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夢幻水滸伝

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第十八話 瀬戸内の海戦その四

「こうなったらのう」
「あれをしますか」
「そうするきに」
 織田にも答えた。
「このままだと囲まれて蛸殴りじゃ」
「そして敗れてしまいますね」
「そうなるつもりはないわ」
 だからだというのだ。
「魚人、人魚のモンでじゃ」
「やりますね」
「ああ、自分もやな」
「家鴨ですからね」
 種族の話にもだ、織田は応えた。
「水の中もある程度なら」
「ほな頼むわ」
「はい、では」
 すぐにだ、織田は僧衣を脱いで褌一枚になった。そうしてだった。 
 自軍の魚人や人魚の者達にだ。こう言った。
「皆さんではいいですね」
「はい、わかっています」
「ここはですね」
「中から攻めます」
 こう彼等に言うのだった。
「そうしてです」
「敵の船の動きを止めて」
「そして沈めるのですね」
「そうします」
 まさにというのだ。
「ここは」
「レモラあるのう」
 正岡はこの魚のことをだ、織田に問うた。
「ちゃんと」
「はい、持って来ています」
「ほなそれを相手の船底に貼ってじゃな」
「それで動けなくしてです」
「そのうえでじゃな」
「底に穴を開けて」
 そしてというのだ。
「沈めていきましょう」
「鉄じゃけどな」
 関西の船はとだ、正岡はこのことも言った。
「それでもじゃな」
「はい、穴は空けられます」
「術を込めて強くさせた大型の錐じゃな」
 船の底に穴を空ける為のそれである。
「あれを使うか」
「そうです、あれを使ってです」
 そうしてというのだ。
「空けていきましょう」
「それでは」
「はい、空けましょう」
 こう話してだ、そしてだった。
 織田は実際に人魚や魚人達にレモラや錐を持たせてそうしてだった、敵の船の動きを止めて沈めにかかった。
 だがそれは吉川も見ていた、それですぐに全船に命じた。
「水中に強い種族の者はだ」
「はい、水中銃を持ってですね」
「そうしてですね」
「そうだ、退ける」
 同じく海の中に入ってというのだ。
「船の底を守る、穴を空けられてもだ。
 この最悪の自体もだ、吉川は想定していた。
「即座に外と中からだ」
「栓をして」
「そのうえで」
「防げ、何としてもだ」 
 その場合もというのだ。
「慌てることはない」
「落ち着き、ですね」
「そうして対処していけばいいですね」
「そうだ」
 沈着そのものの声は変わらない。 
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