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レーヴァティン

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第十七話 学術都市その四

「金を使うだけで」
「生み出さないしな」
「それで負ける場合もある」
「そう考えたらだよ」
 まさにというのだ。
「やっぱり商売だな」
「その方がいいな」
「しなくちゃいけない場合はあっても」
「出来るだけな」
 商業、貿易を盛んにすればいいというのだ。そうした話をしてそのうえでだった。三人はそのヨハネスブルグを目指すが。
 ふとだ、久志はこうも言った。
「待てよ、ヨハネスブルグってな」
「何か」
「俺達が言ってたのはアウグスブルグだろ」
「宗教和議の」
「それだろ、ヨハネスブルグは違うだろ」
 こう順一に言った。
「そうだろ」
「あっ、言われてみれば」
「ヨハネスブルグは南アフリカの街でな」
 久志はさらに言った。
「世界一治安が悪い街だろ」
「核戦争後の世界の様な」
 ある拳法の伝承者がいる様な世界と言ってもいい、モヒカンがバイクで走り回り暴れ回っているのだ。
「そうした街です」
「勘違いしていたな」
「すいません、私もでした」
「何とかブルグってだけでな」
「間違えてしまいますね」
「ドイツ系の街ってそんな名前多いな」
「イギリスのポーツマス等もですね」
「あれは港だと」
「そしてブルグは街です」
 ドイツ語ではそうなるのだ。
「ニュルンベルグ、ザルツブルグもです」
「城か」
「はい、ヨハネスブルグもです」
「ヨハネスだから」
 久志は考える顔になり順一に話した。
「ヨハネの城か」
「そうした意味か」
「はい、ヨハネスブルグになりますと」
 まさにというのだ。
「そうした意味ですね」
「勘違いしていたな、俺達」
「全くですね」
「南アフリカとドイツじゃな」
 地理的にもというのだ。
「違うな」
「そうですね」
「ああ、本当にな」
「いや、実は私はです」
 ここで順一が言うことはというと。
「地理で満点を取ったことはないです」
「そうだったんだ」
「社会科のテストは常に一門か二問間違えていました」
「それでその一問ってことか」
「そうだったかと」
「俺はそれなりだな、社会は」
 久志の社会系の科目のテストの結果はというのだ。
「偏差値で大体五十七位だったな」
「そうでしたか」
「ああ、それ位だったよ」
「それ位あったらいいだろ」
 智は久志の話を聞いてこう返した。 
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