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レーヴァティン

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第十三話 狩人その七

「そうした家畜が大事だな」
「そうです、特に牛です」
 順一はこの家畜を第一とした。
「肉牛、乳牛としても使えますし」
「農業にも使えるからか」
「はい、そのことです」
 まさにとだ、順一は久志に笑顔で答えた。
「牛が重要であるのは」
「俺達の世界で言うならトラクターだな」
「そうなります」
「だから必要だよな」
「牛は特に」
「馬も農業で使えるしな」
 使い道は大体牛と同じである。
「だからだな」
「はい、そうです」
「そうした家畜も国内の産業に必要だな」
「そうですね、そうしたお話は領地を手に入れる時になれば」
「本格的にだよな」
「考えていきましょう、では」
「家に入るか」
「そうしましょう」
 二人で話してだ、そのうえでだった。
 彼等は実際にその家の扉まで来た、そして扉をノックしようとすると後ろから声がした。それは若い男の声だった。
「うちに用かい?」
「?その声は」
「順ちゃん久しぶりだな」
 順一の後ろ姿を見ての言葉だった。
「そっちははじめて見るな」
「どうも」
 順一は後ろを振り向いて挨拶をした、久志も気付いて後ろを振り向いた。するとそこに黒髪を短く、スポーツ刈りにしたすらりとした顔の痩身長躯の青年がいた。ラフな格好で手には弓、背中には矢筒と十本以上の矢達がある。
 その彼がだ、順一に言った。
「今日は何の用だい?」
「はい、実は」
「ああ、俺から話すな」
 久志は自分より数センチ長身のその彼に言った。
「俺がメインの話だしな」
「ってことはだ」
「ああ、知ってるんだな」
「あんたあれだろ」
「この世界を救うって言ったらテンプレだけれどな」
「あの剣抜いたんだよな」
「そうさ、これな」
 その腰の剣に目をやっての言葉だ。
「レーヴァティンな」
「この世界を救う炎の剣だよな」
「それを抜いてきたぜ」
 デルフォイの神殿でというのだ。
「それで暫く勉強してもう一人の奴を送ってな」
「そしてだよな」
「ここに来たんだよ」
「で、俺をだな」
「そうなんだよ」 
 まさにというのだ。
「話を知ってるならいいさ、じゃあな」
「ああ、俺の話をそこまで知ってるんなら」
「ここは動けないか」
「今はな。頼まれごとがあってな」
 青年は久志にこう返した。 
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