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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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神話世界に喧嘩売ってみた、あるいは第二回異邦人のお茶会

というわけで始まった一輝一行の上層巡り。鬼道一輝、六実音央、六実鳴央、ヤシロ=フランソワ一世、スレイブ、鬼道湖札、アジ君というメンバーで行われるそれは、始めの内はそれはそれは酷いものであった。
箱庭上層、その中でも今回一輝を呼び出したのはほとんど全て神話からなるコミュニティ。有名なところで言えばギリシア神話、北欧神話、インド神話、日本神話と言ったところである。そしてそういった諸々の神話の中にも、当然ながら優劣が存在する。
確かに、箇条書きした情報で見ればその位は同等かもしれない。一時代において生みだされ、それから先現代、未来に続くまで信仰されている神話であり、主神が存在する。しかし、日本で十人に聞いて一人二人のみ知っていると答える神話とギリシア神話が同等であるとするのは、さすがに暴力的だろう。

そんな状況下で、唐突に現れたのが一輝である。新時代の神霊であり、人類最終試練、最強の魔王、絶対悪アジ=ダカーハを討伐、自らの配下に加えた英雄。当然ながら、原点候補者関連の問題は発生した。だがそれも、彼自身が「神霊として生まれた生粋の神霊である」と同時に「人々の信仰から生まれた神霊である」という属性から、人類が先であるという回答に収束するだろうとみられた。

であるのならば。彼という存在を自分たちに組み込んだとしても問題ないのではないか。そう言った考えを比較的認知度の低い神話体系が考えたとしても、それに罪はない。彼らにとって最優先すべきことは外界の秩序を保つこと。その為に自分たちが滅んではならないのだから、そういったことを考えるくらいなんの問題もない。むしろ推奨されるかもしれないことだ。一輝側にしても真に英雄であるのなら自分を客観的に評価し、最も適している神群に帰依するのが筋というものだろう。

だがしかし、ここにいるのは鬼道一輝である。新時代の英雄でありながら、その本質は悪でしかない。そんなやつが果たして、「自分たちの神群に所属しないか?」と誘われて首を縦に振るだろうか?あまつさえ、中には高圧的に「所属させてやる」と言ってくるものまでいるのだ。当然、反発する。問題児として、正々堂々正面から反発するにきまっている。

彼の・・・というより同行人の名誉のために言っておくと、真摯に誘ってきた神群相手に何かしたわけではない。本人は「え、やだ」とはっきり言いはなったし、それに対して青筋を立てる主神とかもいたが、何とか周りがとりなした。なお一輝一行で取りなしに参加したのは音央と鳴央だけである。
そして、高圧的に言ってきた相手には・・・もう、唯一の良心である二人もあきらめた。はあと一つため息をつき、ヤシロの張る結界内という安全圏へ避難。目を閉じ耳をふさいで「私たちは関係ありません」と主張した。そしてその後は、一種の地獄であった。

初めて高圧的に来たときは。一輝は満面の笑みを浮かべ、スレイブを手に取り、神群相手に全力で立ち回った。あまり戦闘的な行動ができなく・・・というか禁止されていたことで押さえつけられていたストレスの全てを吐き出し、殺しこそしなかったが神様の山を築いた。
彼自身も少しボロボロになったが、それでもご満悦であった。

次に高圧的に来たときは。「またこれか」と満面の笑みでこそなくなったものの、それでもそこそこ楽しくなって無形物を総べるもので蹂躙を開始した。水、火、空気、電気をはじめとする形のない物質と、重力、万有引力といった形のない現象。それらを操るという権能と大差ない力を持って神群一つを相手取り、互いに損傷こそあったものの勝利し高笑いを始めた。
代償こそなくなったものの権能一歩手前のギフトを考えなしに乱用した負担は大きく、それでもやはり楽しそうにしていた。

次に高圧的に来たときは。群対群の決戦を行った。神群に相対するのは彼と妹の檻の中に封じられた異形とヤシロの蒐集した破滅の物語。なるほど神話の最終決戦とはこう言ったものなのかという光景が広がり、後に残ったのは更地とそこに点々と倒れる神霊であった。
群の指揮を執るというあまりない経験を、心底楽しんでいた。

