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夢幻水滸伝

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第十七話 淡路合戦その三

「彼等にもだ」
「勝ちますか」
「そして太平洋と統一するのは我々ですね」
「ひいては世界も統一し」
「世界を救うのですね」
「そうだ、劣勢を覆すのはより大きな力だ」
 それだけのものだというのだ。
「その力、思う存分見せてやろう」
「我々の力ですね」
「劣勢を覆すだけの力」
「そしてそれは」
「我々自身だ」
 他ならぬというのだ。
「個々の力、そして頭だ」
「その二つで、ですね」
「他の勢力との間の劣勢を覆し」
「そして勝ちますか」
「そうなる、我々は統一しても太平洋では最弱だ」
 日本だけではというのだ。
「しかしその最弱の勢力が統一する、面白いな」
「そうですね、それこそがです」
「奇跡ですね」
「奇跡を出しそして」
「そのうえで勝ちましょう」
「奇跡は人が起こす、そしてそのはじまりにだ」
 まさにそれとしてというのだ。
「これからの戦いにも勝つぞ」
「はい、そうしましょう」
「是非共」
「四国との海での戦いにです」
「是非勝ちましょう」
 将兵達も吉川に応える、そしてだった。
 瀬戸内にその石炭で動く鉄の船達を進めさせていく、吉川はその船達を一糸乱れぬ動きで統率していたが。
 その船達を見つつだ、玲子は吉川の隣に来て彼に問うた。
「やっぱり海図は観てるよな」
「常にな」 
 実際に今も海図を開いていた。
「ここに常に嵐や波、そして敵の状況が出ている」
「そうしたものがわかっていればね」
「危機も避けられてだ」
 そしてというのだ。
「相手に先んずることが出来るのだ」
「敵にもだね」
「四国の水軍の状況も出ている」
「ああ、ここにいるね」
 見れば阿波の港にいる、そこに四国の船の殆どが出港を待っている。吉川の海図は彼が見たい場所を、陸上も含めて見たいサイズで見せてくれるのだ。
「連中は」
「まだ出港していないな」
「多分こっちが瀬戸内に来たらだね」
「来る」
 出港してくるというのだ。
「間違いなくな」
「そうしてくるね」
「そうだ、だからだ」
「淡路での戦になるかね」
「その辺りだな、敵は我々に勝ってだ」
 そしてというのだ。
「淡路を抑えてだ」
「それから近畿に来るね」
「そのつもりだ、淡路を制する者は瀬戸内を制する」
 その東をだ。 
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