何がいいのか

「天使とか女神とかお姫様みたいだからな」
「もう御前眼科行って来い」
「というか何処まで好きなんだよ」
「好きにも程があるだろ」
「凄過ぎるだろ」
「それで何でなんだよ」
　ここでこうも言った周囲だった。
「そこまで言って告白しないんだ？」
「もう好きなの丸わかりだしな」
「本人見る目も違うしな」
「何だかんだで観に行くしな」
　それもクラスが違っていてそのクラスに行く理由がないのにいつも来て観ているのだ。
「いつもな」
「訳もないのに来て」
「観て帰るしな」
「今日も来たしな」
　その理彩のクラスの面々もいて言うのだった。
「クラスでももうわかってるぜ」
「また来たってな」
「というか来ない日ないしな」
「いや、それはな」
　その話になると藤太も困った顔で返した。９８
「やっぱりな」
「来ないでいられないんだろ」
「もう理彩ちゃん観たくて仕方ない」
「だからだよな」
「それはそうにしてもな」
　顔を赤くさせて歯切れが悪くなっても言うことは言うのだった。
「行かないとな」
「だよな、やっぱり」
「御前はそうだな」
「毎日何回も理彩ちゃん観ないとな」
「いてもたってもだよな」
「で、それでだ」
　ここで周囲は一斉に彼に突っ込みを入れた。
「告白しないんだ？」
「そこまでいって」
「何でだよ」
「そこまで好きなら告白しろよ」
「というかもう皆知ってるしな」
　それこそ学年もっと言えば学校の誰でもだ。
「知らない人いないぞ」
「先生含めてな」
「それで何で告白しないんだ」
「理彩ちゃんも知ってるしな」
「というかあれで気付かない娘なんていないぞ」
「えっ、奥瀬さんもって」
　藤太は周囲のその言葉に驚いて返した。
「まさか」
「いや、まさかじゃないだろ」
「まさかも何もないだろ」
「あれだけいつも見られて気付かない人いるか」
「好きオーラ放ちまくっててな」
「周りも言ってるしな、理彩ちゃんに」
「御前のことをな」
「そうだったのかよ」
　藤太はまた今更の言葉を言った。
「僕は丸わかりでモロバレだったのか」
「そうだよ」
「というか何でそう思ってたんだ」
「相手が気付かないって思えるその考えが訳わからねえ」
「そこまで好きなら告白しろ」
「そうしろよ」
「いや、告白したらな」
　それこそとだ、藤太は言うのだった。