次に高圧的に来たときは。やはり個の戦闘が一番自分の性に合っているという結論に至り、しかしそれでは芸がないとアジ=ダカーハとタッグを組んで神群を文字通り蹂躙した。神霊相手であれば無類の強さを誇るアジ=ダカーハの存在によって、相手が神群・・・神話一つであるにもかかわらずただの一方的な蹂躙となってしまった。
最終的に泣きながら土下座をする神群を前にストレスもなくなった彼は満足そうな顔をしていた。

なおそれ以降は。いい加減飽きた彼によって一瞬で片づけられることになる。具体的には何か言おうとした瞬間に超極細の覇者の光輪(タワルナフ)をそいつの顔すれすれむけて放つという、超暴力的手段によって。飽きるのも早いものだ。

以上、一輝的にどうでもいい神群との会談のダイジェストでした。まる。

「やー、うん。ひっさびさに全力で暴れられて超気持ちよかった」
「お兄さんすっごくいい笑顔だったよね~。久しぶりに見たかも」
「たぶん、私と喧嘩したとき以来だよねぇ。想像はしてたけど、まさかあれほどストレスがたまってたとはなぁ」
「私としては久しぶりに使っていただけたので満足です」
「黒ウサギの胃、大丈夫かな・・・」
「そして今後、一輝さんのストレス的に大丈夫なのでしょうか・・・」

まあ、うん。全て終わってからこうして心配事としてカウントしているのが二人しかいないって時点で、こうなることは決まっていたといっても過言ではないよね、うん。
なお本拠の黒ウサギはどうしていたかといえば。
特にこれと言ったこともなく、また他の三人が比較的おとなしくしていることもあり最大の問題児がいなくなったことで平和になった本拠にて、茶柱にほっこりしていた。そんな彼女の元に一部神群からの謝罪状が届き絶叫を上げるまで、あと六日。



 ========



「そんで?唐突に俺の部屋に訪れたと思ったら茶の準備をし始めた要件は何で?」

ところ変わって、ノーネーム本拠。かつて親睦会をした時のように十六夜の部屋を会場にすると女性陣二人によって決定されたそれは、メンバーが一人減った状態で開催された。

「そうね、まあ前にやったのと変わらない親睦会のようなものよ」
「親睦会ねぇ。それならそれで、一輝が帰ってきてからの方がいいんじゃねえか?心機一転、新しいリーダーの下で頑張りましょう、ってな」
「今回の議題はどちらかと言うと一輝に知られたくないものだから、それはちょっと」

あん?と。ただの親睦会だと思っていた十六夜は整備していた各種道具をギフトカードに片づけ、ベッドに腰かけて紅茶で口を湿らす。今の言い方はなんの疑いようもなく、ただの親睦会ではないということだ。
しかしある種親睦会であり、一輝に聞かれては困るものである。それだけの情報があれば、回答にたどり着くのはそう難しくなかった。

「つまり、対一輝の親睦会、ってわけか?」
「そういうことね。どうせ十六夜君も考えていたのでしょう?」

実際考えていたので肩をすくめるだけに抑え、そのまま茶菓子に手を伸ばす。サクッと口の中で音を立てるクッキーにそれなりに満足した。

「それで?一体全体どういった形で親睦会とするおつもりで?今現在分かってることでも報告するのか?」

それはそれで大変興味がある、と。自分だけで集められる情報、推測可能な事柄では限界があったため、本心ではそう思いながらも表には出さない。この辺りの性格は変わっていないものとみえる。

「ううん、そんなことはしない」
「あん?」
「もっと言えば、推測を進めることもしない」

すなわち、本当にただの親睦会である。ちょっとがっかりしながら、どうせ暇なのだからとそれを良しとする。それに、そう言った意味のない時間というのもそれはそれで貴重なものだ。

