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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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真・四十四話 それぞれ

少々乱暴な治療を終え、家に帰宅した全。

簡単な夕食を作り、食事を済ませる。その間にもシンと真耶を含めた作戦会議は続く。

〈とにかく今回の件で高町なのはが落とされるという事件は起こらなかった。しかし、これは相手側にとっては非常に都合が悪いだろう〉

『そうですね。ですから苦肉の策とも呼べる自作自演という線を攻めてきたんでしょう』

「だが、それは本当に苦肉の策だな。却って自身への疑惑を抱かせることになりかねん」

今回、聖は医務室に入ってきて全に詰め寄り自作自演だと言った。

しかし、そういうのは確かな証拠があって初めて言えるような事。何も証拠がない時点で言っても却って自身の首を絞めるような行為なのだ。

それを行ったという事はそれ程追い込まれているという事。

つまり、全の行動は確実に敵にダメージを負わせているという事だ。

「でも、敵もバカじゃないと思う。次に何を仕掛けてくるか……想像がつかないっていうのは怖いけど、相手が神だからな。余計に怖いよ」

〈まあ、何を仕掛けてきてもいいという心掛けをしておくしかないだろうな。人間の思考ルーチンを作ったのは神だ。つまり人間が追い詰められれば何をするか分からないように、神も何をするかわからん〉

『しかし。確実にマイスターが生きれる可能性が高まっているのは事実です。このまま頑張りましょう!』

「ああ、これからも頼むな。シン、真耶」

『もちろんです!』

〈ああ〉






















一方、所変わってこちらはアースラ内の食堂。

そこでは、聖を除いたメンバーで夕食を取っていた。

ちなみにはやてを除いた全員、家族への了承を取ってからここで夕食を頂いているのであしからず。

「はぁ……橘君、本当に大丈夫なのかな……」

「まだ気にしてるの、なのは?」

「あんまり気にする必要ないと思うけどな、私は」

少しだけ気落ちしているなのはを励ますフェイトとアリシア。

「でも、まだ傷治りきってないのに……それに、お医者さんなら誰隔てなく治療するべきだと思うの」

「まあ、それには賛成やけど……でも、相手が橘君やったからお医者さんもちょっとってなったんやと思うで?」

「だが、それでは差別しているようなものだ。後で言っておこう」

「うん、頼むの……」

なのはは全然回復する気配がなくずっと俯いている。

「っ~!ああ、もう!うざってぇ!!」

すると、ヴィータは我慢できなくなったのか自身の選んだ料理が乗っているお盆を持ってなのはの隣に陣取る。

「なのは、お前一体どうしちまったんだ!?」

「ど、どうしたって……」

「お前、あの時橘に助けられてから少し変だろ?今まで橘が怪我をしようが何しようが、あそこまで詰め寄る事なんかなかっただろうが。聖の時だってな」

「え?なのはがそんなに強気で詰め寄ったの?」

「何かちょっと想像できないかも……」

「凄かったぜ、有無を言わせないっ!って感じだった。でだ。何か心境の変化でもあったのか?」

「変化っていうか…………夢、かな?起きてるときに見る、えっと……白昼夢、だっけ?そんなのを見たの」

「…………な、なのはちゃんが難しい日本語を知ってた……!」

「ちょっとはやてちゃん!それどういう意味!?」

「ああ、もう。はやて、あんまり茶化すな。それで?どういう事なんだ、なのは?」

「ありがとうなの、クロノ君…………その夢の中で、お兄ちゃんと誰かが木刀を持って戦ってて……お兄ちゃんが木刀をその子に振り下ろして……その子がそれを頭から受けて血を流して、それでも立ち続けてるっていう夢」

「うぅん、普通に考えれば願望なんかと考えれるんだが……過去の事を夢として見たという可能性もあるが……そんな記憶はないんだろう……?」

「うん、その筈なんだけど……何か引っかかって……」

なのはは胸に手を当てて考え込む。まるでそこにある何かを引き出したいと言っているかのように。

「なのはも?」

「なのはもって事はフェイトちゃんも?」

「フェイトだけじゃなくて、私もだよ」

「アリシアちゃんもか?実はうちもなんよ」

「何だ?僕とヴィータを除いた全員じゃないか。この分でいけばるいとかもそんな違和感を持っているかもな」

「でも、何で私たちだけ……?」

「さあな。案外、そのなのはの言っているその誰かというのは橘の事かもしれないぞ?」

「な、何で?」

「何でも何も……」

手に持っていた箸を一旦置くクロノ。

「橘の戦っている姿を見てその映像を夢として見たんだろう?だったら一番可能性が高いのは橘なんじゃないか?」

「それは、そうかも……でも、小さい頃の記憶はまだあるし、その中で橘君に出会ったなんて記憶、ないよ?」

「それは僕にもわからん……そんなに気になるならお兄さんに直接聞いたらどうだ?」

「……それもそうかも!」

そう言ってなのはは超特急でご飯を流し込む。

「お、おいなのは。そんなに流し込むと」

「っ!?っ!っ!」

急に動きが止まり、胸をどんどんと叩くなのは。

「ああ、もう。言わんこっちゃない。ほら、水」

「っ、ごく、ごく、ごく…………ぷはぁ!ありがとうなの、ヴィータちゃん」

「お、おう……」

素直に感謝される事に未だに慣れていないヴィータなのであった。







































???SIDE

「これが、家に代々伝わるっていう剣……」

「ああ、これを手に出来る人間に神に等しい力を与えると言われている。しかし、本当にいいのか?」

「いいの、パパ。私、この記憶の矛盾を知りたい。でも、どうしてもどっちが本物の記憶かわからないもん。だから、試してみる」

ある女の子がいた。その子が見ているそれはまさしく太陽を表しているかのような真っ赤な剣だ。

造りは一般的な西洋剣だが、刃も鍔も柄も全てが赤色に染まっている。

そして、女の子が剣を手にした時――――――――――――――――――それは、現れた。

―――――――――――――――やぁっと、巡り合えたぜ。俺の宿主に相応しい奴によ――――――――――――――――










また場所は変わって………こちらにも少女がいた。少女が見ているのは壁に掛けられている細剣。レイピアと呼ばれる剣だ。

こちらは普通のレイピアだが、刀でいう鍔の部分に特徴的な石が嵌め込まれている。それはトパーズのように黄色に輝いているのだがトパーズとはまた違う輝きだ。

それもその筈。この石は地球上には存在しない石なのだから。そしてこのレイピアもまた手にした者に神に等しい力を与えると言われている。

そんな説明を聞いて、それでもなお少女はレイピアに手を掛けた。そして柄を手にした瞬間――――――――――――それは、現れた。

―――――――――――――――やっと、巡り合えました。私の宿主よ―――――――――――――――



今、彼女達の運命という名の歯車が回り出した。その歯車がある少年と交じり合い、重なった時。



それは、誰にも負けない強い物に変わるでしょう。 
 

 
後書き
最後の描写で前々回言っていた彼女達のとある伏線です。しかし、それだと余計わからない事になる事が一つだけあります。しかし、それは彼女達が全君と合流した時にわかります。それまでしばしお待ちを。 
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