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銀河英雄伝説〜門閥貴族・・・だが貧乏!

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第14話 皇帝との接近遭遇

 
前書き
お待たせしました、やっと書けました。

プロットがある程度纏まりました。


 

 
第14話 皇帝との接近遭遇

帝国暦481年12月10日

■オーディン ノイエ・サンスーシ 黒真珠の間 ラミディア・フォン・ファーレンハイト

何故か最近ブラウンシュヴァイク公爵主催のパーテーにお呼ばれすることが多く成ったのです。やはりあのオッさん、アマーリエ皇女がエリザベートしか産めないから、都合のいい女として狙っているのかな。しょっちゅう話しかけてくるし、貧乏男爵令嬢に対する口調じゃないしね。

それで今日は、何とノイエ・サンスーシの晩餐会に招待されました。しかも皇帝陛下主催の晩餐会ですよ。此は素晴らしい料理の山です。上級貴族の方々が多数居る中、私なんかは単なるいらない子ですが、話しかけられることもなく、入口近くで黙々と料理を食べ続けます。

ん、誰か来たが、あのおかっぱ頭はフレーゲルか?まあ私には関係ないのだが、取り巻き連れてこっち来るな!お前等が来るとご飯が不味くなる。

「其処の貧乏人、最近伯父上に取り入って居るようだが、大概にするんだな」
「ファーレンハイト男爵は屋敷すらボロ屋で有名だからな」
「大方、伯父上の愛人の椅子でも狙っているのだろうな」

完全無視で行きますよ。
「何か言ったらどうだ。公爵の愛人は無理でも俺が良い思いをさせてやるぞ」
「中々顔も体も良いようだな、このフレーゲルの愛人にしてやるありがたく思うのだな」

流石に切れても良いですよね。
「あ゛フレーゲル男爵、冗談は顔だけにして頂きたいモノですわね。
余りの情けなさに嘸やご先祖様がお嘆きでしょうね」
「何だと、この女、下手に出ていればいい気に成って!」

「そう言う貴方はどなたかしら。貴族たるモノ名前ぐらい言えないのかしら。
それとも名乗れ無いほど恥ずかしい家なのかしらね」
「何だと!このカール・フォン・サヴィニー子爵を馬鹿にするか!!」

「聞いた事もありませんわ」
まあ、皇帝陛下主催の晩餐会で騒ぎ起こせばえらい事になるのに判ってないな此奴等。
「何だと!ルドルフ大帝以来の武門の家である我が家を馬鹿にするか!」

「フレーゲル様、何を為さっているのですか?彼方で公爵がお呼びですぞ」
「おおそうか、伯父上のお呼びとあれば向かわねば成らん」
そう言いながら、フレーゲルは取り巻きを連れて移動して行った。

「危なきところを、ありがとうございます」
「とんでもございません、主ブラウンシュヴァイクよりお詫びでございます」
よく見れば、シュトライトさんじゃないか。

「それでも、助かりましたわ、公爵によしなにお伝えください」
「御意」

いや、あれほどの紳士は居ないね。よっぽど貴族らしいよ。
家の筆頭家臣に欲しいぐらいだが、忠誠心厚い方だからね。
しかし、ついつい、フレーゲルだから喧嘩売ったけど、今考えると少々やばい行為でしたね、後で仕返しされないか心配だ。


その頃、ブラウンシュヴァイク公爵に呼び出されたフレーゲル男爵は公爵に釘を刺されていた。
「伯父上、何か御用ですか?」
「用も何も無い!」
「お怒りですか?」

普段は余り見ない公爵の態度にフレーゲルはびびる。
「良いか、ファーレンハイト男爵家と令嬢に良からぬ事をしたら、
ヨアヒム。お前と言えども許さぬからそう肝に銘じよ」

真顔のブラウンシュヴァイク公爵に本気を感じたフレーゲル男爵は直ぐに返答をする。
「伯父上、判りました。家銘に賭けてもお約束をお守りします」
「うむ。判ればよい。お前と共に居る者達にも確と伝えるのだぞ」

フレーゲル男爵はブラウンシュヴァイク公と分かれた後考えていた。
何故伯父上は、彼処まであの小娘に執着するのやら、しかし伯父上を怒らす訳にも行かぬな、忌々しいが此処は無視するに限るか。


■オーディン ノイエ・サンスーシ 黒真珠の間  ある人物 

全く、幾ら陛下主催とはいえ、この様な宴は余り好きではないのだがな。しかも妊娠3ヶ月の妻が亡くなって僅か半年しか経っていないのにだ。周りの者達は世継ぎを得るために再婚を進めてて来るが、僅か半年で再婚は辛すぎる。

しかし、参加しているだけで、貴族の娘達がそれ見よがしに寄りついてきて、媚びを売ってきて邪魔でしょうがない、私は静かにしていたいのに、そう思いながら、ふと入り口付近を見た時、私は見てしまった。あの五月蠅いフレーゲル男爵をやり込める、銀髪の少女を。

私は、五月蠅い娘共から逃れるために、部屋の隅に逃れてゆっくりと酒を嗜んでいた時、フレーゲル男爵達が、一人の少女を囲んで『愛人になれと』脅していたのだ。私はあの様な人間が大嫌いなために、思わず助けに入ろうと思ったのだが、私が行く前に彼女が見事に撃退をしたのだ。

あの様な貴族令嬢を私は始めて見た。フレーゲル達を追い返した後で、踊る事もせずに、食事を始めるとは、食べる姿も豪快な事だ、私の廻りに五月蠅く纏わり付く連中と違い興味をそそられる少女だな。彼女の名前は何というのだろう、不謹慎ながら興味がわいてきてしまう私が居た。


