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ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~

作者:叶愛
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終焉 -正義は英雄か、それとも影の英雄か-

 
前書き
アインクラッド編の最終話となります!
ここまで読んでくださりありがとうございました!
引き続き、読んでくださると嬉しいです。
では、ライア視点でどうぞ! 

 
第100層攻略

転移結晶無効化エリアであり、紅玉宮と呼ばれる最後の戦場で俺達は最終ボス『ロストファルコン・ファイナル』と戦っていた。

「ライア、ボスの隙を作ってくれ!」

「了解。」

キリトの指示を聞いた俺は右手にあった剣を左手に持ち替え、ボスに一気に詰める。

「……"ソーゼルト・リバース"」

一刀流ソードスキルで、この世界で唯一攻撃を与えた相手と場所を交代するスキルで隙を作り声を発した。

「ライくん、スイッチ!」

細剣ソードスキル『リニアー』を発動しながら、俺とアスナが入れ替わる。

──何だ、この違和感……

同じメンバー、同じ剣、二年前から変わらないはずなのに今は何かが違った。

──嫌な予感が………!?

そう考えていた時、ボスの口から炎が放出された。

この世界に魔法は存在しない。

あるのは剣などの武器のみ。

物理的な攻撃以外は盾ぐらいしかないこの世界に、この炎を耐えられる武器はあるのだろうか。

──……いや、そんなものは無い。

放出された炎に耐えようと盾装備(タンク)が前に出るが、紙のように飛ばされた。

「鳳凰……」

今起こったことを頭で理解出来ず、固まる攻略組を代表してキリトが呟く。

羽を持ち、空を飛び炎を出す最終ボス。

その悪魔はだんだんと固まる攻略組に近づく。

「やめろ……俺たちは負けるわけには…いかないんだ……!」

俺は目を一度瞑って、勢いよく目を開けて言った。

ウィンドウを操作して、二本目の剣を左手に持ち擬似二刀流でボスに突っ込む。

ユニークスキル『一刀流』と『暗殺術』の合わせでHPバーを削る。

──もっと、もっと……速く!

攻略組は俺の豹変に驚いたのか、それとも剣速に目が追いつかないのかその場に立っているだけ。

だが、擬似二刀流でも全ての攻撃を回避できるわけでもなく俺のHPバーも徐々に減っていく。

──このままじゃ限りがない……危険だがやるしかない…!

俺は一度ボスから離れ、二刀流の構えでボスに向き直る。

ボスは離れた俺に当たり前のように近付いてくる。

そして、俺から少し離れた場所まで来たボスを睨みつけて一気に詰めた。

『天然理心流奥義 翔破李新絶(ロストオブゼータ)

小さく、だがはっきりと言われたその言葉はこことは違う幼き頃から教えて貰っていた剣技。

いつか、この世界で生きていく上でシステムに頼らずに使わなければいけない時がある気がして俺はずっと稽古を続けていた。

ユニークスキル『暗殺術』のソードスキルでステータスは上昇しているため確実にボスを倒しに行った。

パリんっとボスが悲鳴をあげてからポリゴンへと姿を変え、《Congratulations!》の文字が頭上に浮かび、歓声の声が上がった。

それと同時に俺の目の前にウィンドウが現れる。

その内容は─────

《ロストファルコン・ファイナルの討伐おめでとうございます。私はこの世界を操作しているカーディナルです、茅場晶彦とは関係無いので以下の文をお読みください。》

そう書かれてあるメッセージの続きを読むためにスクロールする。

《貴方はユニークスキル『一刀流』・『暗殺術』をお持ちです、その二つはこの世界の本当の最終ボスが持つスキルであります。それが貴方が持つユニークスキルとなりバグとなったため、その修正のために貴方にはアインクラッド『第100層ラストボスモンスター』となって頂きます。》

──………本当になったのか……?

以前、俺の元には今は亡きヒースクリフからメッセージが1通だけ届いていた。

それはバグが生じ、俺がプレイヤーではなくボスモンスターへと変わってしまうかもしれないという連絡。

本来、暗殺術は誰にも渡らない物だったらしい。

だが、それが俺の元に来てしまった事によりバグが生じた。

そのメッセージを読み終わると俺のHPバーの上にあった『Raia』という名前が『Prince of Darkness Raia』へ、今で晴嵐のコートを着ていたはずなのに、黒色のコートへ。

