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星河の覇皇

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第六十三部第五章 会見の申し入れその四十四

「性格が悪いとな」
「それで全てが台無しですね」
「人は四十になれば生き方が顔に出るという」
「幾ら持って生まれた顔立ちがよくとも」
「生き方が悪ければな」
「悪相になります」
 だから人間は四十になれば己の顔に自信を持てと言われたのである、アメリカ大統領だったリンカーンの言葉だ。
「人相が悪くなります」
「実際にそうだな」
「ならず者はならず者の顔になります」
 このことはその通りだ、悪人には悪人の顔がありそれは生き方により形成されていくものであるのだ。金もそのことがわかっているのだ。
「ですから」
「それでだな」
「はい、人格です」
 金が最初に相手に見るものはだ。
「それ次第です」
「そういうことでなのだな」
「もっと言えば相手の方の資産や地位は問題としません」 
 金はそうしたこともいいとした。
「大事なことは」
「あくまで人格か」
「そして教養であり」
「最後に外見か」
「私はその順番で相手の方を求めます」
「美女を次から次にという男もいる」
 アッチャラーンはあえてそうした人物のことを言った。
「そしてそれはな」
「女性でもですね」
「いるな」
「はい、しかしです」
「君にそうした趣味はないか」
「ありません」
「それならだ」
 金の話をここまで聞いてだ、ここでアッチャラーンは彼女に言った。
「私もそうした人を知らない訳ではない」
「と、いいますと」
「紹介しようか」
「お見合いですか」
「そうだ、どうだろうか」
 こう金に言うのだった。
「君さえよければ」
「それでは」
 金はアッチャラーンの話に乗った、彼女にしても悪い話ではなかったからだ。妙齢の独身女性ともなれば自然な行動だ。
「お願いします」
「それではな、そしてだ」
 金の返答を受けてからだ、アッチャラーンは再び彼のことに言及した。
「やはり彼のことだが」
「お相手をですね」
「彼が探せるかだが」
「お相手がおられても」
「声をかけてくる相手がいてもな」
「あの方は」
 八条は、というのだ。
「どうしてもです」
「気付かないな」
「そうした方ですから」
「だからだな」
「このことはです」
 どうしてもというのだ。 
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