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とある3年4組の卑怯者

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13 授業妨害

 
前書き
 これまでチョイ役か名前が出てくるのみに留まっていた笹山さんが話の本筋に関わります。また、小説オリジナルキャラが色々と出てきますが、ご了承ください。 

 
 放課後、笹山は城ヶ崎と下校のために昇降口へと向かう所だった。その時、1組の生徒の話を小耳に挟んだ。
「ねえ、ホントあれ何なの?」
「アイツ自分のクラスの授業ほったらかして何のつもりかしら?」
「昨日も3組の授業中に廊下やドアを蹴って邪魔してたんだってね」
 城ヶ崎は誰の事か察しがついていた。
「ああ、堀内のことね」
「うん、先週ウチのクラスの授業にも急に教室入ってきて、口出ししてきたよね」
「何度も注意されても叱られてもやめる気ないからホント頭にくるわっ!よその学校言ってちょうだいよっ!」
「どこの学校でもやるとは思うけど・・・」
 笹山は困った顔で呟いた。

 3年2組の堀内竜一(ほりうちりゅういち)。彼は下品で非常識な男子だった。成績は山田よりはマシではあるが、マナーは悪かった。自分のクラスの授業はいつも居眠りか、勝手に教室を抜け出すことが常習だった。特に理科の実験や音楽などの移動教室ではしょっちゅうサボって、その時に他のクラスの授業の邪魔をするのが恒例だった。まともにやるのは体育くらいだが、それも球技限定で、マット運動や跳び箱などは体操着を忘れたふりをして見学しているのだ。また彼に悪行を注意したり、指摘したりしても「うるせえ!!」と言い返されるのがお約束となっていた。
 
 笹山も城ヶ崎も彼の行いから非常に堀内を嫌っていた。いや、二人のみならず、3年生の殆どの児童は彼を嫌がっているのだった。
 
 翌々日、4組は国語の授業中だった。授業が終わる寸前のその時、急にドアが開いた。廊下の窓から見ると、誰かが勝手に開けたようだった。皆がびっくりした。
「ふん、くだらないことしてくれるよな」
 永沢が嫌味たっぷりに言った。
「うん、僕もいくら卑怯と言われてもこんな授業を邪魔するようなことは絶対しないよ」
 藤木は力なく言った。戸川先生はドアを閉めた。 
「皆さん、気を取り直しましょう」
 が、その時、チャイムが鳴ってしまった。
「仕方ありませんね。では続きはまた次の授業にしましょう」

 給食の時間になり、藤木はリリィ、永沢、そして丸尾と給食を食べる班を共にしていた。
「ねえ、(ドア)が勝手に開いたのって、先週勝手に教室に入ってきた髪を立てて眼鏡かけたあの人なの?」
 リリィが聞いた。髪が少し立っており(実は整髪料を使用している)、眼鏡をかけている、それが堀内の特徴だった。
「ああ、そうさ、堀内竜一っていうのさ」
 永沢が返答した。
「あの人は自分のクラスの授業を(ないがし)ろにして他のクラスを邪魔するなんて、ズバリ迷惑でしょう!この前学級委員として注意しようとしたら『うるせえ!!』て返されました!あの人はズバリ、反省ができなさすぎでしょう!」
 丸尾が怒って言った。
「ところでリリィ、イギリスではこんな事する人っていたのかい?」
 永沢が質問で返した。
「いないわ。もしいたら厳しい指導を受けるし、直らないようじゃ退学されるわよ」
 藤木も、永沢も、丸尾も、イギリスと日本の教育の異なりを知ったと同時に、「退学」という言葉にゾッとした。
「退学か・・・、僕は卑怯ってよく言われるから退学になってもおかしくないかもな・・・」
 藤木は気に病んだ。
「え?そんなことないわよ。藤木君は授業ちゃんと受けているし、悪いことしてるわけでもないからありえないわよ」
 リリィが優しく藤木に言った。が、永沢が文句をつけた。
「いいや、藤木君は卑怯だから、すぐに退学になるね。そして色んな学校を転々とするだろうね」
「ええ!?」
 藤木は永沢の言葉を真に受けた。
「永沢君、そんなこというの失礼よ。友達でしょ!?」
 リリィが言い返した。丸尾も永沢を非難した。
「永沢君、貴方友人の藤木君を悪く言うなんて、ズバリ、親しき中にも礼儀ありでしょう!」
「う、うるさい!藤木君とは友人とも思っていないさ・・・」
 永沢が言い返した。永沢のこの一言に藤木はかなり衝撃を受けた。
(そんな、永沢君・・・)

