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獣篇Ⅰ

作者:Gabriella
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2 お尋ね者は、礼儀正しく

 
前書き
 高杉のもとから逃げ出して、江戸へ降り立ったアンナは、元同級生の、桂に出会った。
 世間話をしている最中、真選組に出くわした。
 桂を先に逃がし、1人で真選組に立ち向かう、アンナ。
 果たして、どうなるのか…? 

 
  後ろから刀を突き付けられた。

  _「御用改めである。神妙にお縄につけ。」


  恐る恐る後ろを振り返ると、副長が、私に刀を突き付けていた。

  その横に一番隊隊長がこちらを向いて、立っていた。

  後ろには、隊士たちがわさわさと、集まってきていた。



  _これだけの人数を、かわせられるだろうか…

  _…まぁ、いい。できる限りやってみよう…。


  

  _「なんでしょうか、ご奉行様方。
    わたくしが何か、したとでも?」

  
  するとMr.前髪V字が、こう言った。

  _「なにかしましたか? だって?
    今まさにしていただろう?
    指名手配中の攘夷志士、桂小太郎と、話していただろーが。
    とぼけても、無駄だ。」


  よし、ここは なんとしてでも彼らをまこう。
 そう。あれが私の仕業だったなんて、バレたら困る。


  _「あぁ…。彼があの桂だったのですね。全然知りませんでした。
    なにしろ私、今日初めて江戸へ参ったものですから。

  _ 道に迷っていたので、道順を教えてもらっていたのですよ。」



  _「そうか…。だが一応、事情聴取を取らなくてはならない。
    ついでに屯所までついてきてもらおう、なぁ、白夜叉。」


  _! なぜその名を?


  _「?白夜叉?誰ですか、それ?」

  _「誰ですか?ってお前、指名手配中になってんぞ。
    お前とそっくりな奴も、指名手配中になっているし。」

  白夜叉 って…あの人?

  _「…? 人違いです。それ、私じゃありません。
    じゃ、もう帰っていいですか?もうすぐ友達と待ち合わせしてるんで。」

  _「いや、ダメだ。

  _ おい総悟、こいつに早く手錠を…」





  そうは、させるか。

  
  「総悟」が、私に手錠をかけようとした時、
  その隙を狙って、逆にMr.前髪V字に 手錠をかけてやった。

  _!

  相手が混乱している間に逃げようとすると、

  _「待て。お嬢さん、逃げようったって、そうはさせねえぜ。」


  Mr.バズーカがバズーカ砲を構え、こちらに迫ってきた。


  _えぇい!どうにでもなれ!




  私は、胸の内ポケットに忍ばせていた、煙幕の玉を取り出した。

  _「では、私はこれで、失礼いたします。」

  そして、そいつらの方に玉を放り投げた。

  たちまち、あたりは煙幕に包まれた。


  _「土方さん、見やした?今の。」

  _「大した女だ。あれは…間違いない、あの白夜叉だ。」

  _「白夜叉? 白夜叉って、2人いたんスかァ?
    オレ、万事屋の旦那のことだと思ってやしたァ。」

  _「いや 総悟、違うんだ。世間では、白夜叉は、1人だけだと認識されている。
    だが実際、本当は、2人いるんだ。」

  _「まじですかィ、土方さん。」

  _「だからあの女は、伝説の女の方の白夜叉だ。」


  _「じゃ、オレはその女を追いまさァ。
    土方さんは、屯所に戻って、ゆっくりしてて下せえ。」


  _「おい 総悟!待て コラ!その前に俺の手錠外してけ、コノヤロー!」



  土方の怒声もむなしく、沖田の姿はもう、どこにもなかった。
 
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