「まあつまり、「いつになるか分からないけど妥当鬼道一輝!」と言ったところね」
「気の長い話だな」
「あらそうかしら?全くもってわからない相手に対して傍観ではなく打倒と立てるだけ、十分だと思うのだけれど」
「確か上層は今回の会談次第だけど、基本傍観の立場になるんだっけ?」
「そうらしいわね。よっぽど大規模のギフトゲームに殴りこむか本人が魔王にでもならない限り傍観の立場、役割があるとはいえ悠長なものよ」

お仕事だから仕方ない。それにマジでやらかしたらちゃんと出動してくれるらしいし、それでいいじゃないですか。

「しかしまあ、ホントに・・・どうやったらあれに勝てるのかねぇ」
「あら、十六夜君にしては弱気じゃない?」
「考えてもみろよ。これでも俺はつい最近、一輝(あれ)に惨敗してるんだぞ?」

ある種ごもっともな意見。その完全な敗北があるからこそ今の彼がある以上、『勝てる』などと考えられるはずもない。

「とはいえ、勝たないわけにはいかないでしょう?」
「うんうん、何が何でも勝たないと」
「おやおや、そこまではっきり断言するとは」
「だって彼、私たち二人のことはまだ、本当には認めてもいないじゃない」

はっきりと告げられた意見。十六夜は目を見開きながら、同時に問いかけた。

「・・・その心は?アイツの特徴は身内に甘々だってことで、お前らの状況がヤバければ助けるだろうに」
「ええ、それは間違いないわ。彼のことだもの、私たちのことを友人だとは思ってるだろうし、危険なことがあれば助けてもくれると思うわ。それこそ、命の危険があったとしても」

そう聞けば、彼女たちの条件は鳴央達や十六夜と変わらない。しかし、その本質は異なり・・・

「でもそれは、一個人としてじゃなくて、居場所としての判断」

本質は、今彼女が述べた通りのものであった。
彼女たちが気付けたのは、元の世界での立場ゆえであろう。育った環境から気付くことが出来たという立場で言えば、それに気付くことのできる人間は比較的多い。

久遠飛鳥は、財閥の娘であったが故に。育った環境、身に宿った異能。そういったものから、相手が自分を『個人』としてみているか『組織の1パーツ』として見ているか、自然と判断が付くようになった。
春日部耀は、動物と会話できるという異能ゆえに。自分のいる群れという環境のためにいるのか、それともその中の誰かのためにいるのか。そう言った違いには、度々遭遇している。

そういった点で言えば、彼は常にはっきりと、その線引きを行っている。
箱庭に来た際。『目的のために初対面の相手であっても犠牲にしてしまおう』という考えから六実鳴央を気に入り、そのために力を尽くしたように。
その後のギフトゲームにて、六実鳴央と六実音央を救った際。六実鳴央は上記の理由であるのに対して、六実音央はあくまでも『六実鳴央のついで』であり、彼女の死は鳴央に影響があると考えて救ったように。
外面は同様になっていても、その線引きははっきりしているのだ。

今で言えば、箱庭で個人として彼の大切に入りたとえ何をしてでも救おうと考えているのは鳴央、音央、スレイブ、ヤシロ、湖札、求道丸、十六夜の七人であり。
飛鳥、耀、黒ウサギ、レティシアをはじめとするその他のコミュニティのメンバーは、あくまでも『自分の居場所』の一環でしかない。もし仮に彼女たちがコミュニティを脱退したのなら、意味もなく殺すことこそなくとも必要となれば何のためらいもなく、冷酷に見捨て、機械的に殺すだろう。

「だからこそ、彼にしっかりと勝って言ってやりたいのよ」
「『どうだ、私たちはお前にも勝てるんだぞ』って」
「なるほどなぁ・・・」
「それで、十六夜君はどうなの?」
「あん?」
「このまま、負けたままでいることを良しとして、一生敗者として屈辱の中で生きていくのかしら?」

