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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

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第87話 接続

 
前書き
無事、手術を乗り越えました

執筆を再開しますね 

 
「へぇ......これがか」
学園都市のビル群に構えてあるアジトで学生服を着流した茶髪の男性が丸ソファに座りながら達観したかのように首を巡らした。
「じゃあ、コイツにパイロ(発火)してみろ」
「は、はい!」
マスクをしたやや筋張った部下の男性が会釈をしながら目の前に居る頭の半分以上をヘッドギアで覆った身体付きが発達した女性に向けて火の塊を放出した。

迫る火炎を前にした女性のヘッドギアの目の部分が赤く光出して即座に反応していく。

写輪眼!

女性は手を翳すと男性が放った火炎と鏡写しのように火炎を生み出すと全く同じ動作で放った。
ぶつかり合う炎が逃げ場をなくして天井に燃え盛ると火柱が勢い良く上がり四方へと広がる。

「っ!?マジかよ......コピーしやがった」

一同が特質的な力を持つヘッドギアを眺めながら唖然としたように口を開いた。

「気に入ったか?」
タバコをふかしながら無精ヒゲを生やしたガタイの良い研究者が踏ん反り返って脚を組んでいた。
「こ、これがしゃりんがんって奴か?」
「まあな、劣化版になるが」
「他に何が出来るんだ?」
「んー......コメカミにあるツマミを回してみな」
女性がコメカミにあるツマミをゆっくり回してみると光っていた目の光が蒼くなりファンが回る。

「!!」
「誰か格闘術が得意な奴。相手にしてみな」
「......」
「お、おい」
「俺が行く」
やけに顎が大きい筋肉質な男性が前に出ると脇を閉じてボクシングスタイルを取り始めた。
「へ、へへ。その機械壊しちゃうぜ」
「出来るもんならな」

男性が右ストレートを繰り出すが女性は優雅に首をズラして見切ったように躱した。
「!?」
「どうしたー?壊すんじゃなかったのか?」
「う、うるせぇ!このっ!」
前進しながら両腕を使って仕留めようとするが糸の間を縫うように流れながら躱していく。
女性は男性の拳を避けて腕が伸び切った所で右フックをかまして顎を揺らすと振動が脳に伝わり身体の制御がままならずに膝を付いて倒れ込んだ。

「モーションキャプチャーで相手の筋肉の動きから予測した動きを前もって知れるようにしてある」

研究者の無精ヒゲの男は懐に仕舞っているよれよれの使用説明書を茶髪のリーダー格の青年に手渡した。
「......」
パラパラと捲りながら半信半疑と言った感じで不機嫌そうに舌打ちをすると足元に書類を叩きつけた。

「俺は本物の眼が欲しいんだよ......こんなゴツくて不恰好な装置なんざ着けられるか」

脚を組んでいた研究者が「しめた」と言わんばかりにニタリと笑うと指を組んで茶髪の青年を見据えた。
「そうですね。これは簡単に言えばプロトタイプ......我々が目指しているのはこれではありませんよ」
「?」
「この一連の研究はある研究者からの提言でしてね。ある人物をモデルにして造られました」
「回りくどい話なら断るぞ」
「まあまあ、そのモデルが生存すればより精度の高い『眼』を渡しますよ。君もいつまでもこの順位に甘んじる器でもないでしょう第2殿?」
「!?」

学園都市第2位
垣根帝督(かきねていとく)

「......」
垣根から光る翼が生えると無精ヒゲを生やした男性の左脚を吹き飛ばした。
「口の利き方に気をつけるんだな。舐めた真似をしていると殺すぞ」
冷徹に言い放つ垣根だが、男性研究者は時計を確認すると小さく欠伸をした。

