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星河の覇皇

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第六十三部第五章 会見の申し入れその四十六

「前向きにです」
「検討してくれるか」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「出来れば」
「それでだな」
「立派な方でしたら」
 人格的にだ、そうならというのだ。
「是非にと考えています」
「そうなのだな」
「そう思っています」
「そうか、ではな」
「はい、それでは」
 こう話してだ、金は八条とのことを終えた。そうしてだ、彼女はあらためてだ、こんなことを言ったのだった。
「私もそうした年齢ですので」
「ではな」
「後はあの方ですね」
「八条長官だな」
「あの方はまず一歩ですね」
「一歩だけでもな」
 まさにというのだ。
「進むと違う」
「全く歩かないよりは」
「一歩の方がいい」
 それもずっと、というのだ。
「遥かにな」
「ゼロはあくまでゼロですが」
「一歩は違う」
「そこに何かがありますね」
「全く違ってくる」
 例えそれがゼロコンマ幾つかのことであろうともだ、ゼロでないことは非常に大きいというのである。それでなのだ。
 アッチャラーンはだ、こう言ったのである。
「本当に一歩だ」
「その一歩から動くものなので」
「千里の道もな」
「まずは一歩ですね」
「そう思うからだ」
 是非にというのだ。
「彼は是非な」
「まずは一歩ですね」
「そこからだ」
 こう言ってだ、そうしてだった。
 アッチャラーンは八条にその一歩を踏み出させそうと決めたのだった。だが肝心の八条はそのことを全く知らずにだ、国防省の自室において仕事を一つ終えた後で情報部長のディカプリオにこうしたことを言っていた。
「では太陽系には」
「はい、不穏な動きはです」
 それはとだ、ディカプリオは八条に確かな顔で答えた。
「ありません」
「テロリストも工作員も」
「いません」
 太陽系の中には、というのだ。
「アッディーン大統領、シャイターン主席のお二人を狙う動きは」
「各国の状況と同じで」
「普通に国賓としてです」
 その立場で、とだ。ディカプリオは八条に話した。
「お迎え出来ます」
「それは何よりですね」
「はい、これがサハラならです」
「どうかわかりませんね」
「お二人の命を狙う輩はです」
「多いですね」
「世の中様々な人間がいます」
 正常な人間、アッディーンやシャイターンを好む人間ばかりではないというのだ。 
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