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お金はいつも

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第一章

                お金はいつも
 あびこ曜子にはいつも困っていることがあった、それでいつも友人達にこんなことを言っていた。
「アルバイトをしてもしてもね」
「足りないっていうのね」
「お金が」
「そうなの、お小遣いを貰って」
 そしてとだ、看護科のクラスで友人達にぼやくのだった。胸がとにかく大きくミニスカートの制服姿もやけに年齢よりも上の色気がある。
「それでね」
「アルバイトをしてね」
「お金があっても」
「すぐになくなる」
「そう言うのね」
「あるとね」
 お金、それがというのだ。
「何かいつもなのよ」
「すぐに使ってね」
「それでなくなってるわね」
「そのせいでいつも金欠病」
「そうなってるわね」
「私お金があると」
 またこう言う曜子だった、とにかく今はぼやくことしきりだった。
「使っちゃうのよ」
「欲しいもの買ってね」
「それでカラオケ行って飲んで食べて」
「そうしてね」
「あっという間になくなるのよね」
「お金ってすぐになくなるわね」
 世の中のこの摂理に嘆くのだった。
「本当に」
「というか曜子ちゃん使い過ぎよ」
「浪費家過ぎるでしょ」
「もうちょっと節約したら?」
「貯金したら?」
「それが子供の頃からね」
 自分の席でへ垂れ込む様になって言った曜子だった。
「お金が入ればね」
「すぐに使うのね」
「それこそ入ったらすぐに」
「昔からそうした性分なのね」
「浪費家なのね」
「言っておくけれど悪いことには使ってないから」
 そこはしっかりと言った。
「間違ってもね」
「ええ、悪い遊びとかしないからね曜子ちゃん」
「そうしたことはね」
「ゲームセンターには行くけれど」
「というかゲームセンターのUFOキャッチャーもするし」
「そこでもお金使うし」
「すぐにのめり込んで」
「それで気付けば」
 いつもだ、お金が入ってすぐに。
「すっからかんになるのよ」
「それで今みたいにぼやく」
「それの繰り返しね」
「先月もそうだったし」
「その前の月もね」
「お金持ちになったら」
 曜子は胸も語った。
「いいのに」
「いや、曜子ちゃんあればあるだけ使うから」
「どっちにしろ一緒でしょ」
「いつもそうじゃない」
「夏休み明けでお金あってもね」
 夏休みを利用してアルバイトに励んだがだ。
「やっぱり使ったじゃない」
「あっという間に」
「そう考えたらよ」
「お金持ちになっても一緒じゃない?」
「宵越しのお金は何とやらって感じで」
「大阪なのに江戸っ子みたいじゃない」
「生まれも育ちも大阪だから」
 そこは強く言った曜子だった。
「私も。ただね」
「それでもね」
「こうしてお金に困るのは嫌よね」
「どうしても」
「次のお小遣いとバイト代出るまで辛いわ」
 最後にこうぼやいた曜子だった、とかく毎月こう言う彼女だった、それはまたお金が入っても同じだった。
 やはりすぐに使う、そしてだった。
 すっからかんになってだ、カラオケボックスの帰りに一緒に遊んだ友人達にしまったという顔でぼやいた。 
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