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銀河英雄伝説〜門閥貴族・・・だが貧乏!

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第9話 原野商法

親の正体がわかりますが、本人は未だ知りません。


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第9話 原野商法

帝国暦478年3月15日

■オーディン ファーレンハイト邸  ラミディア・フォン・ファーレンハイト

 アンネローゼの代わりに誰だか知らない人が寵姫になりました。
最近は、ラインハルトとジークと3人で連むことが多いですね。
アンネローゼとも遊んでいますよ、ケーキとかの焼き方を習っています。

アンネローゼがグリューネワルト伯爵夫人にならなかったので原作乖離してしまい、
自分の行った事ながら、此で原作知識があやふやになりました。
さあ、どうしようかと思いながら、昔爺様が原野商法で騙されて買った星系の資料を見ています。

その昔、爺さんがレアメタルが出ると有り金ははたいて購入したんですけどね見事に騙されました。
確かにレアメタルが出てる惑星はあるんですけど、採掘出来るかどうかの問題なのですよ。
星系は6個の惑星と小惑星帯から成り、その内の4個がガス状惑星で衛星にもまともな資源がない。
残りは地球型惑星なんですが、1個は恒星に近すぎて灼熱の大気もない星で使えません。

残りの惑星が程よいところに有って、酸素と窒素と二酸化炭素なども有り人間も住めるのですが、
液体としての水が表面上に無いのです。固体の水なら極地に10億Km3ほど固まっているのですけどね。
その為に、完全な無人星系になっています。

その極地の氷塊の下にレアメタルが有るようなんですが、氷塊が4000mの厚みに有りましてね、
掘れるわけがない!しかもレアメタルは有るから詐欺とは言えないのですよ。
その為に我が家はお宝はあるのに、ド貧乏でいるわけですよ。

そのレアメタルを何とかして掘れれば、我が家の財政状態は劇的な改善を迎えられるのです。
そしてそれを掘る為の会社を作って、ラインハルトやキルヒアイスを社員として登録してしまえば、
一応は門閥貴族なので政府の徴兵からは完全にのがれられる訳ですから必死ですよ。

星系名はパラディースで楽園という命名だけどね、完全な原野商法ですよ。
惑星名が家の名前にしていて、ファーレンハイト星です、恥ずかしいですね。
ファーレンハイト星の地質図を見ながらハタと気がつきました。

極地の標高は高く、赤道直下はマイナス10000mの亀裂やマイナス4000m級の窪地が多数有る事が判ります。つまり極地の氷を溶かして窪地へ流し込めれば真水の海が出来て極地も乾くのでは無いかと考えました、ヴァンフリート4−2の極地でやった、持続性融合弾を叩き込めば氷が溶けて流れるんじゃないかと思うのですよね。

所が困ったことに、我が家には私設軍隊なんて金のかかるモノは有りませんから、何処からか核融合弾とそれを撃つ艦とその後勝手に掘られたりしないように駐留員が必要になります。
まあ駐在員はラインハルトの父さんを充てれば仕事を与えられますからね。
あと法務関係にキルヒアイスの父さんを充てればいいでしょう。

あとは艦船がないんだよなー。叔父さん達が軍人だから船かして貰えないかなー。
数日考え込んでハタト気がつきました、アーデルベルト叔父さんは少将で地方駐留艦隊の司令官をしてたのです。貴族が指揮している艦隊なら割合自由が利きますから。

それなら演習目的で射爆場代わりに惑星にミサイルや艦砲を撃って貰って、排水路と反応弾による極地氷河の融解が出来るのではないかと思うのですよね。
家族会議にかけて見ることにしました。

帝国暦478年4月1日

 地球ならエイプリルフールのこの日、ファーレンハイト家の家族会議を行いました。
出席者は父アンスガー、母アリーヌ、伯父アーデルベルト、姉フェリシア、そして私です。
兄はイゼルローンにいるので不参加です。

「それでは、家族会議を行います」
「ラミィー、この会議は何を決めるのか?」
「今回は爺様が騙された星の有効活用について考えついたのです」

「あの不毛の星か」
「彼処に有るのは氷の下に有るレアメタルだがあれは掘れんぞ」
「叔父さん、そこはそこで手が有るんですよ」

「どんな手が有るんだい?」
「氷が厚ければ溶かせばいいのですよ」
「そう簡単にはいかんぞ」

「手が有るんですよ、叔父さんの艦隊の手助けが必要ですが」
「俺の艦隊?」
「そうです」

「あの惑星のレアメタルの鉱床は極地氷床4000m下に有ります」
「それは知ってるが、掘れないからな」
「惑星の地形図を見ると、極地は高く赤道付近は低いのです。
つまり極地の氷を溶かして赤道の低地へ流し込めば一気に解決するわけです」

「それは良いが、どうやって溶かすのか、それでどう流すのだい?」
「子供の遊びじゃないんだよ」

「いいえ、叔父さんの艦隊の対地演習を家の惑星でやって貰います。
極地のこの地点からこの地点をミサイルか艦砲で溝を掘ります。
その後、極地に持続性融合弾を叩き込んで、氷床を溶かします。
それにより一気に水が流れ出して鉱床が露呈するはずです」

「うむ、子供の考えだからな、そう旨く行くかどうか」
「兄さん、やってみる価値は有ると思うな」
「アーデルベルト本気か」

「どうせ、再来月演習を行うから、そのついでなら何とか出来ると思うよ」
「うむ、ラミィーは子供の頃から賢いからな」
「ダメ元でやってみるか」

「叔父さん宜しくおねがいします」
「ああ。ファーレンハイト家の積年の恨みを晴らす日が来るかもしれないな」
「ああ、あの星の事で子供の頃から散々馬鹿にされてきたからな」