 その後、堀内は4組の授業を邪魔することはなかった。放課後、はまじ、ブー太郎、そして関口しんじが堀内の文句を言っていた。
「ったく、なんだよ、あいつぅ、授業の邪魔しやがって、ふざけんじゃねぇよぉ」
「俺も成績はよくはねーけど、あんなバカなマネはしねーぜ」
「そうだブー、迷惑だブー」
「俺、2年生の頃、あいつと同じクラスだったんだけどよぉ、体育の授業でバスケやってた時、シュートを2回失敗して、さらにドリブルしてボールを相手に取られて、試合の後、あいつにつかみかかられたんだ。そんでよぉ『てめえ、ドンだけヘボなんだよ!さっさと死ねよ!』って言われたんだ・・・」 
 関口は嫌なことを思い出していた。
「ひ、酷いブー、そんなことで怒るなんて、ブー」
「そーだな、上手い下手関係ねーよな、そんなことで怒るなんてほんとサイテーなヤツだよな」
 と、その時、後ろから怒鳴り声が聞こえた。
「あ、テメエが下手クソなのがいけねえんだろ!クズのくせして調子こいでんじゃねえ!」
 堀内が後ろに立っていた。三人はとんでもないことに遭遇してしまったと背筋が凍り付いた。
「な、何だブー!お前が授業の邪魔するのがいけないんだブー!」
「うるせえ!!」
「何だよ、うるせー、って、本当のことだろ!?」
「うるせえ!!」
「うるせえ、ばっかいってんじゃねぇよ!お前、ふざけすぎなんだよ!」
「うるせえ!!」
 堀内が怒りの形相で関口の首と手首をつかんで壁に叩きつけた。
「てめえ、クズのくせしてよ、エラい口叩いてんじゃねえ!」
「う・・・、お前こそ何様なんだよぉ!」
 はまじとブー太郎は関口を助けようと彼から堀内を放そうとした。
「おい、堀内、やめろよ!」
「やめるブー!」
「うるせえ!!」
 堀内は足ではまじとブー太郎の股間を蹴った。二人が痛みに呻いた。そのとき、笹山と城ヶ崎が現れた。
「堀内っ!やめなさいよっ!」
 城ヶ崎が怒鳴った。
「うるせえ、このクソ女!!とっとと家に帰ってままごとでもやってろ!!」
「何ですってっ!?そう首を絞めて関口を殺す気なのっ?!」
「うるせえ!!」
(どうしよう、誰か止めて・・・!!)
 笹山は心の中で慌てた。そのとき、4組の頼れる男子のコンビ、大野けんいちと杉山さとしが現れた。
「やめろ、堀内!」
 大野が堀内に向かって怒鳴る。
「そうだぞ、関口を放せ!」
 杉山も要求する。そして二人は堀内の手と足を掴み、関口から引き離すことに成功した。
「何しやがる、こいつがわりいんだよ!!」
「だからって暴力ふるってんのはおめえの方だろ!?」
 大野が睨みつけて言った。
「うるせえ!!」
 堀内は案の定、同じセリフを言った。
「うるせえばかり言うなよ!」
 杉山が指摘する。が、堀内はそれでも、「うるせえ!!」と返すのみであった。と、その時戸川先生が現れた。
「どうしたんですか?」
「こいつが関口に暴力ふるっていたんです」
 大野が答えた。
「違うんですよ、あいつが悪口言うのがいけないんですよ!」
 堀内が言い訳をした。
「しかし堀内君でしたっけ?君も暴力はいけませんよ。いいですか?」
「へっ、わかりましたよ!」
 嫌そうな言い方で返事をして堀内はその場を去った。
「あ、関口君、大丈夫?」
 笹山が心配した。
「あぁ、みんな、すまねぇ、迷惑かけて」
「お前は悪くねえよ、だから謝ることねえって」
 杉山が慰めた。
「あ、あぁ・・・」
 こうして一行はそのまま下校した。

「まったく、ホントしょうがないヤツだわっ!!」
 城ヶ崎は怒りむき出しに言った。
「そういえば、関口も城ヶ崎も笹山も2年のときアイツと一緒のクラスだったよな?」
 杉山が聞いた。
「ええ、もちろん。あいつはホント気持ち悪いわ。もう見るだけでイヤっ!」
 大野も杉山も城ヶ崎がどれだけ堀内を気持ち悪がっているのかを彼女の態度で察することができた。
「オイラもこの前アイツにいきなり尻を触られて、『いい豚の尻だね』って気持ち悪く触り続けてきたブー、ホント気持ち悪いブー」
 ブー太郎も嫌なことを思い出した。皆堀内のせいで嫌なムードで下校という形になってしまった。 
 

 
後書き
次回:「乱入」
 学級委員に悪口を咎められても反省の様子を見せない堀内。堀内は音楽の授業中に腹痛を装って音楽室から逃亡する。そして4組の授業の邪魔をし、笹山を襲撃する・・・。
 
 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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