明らかに、見え透いた挑発である。そして、それに対して逆廻十六夜は・・・

「そうだな。ぶっちゃけ俺は無理だと思う」
「「おい問題児筆頭」」
「その座は一輝に譲ったつもりなんだけどな」

しれっと。そう言い放った。先述の通り今の彼は『鬼道一輝には一生勝てない』という考えからできているのだから、当然である。

「けどまぁ、個人で挑戦しないんだったらいいんじゃねえの?」

そして、そうであるのなら。彼個人としての勝利でないのならば望めるのではないかと。アジ=ダカーハとの戦いでは絶対に考えることのなかった『誰かを頼る』どういう行動を。武具の調達などではなく『共に戦う仲間として』頼ることを、して見せた。

「つーわけで、だ。そう言うことなら、俺も一枚かませてもらうぜ。いつになるか分かんねえけどな」
「あら、こっちを頼ろうって言うのに随分と上からの意見ね?」
「ハッ、自惚れじゃねえけどアイツのパワーやら檻の中の神霊やらをお前たちで相手できるのかよ」
「一応私はできる。・・・諸刃の剣にもほどがあるけど」

再びの驚愕。特に神霊二柱などどうしようもないと思っていたのだが。

「というわけで、こちらとしてはいるに越したことはなくともいなくても何とかなりそうよ?時間はかかるでしょうけどね」
「ふむ・・・」

頭を下げる、というのは今の彼であってもプライド的に難しい。
しかし、だ。度合いなどの要素を度外視してただ戦力を箇条書きすると、耀に可能である以上十六夜が必須ではなくなる。対等な立場であれば先ほどのように向かっていけるが、そうではなくなったのだ。明らかに自分がした。さて、そうなれば残る選択肢など一つだけであろう。

「ああクソッタレ!一回頭下げてやるから俺も入れろこのヤロウ!」
「誰がヤロウなのよ」
「そうそう、こんな美少女捕まえておいて」

胡坐の膝に手をつき深く頭を下げる十六夜に対して残りの二人はからかうようにして答える。だがそれではまだ満足がいかなかったようで。

「でも勿体ないからもう少し条件を設けましょうか」
「うんうん、こんなしおらしい十六夜は貴重だからね」
「テメエら・・・」

問題児女子二人が非情に楽しそうな顔をしている。大丈夫なのだろうか、これ。

「そうね・・・どうしましょうか、春日部さん?」
「うーん、私としては十六夜に一週間猫耳コスって言うのも面白いかなぁって思うんだけど」

十六夜がすっごくいやそうな顔をした。恋人であるところの黒ウサギの反応が怖かったのもあるだろう。猫耳ふざけるな派閥としての黒ウサギの反応も、唐突にポンコツ化する黒ウサギの反応も、である。大丈夫なのかあのウサギ。

「それよりも個人的にお願いしたいことが一つ」
「なんだよ・・・大概のことならマシだから引き受けるぞ」
「では遠慮なく・・・これは飛鳥に対しても何だけど」

私も?と。そんな表情をしながら自分を指さす飛鳥に頷くと、その要求を口にする。

「いい加減、名前で呼んでくれてもいいと思う」

そう、頬を膨らませて言う彼女の表情は。残りの二人を心底笑わせるには十分なものであったようで。しばらくの間、その部屋から二人の笑い声が響き渡る。

「あー・・・なるほどなるほど。そういやそうか。考えてみれば春日部のことを名前で呼ぶやつ、そんなにいなかったっけか」
「そうね。同時に箱庭に来た中でも一輝君だけだものね。言われてみればその通りだわ」
「私はみんなのこと名前で呼んでるのにそれって言うのもなんとも複雑な心境だったんだけどなぁ」

未だに頬を膨らまし年相応の表情をする彼女に再び笑いながら、話を進めていく。

「そう考えると、私も十六夜君にまともに名前で呼んでもらったことってないのよね」
「そうそう。そう言うわけで飛鳥もこっちの陣営につかない?」
「そうしましょうか」

久遠飛鳥、あっさりとした裏切りである。まあ当然といえば当然の裏切りだが。

「あー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・耀に飛鳥、これでいいのか?」
「「うわお、半端ない違和感」」
「言わせといてその反応かよ」

でも仕方ないと思う。長いこと同じ呼び方だったのを変えたときの違和感は半端ない。

「はぁ、ったく・・・呼びかた変えるとかやっぱり違和感でけえな」
「あら、黒ウサギに対してはそう言うことはなかったの?」
「付き合ったからって何か変わるわけじゃねえだろ。デートだの何だのってのはあるが、だからって変化はねえよ」
「そう言うものなの?」
「そういうもんだ。そもそもそれまでの付き合いが心地よかったから好きになったのに変えたら意味ねえだろ」

本当に本質を突き詰めれば、人付き合いはそんなものである・・・という作者の主観です。作者の主観なんです。作者の個人的意見なんです。いいですか三回いましたからね?何度だって隙あらば主張していきますからね?