こ、コイツ!?
脚が吹き飛ばされたのに

一同が男性研究の飛んで行った脚に目をやると金属支柱とジョイント部分が目に付いた。
「心配なんざいらんよ。とっくに義足だ」
男性研究者は取れた足元を軽く動かしながら再度交渉しるように前のめりになった。
「まあ.......話を聴いて判断してくれ。そうだな『人傀儡』ってのに興味ねーか?」

******

外道の時空間忍術により飛ばされた白ゼツが修復されたばかりの高速道路上で前のめりになりながら体勢を整えて前後に揺さぶっていると前方向から黒いワイヤーが三本伸び、白ゼツの左腕に当たると三点から巻き付いて重なり合うように固く結びついた。

「......!?」
一度だけ手元を確認すると愉快そうに黒いワイヤーが伸びている先を一瞥して悠然と構え出した。
「外道様の言った通りになったな」
「あの時は油断しました。容赦しませんよゼツ」
「......」
土埃の先に居たのは利用した木山の教え子三人。
天道
修羅道
餓鬼道が殺気を強くしながら輪廻眼の波動を強くしていた。

「クク......裏切るのかな?」
「裏切り?」
「研究の犠牲になったお前達に力を与えた。復讐する機会を与えたのに仕損じた......ふふ、君達の望みは叶えたはずだよね」

「まだ仲間ですと?」
「そうだね~君達の態度しだいかな」
「仲間に爆弾投げる奴が居るかよ!」
修羅道が腕の隙間から伸ばしたワイヤーを手を返しながら握り締めると渾身の力を込めて近くに引きずり込む。

「へぇー、木山は仲間かな?」
「あったりめーだぁ!親の居ねぇ俺達の親代わりになってくれた先生だ!」
左腕に巻きつけたワイヤーを身体の中に巻き上げながら肘に付いているブースターを点火すると構える。

白ゼツが惰性のようにワイヤーに巻き上げられていると特有のキリキリとしたノコギリ歯が視えた。
「実験材料にされたのに?」
「!?」
一瞬だけ動きが止まるのを確認すると脳波ネットワークを起動させていき、印を結んでいく。
眼の部分が真っ赤になり、機械が軋むような耳鳴りが響くと白ゼツは指からレーザーをワイヤーが巻きつく腕に発射して切り離した。

「「「!!?」」」
腕を切断するという相手の行動に頭が追い付かない中で修羅道は引き付ける対象の重量が変わった為に後方にバランスを崩してよろけた。

ワイヤーが巻き付いている左腕は余計な重さが無くなったのか一気に加速すると切断されて指の力が無くなった指が開いて掌から真っ赤な輪廻眼が開眼している。

「まだ超電磁砲が残っている」
「えっ?......」

真っ赤な輪廻眼の端から蒼い光が迸ると中心部からレールガンが一直線に放出されて六道の三人に向けて発射された。
「くっ!」
餓鬼道が重い身体を動かしながらレールガンのエネルギーを吸収すると同時に天道が腕を真っ直ぐ伸ばして斥力を生み出して切断された腕を吹き飛ばした。

「さ、サンキューな」
「人間ですか?......貴方は?」

天道の斥力に弾かれた腕を回収し、傷口に付けると元通り可動可能な生きている腕となり、感覚を確かめるように指を動かす。
「返却ご苦労さんだね。人間とは違うかな......さてと」

白ゼツは復活したばかりの腕を使い、高速で印を結ぶと三人の輪廻眼が夜の学園都市上空から光る膨大な糸のような伸びてきてゼツの頭に接続されていくのを確認し、冷や汗を流した。

コイツ!
バケモンかよ!!?

「力は持っても実践経験は皆無だからね。木山よりも多い230万の脳を統べるボクに勝てるかな?」
伸びた光る糸が頭に接続されると長く神々しい髪となり、白ゼツの動きに合わせて上下左右に靡いていく。

その様子は神話上にいる賢しい獣のようでもあった。
人々の騙し、力を奪い取る獣のような表情を浮かべながら六道の前に立ちはだかる白き悪魔とぶつかり合う。 
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