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レーヴァティン

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第十三話 狩人その九

「目立つよな」
「巨人でもな」
「巨人は俺も倒してるぜ」
 青年は久志のその言葉に応えた。
「二回な」
「ああ、その弓矢でか」
「やってるぜ、この弓矢はアポロンの弓矢なんだよ」
「ギリシア神話の神様か」
「アポロンはアルテミスと並ぶ弓の名手なんだよ」
 双子の兄妹だ、アポロンは太陽神でありアルテミスは月の女神だ。
「それで俺はアポロンの弓を持っているんだ」
「それでその弓矢でか」
「巨人を倒したぜ」
 そうしていたというのだ。
「俺もな、しかしな」
「ドラゴンはか」
「まだ姿を見てもいないさ」
「そうか、だったらまずはな」
 久志は青年のその話を聞いて言った。
「その山みたいなでかさのドラゴン探すか」
「そこまでの大きさで見付からないことは不思議ですが」
 順一も言う。
「探してみましょう」
「三人でな」
「そうするか、じゃあな」
 青年は笑って二人に応えた。
「まずはドラゴン退治宜しくな、それで俺の名前はな」
「ああ、まだ聞いてなかったな」
「そうだよな、じゃあ言うな」
「何ていうんだ?あんたの名前は」
「日高智っていうんだよ」
「日高か」
「智でいいぜ」
 智は久志に気さくな笑みで言った。
「呼び方はな」
「そうじゃ、じゃあ智ちゃんよ」
「何だ?」
「ここじゃ何だからな」
 家の扉の前ではというのだ。
「じっくり話をしないか?」
「ドラゴンのこともお互いのこともか」
「ああ、そうしないか?」
「そうだな、ここにいてもな」
 それでもとだ、智も久志の言葉に頷いた。
「仕方ないしな」
「それに落ち着かないしな」
「じゃあ家に入ってな」
「それでな」
「話をするか」
「そうしような」
「何もない家だけれどな」
 智は気さくな笑みのままこうも言った。
「それでも上がってくれよ」
「それじゃあな」
「では三人で何かとお話しましょう」
 順一も言ってきた。
「これから」
「そうだな、これからは三人だしな」 
 智も順一のその言葉に頷いた。 
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