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貴族も大変

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第一章

           貴族も大変
 ペーター=ヘルゼンセンはデンマークのオーデンセ星系に住んでいる少年だ、両親はなく孤児院で育っている。
 金髪で碧眼で頬はふっくらとしている、彼は両親について何も知らず孤児院から学校に通っている。
 この孤児院はプロテスタントの修道院が運営していて彼は成長すれば自分も牧師か修道僧になるのだろうと思っていた、だが。
 彼は十二歳になって少し経ってからだ、孤児院を運営している修道院の院長にこんなことを言われた。
「僕を養子にですか」
「欲しいという人がいまして」
 院長は穏やかな顔立ちの老人だ、その彼がペーターを自室に呼んでそのうえで話をしたのだ。
「それで、です」
「僕がはいと言えば」
「貴方はそのハイデルバーグ伯爵家の養子となります」
「そして、ですね」
「はい、ゆくゆくはです」
「その伯爵家をですか」
「継がれることになります」
 そうなるというのだ。
「以前よりこの修道院は貴族のお家に養子を提供していました」
「そうだったんですか」
「女の子は奥方に」
 孤児院の彼女達はというのだ。
「そしてです」
「僕の様な男の子はですか」
「養子に出されることも多く」
 そしてというのだ。
「この度は先日貴方を修道院で観た先代伯爵が是非にと言われまして」
「僕を観て」
「はい、そうです」
 まさにというのだ。
「そう言われています」
「僕をですか」
「その後で貴方の健康状態、学業の成績、品行を調べられまして」
 その先代伯爵がというのだ。
「そのうえで、です」
「そうですか」
「どうされますか?」
 院長はペーターに問うた。
「それで」
「若し僕がはいと言えば」
「その時はです」
「伯爵家の養子となり」
「いずれはです」
「伯爵家を継いで」
「貴族です」
 そう言われる立場になるというのだ。
「まさに」
「僕が貴族に」
 一介の孤児、幼い時に両親が事故で死にこれといって親戚もおらず孤児院に入りそこで育った自分がとだ。ペーターはそのまだあどけなさが残るが白い肌で整った顔を考えるものにさせて述べた。
「そうなるんですね」
「貴族になればです」
「いいお屋敷に住んで」
「そして多くの使用人に囲まれ」
「そしてですよね」
 院長に応えて言う。
「爵位も貰えて役職も」
「高い地位になります」
「平民がなる様なものでなく」
「お役所でも警察でもです」
 そうした場所でもというのだ。
「要職となります」
「そうですね」
「そして資産もあります」
 そちらもというのだ。
「特にあの伯爵家はです」
「資産家ですか」
「よい土地と企業をお持ちで」
「では」
「はい、若しはいと言われれば」
「欲になりますが」
 それでもというのだ。
「貴方は貴族です」
「いい暮らしですか」
「貴方はここにおられることを考えていますね」
「学校を出たら」
 ペーターは実際に院長に自分の考えを述べた。 
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