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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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62部分:第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその五


第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその五

「笑顔を交えるから」
「はい、それでは」
「今より都にですね」
「ええ、そうよ」
 こうして曹操軍は撤収に入ろうとする。しかしであった。
 曹操軍が帰路に着くそこでだ。そこに張飛と馬超が通り掛かった。丁度仕事を終えた帰りであった。
「いや、中々お金を貰えてよかったのだ」
「そうだな、やっぱりあたし達は力仕事が一番合ってるよな」
 笑顔でそんな話をしていた。ここで馬に乗り軍の先頭を進む曹操の横を通った。その後ろで馬に乗る荀彧がただひたすら涙を流していた。
「折角華琳様と御一緒できると思ったのに」
「まあそう言うな」
「次がある」
 夏侯惇と夏侯淵が左右からその彼女を慰める。
「今夜は私だがな」
「その次の夜は私だが」
「それで夏瞬と冬瞬も一緒になって」
 荀彧の嘆きは続く。
「私はその後だから、うう・・・・・・」
 馬上で両手にハンカチを持ちそれを口で咥えて嘆いている。そんな荀彧だった。 
 曹操軍の雰囲気はまずはいいものだった。しかしである。
 その曹操の顔を見てだ。馬超がその手の槍を持ってだ。そのうえで一旦天高く跳んで急降下してからそのうえで襲い掛かったのである。
「曹操、覚悟!」
「むっ!?」
「母ちゃんの仇!」
 こう叫んで襲い掛かる。しかしであった。
「何奴!」
「華琳様!」
 夏侯惇が馬超の槍を受ける。夏侯淵はすぐに主の方に跳び彼女を抱き締め地面に着地する。曹仁と曹洪は主の周りでそれぞれ矛と斧で護る。
「名を名乗れ!」
「馬超!」
 馬超は夏侯惇とせめぎ合いながら名乗った。
「この名前を聞けばわかるな!」
「馬超?」
 曹操は夏侯淵に護られながら立ち上がりだ。そのうえで彼女の言葉に応えた。
「貴女まさかあの涼州の」
「そうだ!母ちゃんの仇!」
 夏侯惇を押し退け曹操に付き向かおうとする。しかしそれはその夏侯惇に阻まれる。馬超は相手の槍を防ぎ逆に攻めながら言った。
「あんた、かなりやるな」
「貴殿もな」
「けれどな、今は曹操を!」
 まだ曹操に向かおうとする。しかしであった。
「待つのだ!」
「なっ、鈴々!」
「よくわからないが戦場以外で槍を振るうななのだ!」
 張飛が馬超の前に出て叫ぶ。
「ここは落ち着くのだ!」
「黙れ!あたしは曹操を!」
 そんなやり取りをしているうちに馬超は夏侯惇達曹操軍四天王に捕まえられてしまった。さしもの彼女も四人が相手ではどうしようもなかった。
 一人残った張飛は宿に戻ってだ。一同にこのことを話した。関羽がそれを受けてすぐに曹操の下に向かった。丁度天幕を築いてそこで休息に入ろうとしていたところであった。
「貴女は?」
「関羽」
 曹操の天幕に入ってだ。すぐに名乗った。曹操は己の席にいて左右にはそれぞれ夏侯惇と夏侯淵が立っている。曹仁と曹洪もいる。
「字は雲長だ」
「そう、貴女がなのね」
 曹操は彼女の名前を聞いてまずは笑った。
「噂は聞いているわ。山賊退治の英傑ね」
「私を知っているのか」
「ええ。それに類稀なる美女だということも」
 このことを言うと笑みを妖艶なものにさせる曹操だった。
「それも聞いているわ」
「そうなのか」
「噂の通りね」
 そしてこうも言ってみせたのだった。
「かなりの美女だわ」
「そんなことはいい、それよりもだ」
「それよりも。何かしら」
「連れから聞いた。私の友人が貴殿を狙ったそうだな」
「馬超のことかしら」
「そうだ、彼女のことだ」
 まさに彼女のことだという。こう答えたのだった。
 
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