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レーヴァティン

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第十八話 素材その四

「そういうことか」
「そうさ、だから今ここで釣りはな」
「止めろってな」
「冗談抜きで噛まれるか食われるかだぜ」
 蝮かウォーターリーパーかというのだ。
「どっちも嫌だろ」
「ああ、けれどな」
「それでも釣りするのかい」
「実は蝮も欲しいしこの湖鰻も出るんだろ」
「そっち狙いか」
「そうさ、ここの鰻はこうして釣れるよな」
 垂れている釣り糸を見つつ村人に尋ねた。
「そうだよな」
「大鰻が釣れるぜ」
「それを釣りたいんだよ」
「それはわかったがそれでもな」
「死ぬぞってか」
「蝮の毒も強いんだよ」
「そっちも捕まえないと駄目だしな」 
 久志は釣りを続けつつ述べた。
「大変だな」
「他人事だな」
「そうでもないけれどな、まあとにかくな」
「鰻と蝮か」
「その二つ貰うな」
 村人に笑って言った。
「ここでな」
「本津に死なない様にな」
「わかってるさ、それでここの鰻美味いんだよな」
「実は蝮もウォーターリーパーも美味いぜ」
 その人を襲う魔物もというのだ。
「俺達結構食ってるんだよ」
「毒ないのか」
「ああ、そういうのはないんだよ」
 毒もというのだ。
「だから安心して美味く食えるんだよ」
「そうか、倒して食えるモンスターもいるしな」
 これはモンスターそれぞれだ、倒して金になるモンスターもいればそのまま身体を食えるモンスターもいるのだ。
「それで美味いのか」
「鶏肉みたいな味がしてな」
「っていうか蛙だろ」
 ウォーターリーパーの姿から連想しての言葉だ。
「鶏肉っていうか」
「まあな、というか蛙自体鶏肉みたいな味だろ」
「だからおっさん今そう言ったのか」
「そうだよ、鶏肉みたいな味ってな」
「そうなるか、じゃあ一匹殺して食うか」
 久志は笑ってこうも言った。
「毒もないっていうから安心してな」
「あんた本当に余裕だな、逆に食われても知らないぜ」
「耳栓しとくさ」
 懐からその耳栓を出しての言葉だ。
「これでな」
「ああ、そういうことか」
「結構音出して戦うモンスターも多いからな」
 これまでの旅で何度か戦ってきている、それで耳栓は常時携帯する様になっているのだ。このことは英雄も順一達も同じだ。
「だからな」
「用意がいいな、あんた」
「跳んで来たらこれがあるしな」
 今度背中越しにその背中にあるレーヴァティンを見た。
「一気に切ってな」
「食うんだな」
「焼いて食うぜ、胡椒もあるぜ」
「最後のは冗談かい?」
「冗談だけれど冗談じゃないぜ、塩も持ってるぜ」
 本当のことを笑って話した、そしてだった。
 久志は釣りを続けた、やがて村人は村に帰り彼一人となったがその彼のところに時々ウォ―ターリーパーが来た。
 そのモンスターを左手で釣りを続けつつ右手でレーヴァティンを抜きあっさりと両断する、水面からの声の攻撃は耳栓で無効化している。
 そうしつつだ、久志は釣りを続けてだった。
 やがて鰻を釣った、その鰻をすぐに籠の中に入れると今度は蝮の大群が来たが彼等はレーヴァティンの炎で焼いて倒した。 
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