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~仮面被りし幾重の使い魔~

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Vermelio=Chrimson、俺の名前

教室だと思われる部屋から出て、俺は赤髪の女の子・キュルケに引き摺られるようにして廊下へと出てきた。


「そういえば、あなたの名前聞いてなかったわね。あたしの名前、分かるでしょ?」


「キュルケ、だろ?」

正直、記憶力には自身がないとハッキリ言える。

こんなこと、ハッキリいえたところでなんの自慢にもならないのだが、今は仕方ない。

んー、怪しまれるんだろうなー。


「えーっと、キュルケ。」


「なに?」

あー、名前ないなんて言えない。

いくらなんでも、怪しまれるー。

ヤダナー。


「名前がわかんないです」


「は?ふざけてるの?」

うわあ、露骨に不審そうな表情浮かべられた。

可愛くて綺麗な顔立ちのせいか、なおもそれが引き立ってるよ・・・。

やばい、なにかに目覚めそうかも・・・・。

・・・危ない、危ない。目覚める所だった、危ない嗜好に。

言わないけど。

「ふざけてないよ。じゃあ、名乗るな?せーのっ、俺の名前は『    』です」


うわ、ホントに間が空いてるし・・・。


これが、記憶喪失?本で読んだところ、2パターンあるって聞いたけど・・・。


「その様子だと、ふざけてるわけでもなさそうね・・・。」


キュルケが俺の目を覗き込んで来る。

ちょ、柔らかい二つの大きな丘が俺に当たってますよ、ご主人様!


それにしても、本当に良い匂いだよなー。


なんでこんなに良い匂いがするんだろうか。


俺も吃驚(ビックリ)ですよ、ホント。


「じゃあ、あたしが付けてあげるわ」


「は?」


「名前よ、な・ま・え♪」


物凄く色っぽく言われた!

しかも、ポーズ付き!(ガッツポーズ)


凄く嬉しいけど、作り物な気がしてならない!


「とりあえず、苗字ね。髪が少し赤っぽいから、Crimson(濃い赤)、というのが苗字ね。名前は・・・Vermelio(赤)でどうかしら?記憶喪失のヴェル♪」




勝手に話が進んじゃってるよ・・・。

まあ、いいか。


ヴェルメリオ・クリムゾン。

なかなかカッコいいじゃん。

嘘っぽい名前だけど。


仮宿になる名前とはいえ、ないよりはマシだし。


「おはよう、キュルケ。その人間は学園で噂されてる例の平民かしら?」

キュルケに声をかけてきたのは、たぶん俺と同い年ぐらいのピンクの髪の女の子。

表情が露骨に嫌そうなのが丸分かりだ。

もうちょっと、笑えばかわいいのに・・・。

キュルケと違って、胸は控えめ(つまり貧乳。ステータスだから、気にしないけどな。俺は、だけど)でたぶんさらっさらの髪。

意志の強そうな瞳が相まってか、凄い自信を感じる。

隣に従えている小さなドラゴンはたぶん、彼女の使い魔に違いない。

・・・・眠そうだけど。


「ええ。あたし好みの燃えるような情熱の赤い炎の如き赤い髪を持ってて、カッコいいでしょ?ルイズ。この子はヴェル。ヴェルメリオ=クリムゾンって言うの。あたしはヴェルって呼んでるけど。あたしと同じ、火属性よ?」


キュルケが俺の頭を撫でる。

どちらかというと、ペットを愛でる感覚だろうな。

この嬉しそうな顔を見る限りでは。

ルイズが俺に近づいて来て、まじまじと顔を見つめる。

じーっ、と見てるとルイズの顔がかあああ、と赤くなっているのがよく分かる。

ルイズがつんつん、と突いてくる。

主に俺の頬を。


「おい、触るなよ。というか、許可取れよ!少なくとも俺に聞くかとか、キュルケに聞くか。」


「なによ!ただの使い魔の癖に、メイジである私に指図するわけ!?変な花柄の服着てるくせに!それに、なんなのそのペンダントは!」


よく見ると、俺は黒のアロハシャツを着ていた。


その下にはハーフパンツ。

あと、十字架とアスタリスクが融合した変なペンダントも。

変だといわれても仕方ないか・・・。


俺とルイズの間にバチバチ、と火花が散る。

畜生、当然のこと言っただけなのに!


「ああ、してやんよ!勝手に触るなよ!人に!」

少し慌てている様子のルイズの使い間のドラゴンの子供。

この際だから、ドラゴン・チルドとでも呼ぶか。

この際だしな。


「あんまり、ヴェルを虐めないであげて頂戴ね?まだ何も理解できてないみたいだし。」


キュルケがまた俺の頭を撫でる。


慣れた手つきだな、今更ながら。

奴隷根性が付くのも時間の問題だな、うん。


「むぅ・・・、ほら、行くよ、ドラコ!」


ルイズは頬を膨らませて、ドラゴン・チルドを連れてさっさと歩いていった。


どうして怒ってるんだか・・・。


「あたし達も行きましょう?ヴェル?あたしと貴方の部屋に行くわよ?・・・いや、帰ると言ったほうがいいかな」


「え?ちょ、話の流れ掴めてないんだけど!?」


キュルケはふふっ、と笑うだけでなにも話してくれない。


「言うことを聞かない犬さんには・・・好きなところ舐めさせてあげる♪」


ウインクするキュルケ。

やべえ、元からの可愛さとミステリアスさと美しさが相まってかなり可愛い!

一生、付いていきます!


「ふふ、可愛い子♪」


・・・まさか、このときの俺は知る良しもなかったな。


あんな事が起きるなんて・・・・
 
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