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夢幻水滸伝

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第十七話 淡路合戦その七

「この度の戦でも出られるでしょう」
「そうじゃな、しかしじゃ」
 着物に靴の男は僧侶に言った。
「わし等もちょっと意地があるんじゃ」
「それ故にですね」
「一戦交えんと何かと舐められるわ」
「だからですね」
「勝ってそうしてじゃ」
「都まで至り」
「わし等が天下を取ったるんじゃ」
 こう言うのだった。
「やったるか、のう」
「はい、それでは」
「そっから太平洋の大海原に乗り出すんじゃ」
 着物の男はこうも言った。
「このわし、地会星正岡駿馬とな」
「人満星織田月心が」
 馬人、褐色の毛並みで人の手足の者とダック、ホビット位の背丈の家鴨と人を合わせた外見の者達だった。二人で港で話をしていた。
「そうしましょう」
「そうじゃな、わしは貿易をやってじゃ」
「拙僧は御仏のことを伝えていきます」
「そうせなな、ほな都に漕ぎ出すんじゃ」
「そうしましょう」
「それで神具じゃが」
「はい」
 ここでだ、織田は巻物を出した。そのうえで正岡に言った。
「般若心経はここに」
「わしもじゃ」
 正岡は一冊の書と短筒を出した。
「万国海法とピストルは持っとるきにのう」
「そうですね、しかし般若心経は法力をかなり上げてくれて気力も回復させてくれますが」
「わしは戦う神具はピストルだけじゃ」
「坂本龍馬さんの」
「これがええんじゃが海法はのう」
 これも龍馬が持っていたものだ。
「法律と商売のことは何でも書いてあって頭もよおしてくれるが」
「戦にはですね」
「兵法は教えてくれるがのう」
「直接には使えない」
「頭で戦うか」
「そうなりますね」
「それじゃあそれでやったるわ」
 これが正岡の考えだった。
「わしもやったるわ」
「それでは」
「出港じゃ、関西と一戦じゃ」
 笑ってだ、正岡はこうも言った。
「わし等も乗り込むきにのう」
「そしてそのうえで」
「戦じゃ」
 笑ってだ、正岡と織田も海に出た。そうしてだった。
 四国の軍勢も瀬戸内の海に出た、目指すは淡路だが。
 その淡路の南には既にだった、関西の水軍が展開していた。既に全艦四国の方を向いている。
 吉川は旗艦である三笠の甲板で己の神具である海図を観ていた、そのうえで海の方をやはり神具である双眼鏡で観た。
 そうしてだ、傍らにいる玲子に言った。 
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