「ふぅん・・・面白みがないわね。何かないの?こっちが面白おかしく弄れるような内容は?」
「ねえよそんなもん。むしろそっちはどうなんだ、自称美少女サマたちは」
「あー・・・」
「それはねぇ・・・」

ちょっと言いづらそうにした二人。はて何があるのかと思ってみると。

「まず現実的な問題として一輝君は競争率が高すぎるし」
「十六夜は恋人持ちだし」
「「そもそもこの二人に惚れるって言うのも趣味が悪いし」」
「オイコラ」

何が悪いわけではないのだけれど。ついでに彼女たちも問題児であるために似た者同士ではあるのだけれど。それでもやっぱり恋人に選ぶかと言われたらNOであろう、やっぱり。
いや、誤解の無いように言えば逆廻十六夜はいい人間である。鬼道一輝のように本質がクズということもない。無いのだが、うん。友人としてはともかく恋人としてはやはりない、と。

「グリーと求道丸は言うまでもなく・・・だし」

半裸は駄目だよ、半裸は。

「アジさんもそう言う対象にはなりえないし」

こちらは全く違う理由からなのだが、まあ言うまでもないだろう。

「まあそもそも命の危機も込み込みの環境だって言うのに」

魔王との戦いとかガッツリ命の危険が存在し、崖っぷちコミュニティ時代とか個人個人の稼ぎがマジでコミュニティ全体の命に影響する。

「恋愛に(うつつ)を抜かすとかあまつさえ告白して成功失敗問わず環境に影響を与えるとか」

成功して付き合うことになったとして、あからさまにいちゃつきだしたら。それを見た周りの人間がどう思うか。ほほえましいと思う人間とかいねえよ。イライラするだけだよ。
失敗した場合?言うまでもないでしょすぐに切り替えられるほど人間強くないんだよ。まずコミュニケーションに悪影響が出て、結果全体として問題発生だよ。とりなそうとして周りの人間も介入しだしたら悪夢の始まりだよ。

「「そんなことを考える人間がいるとか、バカなのかなぁ、って」」
「今のその発言、俺とか別世界の箱庭の住人(その他の人間)とかに対してクッソ喧嘩売ってるからな?」

一瞬十六夜の発言にノイズ(メタ)が混ざったこと、心より謝罪いたします。
また上記の発言並びに一部地の文における発言はあくまでも『無形物の世界における久遠飛鳥並びに春日部耀の個人的所感』であり、『作者の意見』では全くもってないことを此処に明言させていただきたく思います。証拠?ちゃんと十六夜と黒ウサギ付き合ってるでしょう?

・・・なんか今話では釈明の地の文が多めな気がするなぁ。大丈夫かな、これ。

「とまあそう言う心象もあって。まあそれがなかったとしても対象がいないのだもの、起こりえないのよ」
「そうそう。もういっそ飛鳥と百合の世界にはいるくらいしかないかなぁって」
「あら、それもいいわね。いっそそうしましょうか?」
「あはは、うん。それもありかも」

ほぼ冗談としてそんな会話をしていく二人に対して、女って怖えな・・・、なんてそんな簡単な事実を再確認する。

こうして行われた、第二回異邦人交流。その結果得られたのは女性の冷静さへの再確認と、気のせいか色んな人に喧嘩を売ってしまったのではないかという後悔と・・・ちょっとした、対一輝への布石である。
こんなちっぽけな決意が彼を打ち倒す未来が訪れるのか、はたまたあっさり打ち倒されてしまうのか・・・その未来は、存外近いのかもしれない。
 
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