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Re:童話姫たちの殺し合いゲーム

作者:猫丸
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竹林の賭博 (1)

ギィィィと開く巨大な扉の向こう側には



『ギャアアアアア!!』



『あ……ぁぁあああああああ!!』



『誰か……だれ…かあああああああ!!』



黒いカーテンがひかれた、真っ暗な部屋、灯りは点々と等間隔に置かれたロウソクの火だけのよう。
カーテンで仕切られた向こう側から聞こえる、断末魔の数々。容易に想像できるが、おそらく拷問か処刑か、行われているのだろう。
ギリギリの骨を斬る鋸(ノコギリ)の音や、ブンブンと羽音を鳴らす蜂、ゴウゴウと燃える炎の音、火花の音そして



「…鉛臭い、血の臭い」



ここは噎せ返るような臭いで溢れている。吐き気がする。ピノキオに関してはもう「オエエエ」と廊下の隅で盛大に吐いている。血の臭いと胃の内容物の臭いで俺まで吐きそうだ。




『気にっていただけましたでしょうか? 私(わたくし)の城いいえ、賭博場は」


「ネェ。カーテンの向こう側は拷問室ですか? ボクもそれでアソビたい♪」


『うふふ。赤ずきんさまはお転婆さんなのですね。残念ですが、違いますわ。

 この向こう側にあるのは他のお客様の賭博部屋。拷問部屋だなんてそんな、物騒な部屋じゃございません』




その割には先からずっと、断末魔が終わらないけどな。
いったい何匹の羊が拷問され処刑されているのやら…、と思い竹美姫に視線を向けると『うふふ』とまたあの妖艶な笑みをうかべ




『確かにここへやって来られるお客様は皆、黒羊です。

 でもここに堕ちる前、現世では大変有名なお方でしたのよ? …たとえばそう、三太郎の皆様とか。うふふふ』



簡単に客の情報を漏らすのはどうかとも思ったが、三太郎…。
桃太郎、浦島太郎、金太郎。あの三大太郎とおとぎ話でも有名な奴らか。一説によれば、彼らはのちにすごい武将になったとか、ならなかったとか…。



―何故、俺は三太郎の事を知っている? おとぎ話? なんだ…それは。




『さあ奥へどうぞ。愉しい愉しい、ゲームが貴方さまをお待ちです。うふふ…』



竹美姫に案内されるまま、カーテンで仕切られ出来た道を進んで行く。
赤い絨毯で誤魔化そうとしているが、べっとりと染み付いた血は黒ずみ、ロウソクの灯りだけでもはっきりとわかった。




―この先の部屋でその血を流すのはどちらなんだろうな、竹美姫。




『ここでございます』



竹美姫が立ち止まった。カーテンで円形状に仕切られた部屋いや、空間と言うべきか。その空間にポツンと向かい合うようにおかれた二つの机と椅子。近くには投票箱と書かれた銀色の箱が置かれている。



「ナニ? これはどうゆう拷問ですか? それとも新しい処刑法?」


『うふふふ…赤ずきんさまったら、はしたない。お下品ですよ?

 これはゲーム。そのような物騒なものではないと先ほども申し上げましたでしょう?』


「え~つまんないよ~」


「あ、赤ずきんさんっ、ツギハギさんっ」




ガクガクと震えるピノキオが肘を掴み引っ張る。カーテンの方を指さしている。「見てっくださいっ」と言うので仕方なく見てやると、そこにはカーテンの隙間からちらりと




「拷問はしないんじゃなかったのか」


『いいえ。しないとは、言っておりませんわ』




言葉遊びか。カーテンの隙間から見えるのは、間違いなく拷問や処刑に使う器具、道具だ。
ここに来るまでに聞こえた音から察するに少なくとも、【鋸引き】【桶】 【ファラレスの雄牛】 をするための道具はあるのだろう。そして、おそらくそれ以外の道具、もしかしたらそれ以上のエグイ物がな。



『さあ、席についてくださいませ。どなたが私のお相手を?

