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夢幻水滸伝

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第十七話 淡路合戦その一

           第十七話  淡路合戦
 話は前後する、関西と四国の戦の時は刻一刻と迫っていた。吉川もそれを受けてだった。
 伊勢においてだ、彼は水軍の将兵達に言っていた。今は港に多くの鉄の船が錨を下ろしている。
 その船達を見つつだ、彼は言うのだった。
「出港する」
「そしてですか」
「いよいよですか」
「瀬戸内に向かう」
 腕を組み毅然とした声での言葉だった。
「そのうえで勝つ」
「遂に全て完成した鉄甲船達で」
「そうしますね」
「四国の連中もそろそろ動く」
 敵である彼等もというのだ。
「だからだ」
「今からですね」
「瀬戸内に行き敵を待ち受け」
「そして迎え撃ち」
「倒しますか」
「そうする、まずは堺に入る」
 そこの港にというのだ、関西の勢力の瀬戸内側での最大の港で他国との貿易も盛んに行っている豊かな場所だ。
「そしてだ」
「そこで、ですね」
「円地さんとも合流して」
「そしてそのうえで」
「海戦ですか」
「まずは海で退け」
 そうしてというのだ。
「そこからだ」
「四国に上がり」
「そして、ですね」
「四国を併呑する」
「そうしますか」
「山陽での戦もはじまる」
 吉川はそちらの話もした。
「どちらも勝ちそのうえでだ」
「山陽、四国を併呑し」
「勢力を大きく伸ばしますね」
「敵を返り討ちにしたうえで」
「それが狙いだ、では総員乗員だ」
 その鉄甲船達にというのだ。
「堺に向かうぞ」
「わかりました」
「では今から」
 将兵達も頷く、彼等は即座に船に乗り込み吉川の号令一下船は次々に出港してだった。その伊勢からだ。
 堺に向かう、吉川は旗艦である三笠から海を観つつ将兵達に言った。海は青く澄んでいてそれでいて波が荒い。
「速いな」
「これがディーゼルの力ですね」
「風を見る必要もありませんし」
「漕ぐ必要もありません」
「石炭を入れればそれで動くとは」
「実に凄いですね」
「全くだ、労力もかなり減ってだ」
 これまでの船とはとだ、吉川は船の甲板から前を観つつ匂い立ちして腕を組んでいた、軍帽から鋭い目の光が見える。 
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