「あと、見事目論見が成功したら、採掘会社作るでしょ。
そしたらミューゼルの叔父さんを雇ってあげて欲しいのよ」
「ああ、それぐらいOKだよ」

「じゃあ、再来月やろう」


帝国暦478年6月1日

■パラディース星系 ファーレンハイト星

 この日、ファーレンハイト少将率いる。帝国軍第351警備艦隊が演習を開始していた。
「閣下、地上砲撃準備完了しました」
「まずは精密砲撃だ、A地点からZ地点まで、各部隊は順次砲撃せよ」
「了解」

ファーレンハイト少将の指揮の下次々に砲撃が開始される。
「続いて、対地ミサイル発射」
「発射」

次々に発射される艦砲とミサイル。
2時間ほどの砲撃後、地上には長さ2000km幅50km深さ1km程の大亀裂ができあがっていた。それを見た後、ファーレンハイト少将が続いて命令を出す。

「極地氷床に持続性融合弾発射」
「発射」

次々に発射される、ミサイル。
そして、着弾し始め溶け始る氷床、そして次第に大規模な融解がはじまり、
遂に先端に達し大洪水が始まった。

宇宙空間からそれを見ながら、ファーレンハイト少将は自然の猛威を感じていた。
それから1ヶ月ほどこの星系で演習を行いながら、偵察衛星で観察しつつ。
再度惑星を観測した所、極地の氷床の殆どが消え、赤道付近に有った窪地が全て水で満たされていた。

その他の高台は洪水の影響で水が多数残り湿地状態が多く見られた、
そこへ大気圏用装備ワルキューレで白詰め草やクローバーなどの種が蒔かれていった。
その後、現地へ着水して、惑星の検査を行い、人間が住むに適した環境になったことが判り、

また、極地には、レアメタルの鉱床が存在することも実証された為、実家へ連絡を行い。
当主アンスガー・フォン・ファーレンハイトが、国務省及び典礼省に正式に届け出て。
ファーレンハイト家所有惑星の登録が成された。

その後、開発資金を貴族専用信用金庫から借りようとしたが、開発費を出して貰えないことが判った。
それは、リッテンハイム候爵の取り巻き、ヘルクスハイマー伯爵が権利の横取りを狙って暗躍した為である。ヘルクスハイマー伯爵はファーレンハイト男爵家に対して二足三文で惑星を譲れと脅しをかけてきた。

ラミディアが憤り。話を聞いたラインハルトやジークも非常に怒ってくれた。
逆に父親や母親はリッテンハイム侯爵に逆らえないから、諦めろと言う。
所が、事態は思わぬ方向へと向かうのであった。

リッテンハイム侯爵と並ぶ権門のブラウンシュヴァイク公爵が支援しても良いと言ってきたのである。
ラミディアにして見れば、何故ブラウンシュヴァイク公爵が援助してくれるのかが全く判らなかったし、
別に借りがあるわけでもない、更に見返りを求めて来ないのも不気味だったが、
両親が、ブラウンシュヴァイク公爵に支援を求めることにした為に決定したのである。

悔しがったのは、リッテンハイム侯爵とヘルクスハイマー伯爵であるが、ブラウンシュヴァイク公爵が皇帝陛下にまで頼んで、諫めて貰ったため矛を収めざるを得なくなった。

それから、ブラウンシュヴァイク公爵の肝いりで、資金の融資も受けられ、惑星開発会社を設立して社長に父のアンスガーを、法律顧問にキルヒアイスの父上が法務省を退任して就いてくれたのである。
また、ミューゼル父も会社に勤めることとなった。


帝国暦479年1月

 しかし、旨く行きましたね。あれほど旨く行くとは思いませんでしたよ。
OVAの様に強突張りの、リッテンハイムとヘルクスハイマーがしゃしゃり出てきましたけど。
何故かブラウンシュヴァイク公が助けてくれたんですよね、何の見返りもせずに。
陛下にまで頼んでくれたし、何でなんだろう?不気味だね、あとで凄い見返り要求されたりして。

まあそれはおいといて、鉱山の開発や惑星の開発が出来る様になり。
ジークやラインハルトのお父さん達も家に勤めて貰いました、
ジークやラインハルトも工業系高校行って手伝ってくれるっていってくれます。

それにラインハルトのお父さんも、仕事をする気になってくれたようで、
頑張ると言ってくれています。
アンネローゼもお手伝いしてくれるそうです。

何れ、星の環境が整ったら、彼方へ家を建てて、星民1号、2号とかに成ってもらうつもりです。
絶対徴兵には取らせないぞー!!
何よりこれからが楽しみです。



帝国暦479年1月

■オーディン ブラウンシュヴァイク公爵邸

 この日、ブラウンシュヴァイク公爵家では、当主オットーが有る人物と会談していた。
その人物は、70台を越えたであろう、白髪の老人だったが気品のある人物で有る。

「父上、お元気そうで何よりです」
「オットーよ、今回はご苦労で有ったな」
「いえいえ。リッテンハイムの奴にも一泡吹かしてやりましたからな」

「しかし、驚きましたぞ。父上からのカミングアウトは」
「まあ、色々とあったからの」
「14年前の事だったとは」

「あの娘《こ》も大きくなって、あれほど知恵をつけるとは思わなかったわ」
「ほんに、驚くべき知恵ですな」
我が家で育ててはああは、行かなかっただろうな。

「オットーお前の妹として認知してやるわけには行かんが、儂に免じて影から助けてやってくれ」
「父上お手をお上げください」
「我がブラウンシュヴァイクの血を引くのです。何れは世に出してやらねば成るますまい」

「それに、女でありながら、あれだけの知謀は何れ我が家の為になりますぞ」
「頼むぞオットーよ」
「はい父上」
 
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