 赤ずきんさま? ピノキオさま? それとも…うふふふ』



完全にご指名されている。あえて口には出さない、だが目が完全に俺を狙ってる。獲物をロックオンしたハンター。
ここであえて断って、奴の反応を見てみたい気もするが



「ぼ、僕には無理ですよぉー!!」


「だろうな。お前にギャンブルなんて出来るわけないと最初から思っている。安心しろ」


「えー……それはそれで…ちょっと」



やりたいのか、やりたくないのか、どっちなんだ。ピノキオは戦力外、期待するだけ損。


赤ずきんは…



「ゲームってなに? オモシロイの、お兄ちゃん?」



こんな感じだ。殺しの腕には一流でも、それ以外は三流以下。相手の意のままに動くのは尺だが仕方がない




「俺がやる」


『うふふふ…そうなるとは思っていました。ツギハギさま』


「…だろうな。ずっと目がそう語ってたよ」


『まあ、私ったら…ごめんあそばせ』




面倒事は嫌いだ。だったら早く終わらせよう、このくだらない腐ったゲームに勝ってな。




『座りましたね』


「ああ。早く始めよう」


『ええ。もちろん』



その言葉を合図に、豚と山羊共が部屋を仕切っていたカーテンを開いた。




『『ベェーーー!!!』』


「うわ、なんです!?」


「アハハハッ♪ 羊がいっぱぁい♪」




カーテンが開けらてると想像通りの、拷問や処刑を行うための道具がずらりと並んでいた。大きさは大小様々、痛めつけるための道具や、相手を殺すための道具、色々だ。よくもまあ、こんなに集めた/用意した物だと逆に感心しそうだ。



『ツギハギさまも赤ずきんさまと同じで、拷問や処刑器具の方がお好きなのですわね』


「…どうゆう意味だ」


『そのままの意味です。貴方さまのためにこんなにも集まってくださった、観客の皆様よりもそちら(拷問や処刑器具)に釘付けなのですもの。うふふ』




観客…。ああ、客の黒い羊達のことか。『ベェーベェー』五月蠅いとは思っていたがこいつらの鳴き声だったのか。




円形の部屋。それを囲うように用意された観客席。赤ずきんとピノキオは俺の後ろ側の観客席に座っていた。他の豚と山羊共は竹美姫の後ろ側の観客席に座っている。




『ではそろそろ始めましょう。お客様をあまり長くお待たせするのはよろしくないですわ』




と竹美姫からゲームの内容が語られる。




これから行うゲームは【投票じゃんけん】


まず観客席に座る羊、赤ずきん、ピノキオ、豚山羊共が【グー】 【チョキ】 【パー】のどれかを白紙のカードに書き、私達に見えないように投票箱に入れてもらいます。


私達は箱の中から三枚だけカードを引いて、その中から一枚だけ選んでじゃんけんをします。


出したものが【あいこ】でしたら残りの二枚から一枚選んでもう一回じゃんけん、三回とも【あいこ】なら引き分けです。


ここまでがワンセット。普通のじゃんけんとは違って全部の手が出せるとは限らない、そうゆう不平等な読み合いが面白いのです♪



竹美姫が語った内容はここまで。



じゃんけん…初めて聞いた遊戯だったが、何故かすんなり理解することが出来た。


パーは紙でグーの石を包めるから勝ち。グー石はチョキの鋏じゃ切れないから勝ち。チョキの鋏はパーの紙を切れるから勝ち。無くした記憶の片隅にでもあったたのかふわっと思い出したじゃんけんの一般的なルール。




「それで?」


『それで…とはなんでしょう?』


「野暮だな。賭けの対象は?」


『うふふふ…それこそ野暮というものでは?

 決まっているではありませんか、貴方さまと私。そしてそこのお二人と私の使徒とこの城。

 全てを賭けた、生きるか、死ぬかの、命懸けのゲームですわ。うふふふ』




ここにあるもの全ての物が賭けの対象ってわけか、面白い。



『チップ(金)だなんてつまらない物を賭けるよりも命を賭け、己の魂を奪い合う方がずっと愉しいですわ、うふふふっ。

 貴方には四匹、山羊をお貸ししますわ。これで手駒はお互いに六対六。互いの手駒を指名し、負けた方の手駒を拷問や処刑器具にかけましょう。

 嗚呼―、想像しただけで体が火照り、濡れてきましたわ~』


「とんだ、変態だな」


『…変態だんてそんな、はしたない! 私はそんな破廉恥な女じゃありませんわ!』



自覚のない変態か。これでやることは決まった。俺の後ろには手駒として



赤ずきん、ピノキオ、山羊が下から四五六七の四匹




竹美姫の後ろには、豚と上の山羊合わせて六匹




この手駒をどう使うかで勝敗がわかれそうだな、このゲームー



狂った城の主が行う 狂ったゲーム これに勝つためには俺も狂うしかない―?

 
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