来い。そうだな、スピネルをおまえの専属女官とするからそれで大丈夫だろう。」

「有り難うございます。それでは、私はまた書庫の方に戻りたいと思います。御用のせつはお呼び頂けますようお願いいたします。」

「ああ。余り根を詰めるのではないぞ。たまには気分を変えておまえの叔母達と話をしたり、遊んだりしても良いのではないかな?この子達もおまえに興味があるようでな、儂にいろいろ聞いてくる。」

 そう言えば個人的に話した事はありませんでした。せっかくこうして顔を合わせているのですから話をしないというのも変ですね。

「自分のことばかり夢中で考えておりませんでした。申し訳ありません。私もお姉様方とお話しさせて頂きたいと思っていました。今日はちょっと時間がとれそうもありませんが、今度来た時はぜひお話しさせていただきたいと思います。次からよろしくお願い致します。」

「ああ、頼んだぞ。それでは行きなさい。」

 一礼して皇帝の前から退室します。それからスピネルさんに連れられて書庫に戻りました。

「スピネルさん、先ほど皇帝閣下より僕の専属女官と指名されましたね。これからもよろしくお願いします。」

「はい、此方こそよろしくお願いします。」

 この前皇城に来たときも思いましたが、女官の皆さんは美人ばかりです。スピネルさんもなかなかの美人で、今のような笑顔は思わず見とれてしまうほどです。
 カメラがあったら良かったのにと思いました。アルビオンに隠してある事務所に行けばデジカメもあるのですが、今はまだ行く訳にはいきません。残念です。こんな事なら『王の財宝』に入れておけば良かった。もっともこんな所でデジカメなんて使ったらどうなるか解りませんが。

 書庫の中で、今度はもう少し奥の方を見てみましょう。

 この辺はゲルマニアの鉄鋼業に関係する本ですね。ゲルマニアはハルケギニアで鉄の製造をほとんど独占していますから、製鉄についての本は一杯あります。それに色々な発明品に係わる書類やその発明品を使った製品などの関連本もあります。
 でも考えてみれば此処にある発明品関係の本の中には、父上が書いた本も一杯あるんですよね。ということは、父上の部屋を探せばもっと詳しい本があるのではないでしょうか?もしかしたら、わざわざ皇城までこなくても技術的な本は屋敷で間に合ったとか?
 いやいやいやいや、技術的な本だけが目的ではないので、やっぱり皇城に来ることは大切なんです。そうなんです。ちょっと背中を冷たい汗が流れたような気がしますが、きっと気のせいでしょう。気にしたら負けです。どんどん本探しを続けましょう。

 その向こうは、他の国関係の本棚ですね。アルビオン、ガリア、トリスタニア、ロマリアの4カ国にクルデンホルフ大公国のほかの小さな国等それぞれの地理や歴史に関する本、主な貴族の名簿などもあります。トリスタニアの貴族名鑑を開いてみるとラ・ヴァリエ-ル公爵やグラモン伯爵、モンモランシ伯爵などの原作出演メンバーの名前も見られますよ。

 一番奥の棚は魔法関係の本が一面に並んでいます。これならおよそ考えられる限りの魔法が載っている事でしょう。
 大体どんな本があるか見る事ができましたので今日はこの位でお終いにしましょう。ちょっと夢中になりすぎたようですね。

「スピネルさん。今日はこの辺で終わりにします。皇帝閣下にご挨拶して帰りたいと思いますのでよろしくお願いします。」

「はい、かしこまりました。それでは此方においでください。」

 スピネルさんの先導で廊下を進み、奥の方の大きな扉を入ったところで一旦待ちます。此処は謁見の間の待機室のようです。此処で次の扉の前にいる侍従にスピネルさんが皇帝への取り次ぎをお願いしています。侍従は奥の部屋にいる人にお伺いを立て、すぐにお許しが出たようで、次の部屋に入る事ができました。
 この前父上や母上と来た時にも入った部屋ですが、あの時は色々テンパって居たので部屋の様子まで見ていませんでした。やっぱりすごく煌びやかな部屋ですね。各国の大使とかも来るのでしょうから当たり前なのでしょうが、僕としては落ち着くことの出来る場所とはいえません。

「お忙しいところ、申し訳ありません。夢中になって時間を忘れておりました。遅くなりましたのでお暇しようと思います。また来週参りますのでよろしくお願いします。」

「うむ。もう帰るか。あの使い魔がいるのだからちょくちょく来ると良い。いつでも歓迎するぞ。帰りも心配ないと思うが気をつけてな。」

「ありがとうございます。それでは失礼いたします。」

 皇帝へのご挨拶も終わりましたので、朝着陸したところにスピネルさんに連れて行って貰います。僕が帰る事が何処からか伝わったのか、朝より少ないですがそれでもかなりの人が来ています。また見世物になるのでしょうか。

「それではスピネルさん、今日はありがとうございました。また来週来ますのでよろしくお願いしますね。」

「お待ちしております。気をつけてお帰りください。」

 スピネルさんへのお礼も済みましたから、早速『ヴァルファーレ』を呼びましょう。

「『ヴァルファーレ』おいで!」

 空に大きな割れ目ができ、咆吼と共に『ヴァルファーレ』が飛び出し、目の前に着地しました。
 見ている人たちの響めきも感じられます。

「『ヴァルファーレ』帰りもよろしくお願いしますね。」

 『ヴァルファーレ』の翼から背中に登り、座席に座ってベルトを締めます。地上の皆さんに手を振って、さあ帰りましょう。
 
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