■オーディン ノイエ・サンスーシ ラミディア・フォン・ファーレンハイト

フレーゲル達を追い払って貰って、ご飯を美味しく頂いて居ますが、陛下は未だ来てませんね、そろそろ帰りたい気分ですが、陛下が来るまでは帰れないのですよね。そう思っていたら、来たようですね。

古風なラッパの音が黒真珠の間に響く。その音とともに参列者は皆姿勢を正した。

「全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護
者、神聖にして不可侵なる銀河帝国フリードリヒ四世陛下の御入来」
式部官の声と帝国国歌の荘重な音楽が耳朶を打つ。そして参列者は頭を深々と下げる。

ゆっくりと頭を上げると皇帝フリードリヒ四世が豪奢な椅子に座っていたのです。
それから、参列者が順番にご挨拶に行きます。私は末席なので最後なんですけどね。それまでは仕方ないので大人しく陛下や参列者の反応を見ています。

陛下はやはりロリコンなのか、若い令嬢との話は長いですね。
ハルテンベルク伯爵令嬢エリザベートさんなんか凄く長いですよ、確かそろそろマチウスが処分される頃でしょうから、此から地獄の日々に成るのですから、此が最後の笑顔かも知れないな。

ヒルダも長めですけど、エリザベート程じゃないですね。
やっと私の番です。
侍従が私の説明をしてくれます。

「ファーレンハイト男爵令嬢ラミディア様です」
「皇帝陛下におかれましてはご機嫌麗しく」
ご挨拶すると皇帝陛下が、眼を細めて鷹揚に挨拶をしてくれます。

「御苦労じゃな、そちの噂は聞いておる、此からも頑張るように」
「御意」

えっ。此だけですか?逢ってから1分も経ってないんですけど、エリザベートさん、20分も喋ってましたよ。伯爵家と男爵家の差ですか、そうですね。まあ、顔覚えて貰うだけでOKですけどね。

私が最後だったので、陛下は又エレザベートさんを呼んで話してますよ、狙ってるのだろうか?
まあ、関係ないですけどね、又ご飯を食べましょう。

誰か来ましたね、全然知らない方ですね。何処のモブだろうか?
「其処のお嬢さん、私と一曲踊って頂けませんか?」
うげ、ナンパだよ、姿形は標準だけど、面倒なんだけど、フレーゲルとかじゃなきゃ仕方ないか。此も人付き合いの為ですね。

「私ですか、余り踊りは上手くありませんの」
「私がエスコート致します」
「判りましたわ、お願い致します」

そうして踊りをしてるんだけど、旨いなこの人、よほどの良い先生が付いているのかな?私は相手の足を踏みそうで冷や冷やですよ。そう言えば何故か踊っていると周りの令嬢から嫉妬の目で見られるんですけど、この人ロイエンタール並みの誑しなのかな?

「ありがとうございました、楽しかったです」
「いえ、私も楽しゅうございました」
「又お会いしたいものです」
「機会がございましたら」

社交辞令ですからね、それにこういう時は名前を言い合わないのが礼儀ですからね。
分かれましたよ。バイバイ誰だか判らないプレーボーイさん。
こうして皇帝陛下の顔見せだよね?は終わったのだ。

■オーディン ノイエ・サンスーシ 黒真珠の間  ある人物 

銀髪の少女の名前が、ファーレンハイト男爵令嬢ラミディアだと言う事が陛下の謁見で判った。私は不思議になるほど興味のわいた彼女に近づき、踊りをエスコートしたいと頼んだ所、少し考えた後OKしてくれた、彼女は踊りは旨くないと言ったが、それほど悪くはなかった。只廻りに居る令嬢共の嫉妬の目が非常に不快だった。

しかし彼女との踊りで、気分が晴れてきた。もしかすると彼女が私の新たな運命の人なのかもしれない、彼女のことを調べさせよう、年齢は15歳らしいが、あと一年待てば妻と子の喪も終わるから、それまでに彼女の事を知り、話を進めれれたら良いかもしれん。

ファーレンハイト男爵家は家格に問題が有ると言う者も出てくるだろうが、そんな事を気にする私ではない、亡き妻も子爵家出身だったのだから、必ずや父上を説得してみせよう。しかし、ラミディア嬢がはたして私に興味も持ってくれるであろうか、それが心配だ。

帝国暦481年12月10日

■オーディン ブラウンシュヴァイク邸

エーリッヒとオットー親子が話していた。

「それで、皇帝陛下とラミディアの挨拶はそれほど短かったか」
「全く興味を持たれないようで、単に一家臣の娘としか見ていないようです」
「それは些か不味いな、計画が狂ってしまう」

「陛下はことのほか、ハルテンベルク伯爵のエリザベート嬢に御執心で有るように見えました」
「なんと、それは不味い」
「どうしたモノですか」

「未だ16まで1年はある、それまでに陛下の気を惹かせればよかろう」
「はぁ」
「それまでは、虫が付かないようにせねば成らんな」

その話を聞いていたオットーが言いにくそうに父に話す。
「父上、実はヨアヒムがちょっかいを出そうとしておりまして」
それを聞いたエーリッヒの額に皺が寄った。

「なんじゃと、あの阿呆め、この爺が折檻してくれる!」
「父上落ち着いてください。私が釘を刺しておきましたので」
「そうか、只万が一の事もある、護衛は目立たぬように配置せよ」

「はい」

こうして、オーディンの夜は更けていく。
 
 

 
後書き
寵姫フラグが、変な感じになって来ました。
 
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