愛剣も見た目は同じなのに変わっていた。

ウィンドウを操作し見てみても、全く知らない装備達。

HPバーは5本へと増え、もうプレイヤーでは無くなっていた。

そんな俺に気づいたのかアスナが近付いてくる。

「ライ…くん…?」

「来るな!」

俺は近づくアスナから離れ、怒鳴った。

「………キリト。」

俺は以前、キリトに質問された。

『ライアお前………ラスボスなのか……?』

何故その考えに辿り着いたかは分からないが、俺はキリトにしか頼めないと心の底から思った。

「……なんだ?」

「デュエルしよう、帰還と死を掛けて。」

この場にいる全員が俺の言葉に息を飲んだ。

「お、おい…ライア!お前何言って…!」

「ちょっとライア、冗談も程々に……」

「あ、アンタ何言ってるの…?」

クラインとリズ、シノンが口を揃えて聞いてくる。

ストレアとアスナは黙ったままで、エギルとシリカ、リーファは何が起きているのか分からないという表情だった。

「俺はこの世界、アインクラッド最終ボスモンスター『Prince of Darkness Raia』。もうプレイヤーじゃない、俺を倒さない限り還るのは不可能だよ。」

「………。」

俺は一度目を瞑り呼吸を整える。

──チャンスは一度。

「クライン、エギル。」

「「………?」」

「中層クラスを支えてくれてありがとう、俺なんかにも気を使ってくれてさ。」

俺は1人1人に向き直って思いを告げていく。

「リズ、シリカ、ストレア。」

「ライア(さん)……」

「2人には本当に感謝してる、アスナを頼む。」

「シノン。」

「………。」

「俺、思い出したから今まで辛い想いをさせてごめん。これからは自分の幸せのために生きて。」

「っ!?あおい……!」

シノンの涙は見たくない、その想いで彼女を抱きしめて最後の願いを伝えた。

「詩乃、ありがとう。君と幼馴染みになれて良かった、明日奈を頼む……。」

俺はシノンから離れて視線を変える。

「アスナ。」

俺は姿が変わってしまった愛剣を鞘に一度戻して、最愛の彼女に話しかける。

「何…ライくん…?」

「ごめん、約束守れなくて。」

「……っ!?」

「君は生きて、俺の分まで。」

俺は笑って言った。

一番彼女には笑っていて欲しかった、涙は見たくなかった。

「キリト。」

目の前で今も尚、黙り続ける相棒。

「お前に俺の命は託さないから。」

「っ!?」

「俺の罪は俺が……僕が償う。」

その言葉を言った瞬間、俺のHPが削れていく。

「!?」

キリトが絶望の顔で俺を見てくる。

「……ユニークスキルの代償だよ、こうなる言事は想像が付いてたからね。」

「あおくん、駄目……!」

アスナが俺に抱き着いてきた。

それでも俺のHPバーは削られていき、5本あった内の3本はもう無くなっていた。

「だめ、だめだよ……!君がいない世界なんて……!」

俺はアスナの頭を撫でながら、この世界に来る前のような口調で反論した。

「俺が死ななきゃ戻れないんだ、俺は終わらせたい。」

「でも、何で蒼が犠牲にならなきゃいけないのよ…!」

シノンが涙を流しながら訴えてくる。

──俺だって……生きていたいよ……。

そんな本音は言えるわけが無い。

だから、俺は嘘をつく。

「俺だけ犠牲になれば皆が還られるならいい事だよ、それにさ。」

HPバーはもう残っていなく、身体が薄くなり始めた。

「俺……もう……皆に剣を……握って……欲しくないんだ……。」

言葉は途切れ途切れにしか言えず、力を抜けばすぐに意識が飛びそうだった。

「ライア…逝くな………!」

キリトが手を伸ばして俺に訴えてくる、だがその手は届かない。

──これで最後になるのなら、俺は………

『皆とリアルで会いたかった。』

その言葉を言い終わると俺は視界からアスナや皆の姿が消え意識も遠ざかった。

《ゲームがクリアされました───ゲームがクリアされました──。》





後に発売された書記には以下の事が書いてあった。

"デスゲーム・アインクラッド"

犠牲者、約4000人。
ラストボスモンスター『Prince of Darkness Raia』

風林火山ギルドリーダー『クライン』

疾風迅雷メンバー
"黒の剣士"キリト(又の名 英雄)
"閃光"のアスナ
"氷の狙撃手"シノン
"疾走"のリーファ
"竜使い"シリカ
"マスターメイサー"リズベット
"斧使い"エギル
"大剣使い"ストレア"

ソロプレイヤー
"青の剣士"ライア(又の名 影の英雄)

と記されていた。 
 

 
後書き
次回からはフェアリーダンス編です!
お待たせしてしまいすみませんでした、ではまた次回! 
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