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新訳紅桜篇

作者:Gabriella
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5 工作は、綿密に。

  隊員からの伝達を受け、高杉は急きょ、現場を見に行くことになった。



  _よしよし。これで高杉(あいつ)からやっと解放される。

  そう思った時、ふと隊員が、神妙な声になった。

  _「でもですね総督、この爆破、何か謎なところがありまして。
    例えば、爆破跡地から、ねじが出てきました。

    つまりこれは、爆破した際に出たものなのか、それとも、爆破を決行した何者かが、
    落としていったものなのか、これが特定できないのです。


    提督のご都合がつき次第、現場へ来ていただけますか?」

  すると高杉は、

  _「わかった。すぐに行く。

    …というわけになったから、オラァ今から行ってくる。
    お前は食べ終わり次第、作業に戻れ。

    データの件、頼んだぞ。」



  とりあえず、普通に返事をしておこう。


  _「…分かりました。では、終わり次第、届けます。」






  そういって、私と高杉は、一回解放された。




  それにしてもなぜ、今爆発が?
  それにしては、隊員も慌てていない。
  ただの故障か? それにしては規模がでかすぎる。

  まさか、私の行動が誰かに勘付かれていた?
  
  …まさかな…





  とりあえず、部屋に戻った私は、押し入れに向かって呪文を唱えると、
  押し入れの中に入り、そこからドアを探り当て、中に入った。

  そして、バリアを張っておいた。



  こうすれば、普通の人はもう入ってこれない。




  高杉(あのひと)たちにバレては困るものは、ここに全部おいてある。



  特に、魔法に関係するものは。



  わたしは昔、私を拾ってくれたボスが首領を務める組織(その名前がまだ、思い出せない。)の
  Jr.部門から、英語のできる優秀な学生、として、「ホグワーツ」という名前の魔法学校に、
  3年間、留学していた。


  驚いたことに、その時の同級生が、あの有名な「ハリーポッター」だった。
  彼の人生が書籍・映画化されていて、とてもビックリした記憶がある。


  私が特に好きだった教科は、「魔法薬学」。あの科目をある程度マスターすると、
  あらゆる種類の薬を、自分で作ることができる。
  そしてまた、先生がまた、イケメンだった。いや、歳的に「イケメン」はおかしいが、
  なんとも不思議な魅力のある先生だった。


  …もうこの世にはいないらしい。


  もう一度、会いたかった先生だ。残念だった。



  そんなことを考えながら、もう夜の9時近い。さすがに部屋が寒くなってきたので、
  魔法でだだっ広くなった部屋の真ん中にある、小さな暖炉に火を起こした。


  そしてまず、「魔法のバッグ」に入っていたものをすべて、暖炉の前の長テーブルの上に、出した。



  まず、今日の戦利品を見る。どうやらこれが、しばらく前、隊員たちの間で噂になっていた武器の
  ことのようだ。
  「ジャスタウェイ」とかいう名前だった。まるで人形のような姿だ。
  しかも、なんかかわいい…。



  
  とりあえず、「ジャスタウェイ」を、長机の上に置く。

  そして、今ある薬の在庫確認をする。



  どうやら、ポリジュース薬が切れているようだ。

  補充をする必要がある。
  薬を作るために、「魔法のバッグ」から、材料を出す。


  クサカゲロウ、ヒル、満月草、ニワヤナギ、二角獣の角の粉末、毒ツルヘビの皮の千切り…
  そして、あとは、なりたい人の一部を、入れるだけ。
  



  あと追加で、材料を調理する道具を出す。



  

  そして、私が在庫をチェックしに行っている間に、調合が進められるよう、
  杖に魔法をかけた。


  
  また、着ていたものの洗濯もするように、魔法をかけた。






  よし、これで完璧。




  そして私は、来た時と同じように、内緒の部屋のドアを閉め、呪文で鍵を閉め、
  押し入れの外をのぞいた。


  誰もいない。
  念のため一度、周りを見渡す。


  本当に誰もいないと確認すると、「部屋」へ戻る。


  タンスを開けて、着替えを出す。
  まあ、寝間着のようなものだ。

  黒の甚兵衛(じんべえ)。私のお気に入りの服の1つだ。



  着替えて、上に羽織を着る。
  白に、金色の紅葉の刺繍がしてある。


  これも、確か以前に、高杉(あいつ)にもらったものだ。
  …地味に、これもお気に入りの1つ。高杉(あいつ)には、死んでもいわないつもりだが。



  そして、鍵を持って武器庫へ急ぐ。




  武器庫の前まで来た。

  鍵を開ける。



  中は、さっきと何も変わっていなかった。





  _よかった…。




  安堵して、在庫の確認を進めた。




  90分後、私は武器庫内のすべてのデータをタブレットに打ち込み、
  ついでにどこに何が何個あるか、まで、詳しく書いておいた。


  そして、指示されたとおり、タブレットから鬼兵隊の主要メンバーにデータを送った。



  それが、夜の11:30。もう、夜中だ。



  とりあえずタブレットの電源ボタンを押し、また子の部屋に向かった。

  また子の部屋をノックすると、中から返事があった。


  _「どうぞ」


  _「失礼します。」


  そう言って、私はまた子の部屋へと入っていった。
 
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