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生徒会”執行部”と”捜査部”  ~舞い散る桜STKとの出会い~

作者:猫丸
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16.扉が閉まっているのなら窓から入ればいいじゃない。

 
前書き
曳鬼谷(ひきおたに)(いと)side
*** 

 



「さっきのはなんだったの…?」

突然部屋の前に変な三人組が現れた

一人は、触手の生えた銀髪碧眼の女。あれはもしかしたら…この学園の生徒会長さん? カリスマとか言われてもてはやされてるリア充。あたし達の非リアオタの敵だ。

もう一人は目つきの悪い狼みたいな男。アイツは知ってる、不良の王とかキングとか呼ばれソッチ系の人たちからは慕われて崇拝されてる奴だ。…不良のクセに。

最後のは…見たことない女の子だった。なんであんな有名人と一緒にいたんだろ? そもそもあたしになんの用があって来たの?

『ピギャァ?』

「ムヒ…」

子熊のムヒ。わたしの大切な家族で唯一の友達。
ムヒとの出会いは、ムヒが寮の近くで怪我をし動けなくなっていたのをわたしが発見して、誰にも見つからないようにこっそり寮へ連れ帰って看病したのが始まり。
最初は怪我治るまでといってたんだけど、愛着が沸いて今日までずっと一緒に暮らしてきてもうこの子無しの生活なんて考えられないよ。

『ピギャ』

ムヒの楽し気な鳴き声がする。なにか面白いものでも見つけたのかな? …ムヒが喜びそうな物なんてあったけ?

「ムヒ~? どうした……「あ。おじゃましてまーす」の?」

そこにはムヒと無邪気に遊ぶ、触手の生えた銀髪碧眼女がいた……。

「ギャァァァァ!!? なんでいるの!?」

「ん」

女は…開けっ放しなってカーテンがヒラヒラ揺れている窓を指さす。

「はぁ!? なんで窓開いてるの!? 閉めていたはずなのに!」

「ムヒムヒに開けてもらった」

「ムヒッ!?」

『ピギャァ』

ムヒは「ドヤァ。すごいでしょ? ほめてほめて」といいたそうな顔で鳴いてる。いつの間にそんな芸が出来るように…じゃなくて!

「なんで窓から入って来てるの!? ここ二階だしっ!」

女はムヒを撫でる手を止めて、あたしの方へにじり…にじり…近づいてくる。

「な…なんです?」「ニヒッ」

まるで悪戯っ子のようなそんな笑顔で

「扉が閉まっているのなら窓から入ればいいじゃな~~い~~」

マリーアントワネットみたいなことを言い出した……なにこの阿呆……。

ドンドンッ

「っ!?」

目の前の阿呆に気を取られてたら、後ろのドアが叩かれる。そうだ! まだドアの前にはあと二人いたんだったー!!

「阿呆! おまえ部屋の(そこ)にいるんだな!」

「アホじゃないけどいるよ~ん」

「よっし、じゃあこのドア開けろ」

「アイヨー」「あ…ちょっと!」


***愛side終



「ギャァァァァ!!?」

「…悲鳴?」「…あいつ」

ドンドンッ

古賀先輩がドアを叩く

「阿呆! おまえ部屋の(そこ)にいるんだな!」

「アホじゃないけどいるよ~ん」

ドアの向こう、部屋の中から会長の声がする。

「よっしじゃあ、このドア開けろ」

「アイヨー」「あ…ちょっと!」

会長とそれを止めようする曳鬼谷さんの声

「いつの間に…中へ?」

「だぶん外にあったデカイ樹を登って窓から入ったんだろうな」

「えぇー……」

さっき曳鬼谷さんが出て来た時、窓はすべて閉じられていたはずなのに会長はどうやって窓から入ったのでしょう…。

ガチャリ。カギが開く音がした。

「入るぞ」とドアノブを回し部屋の中へと入って行く古賀先輩の跡へ続いて春も中へ入って行く。





【で】


部屋の中はゴミ…と言っては失礼か、アニメやゲームキャラのフィギュアや男の人と男の人が……している薄い本なんから部屋中に散乱している。
あと色々設備の整ったパソコンがある。詳しい事はわからないけど、畑先輩と同じようなパソコンに強い(ハッカーなど)が使ってそうなパソコン。
画面にはなにかのゲームをやってる途中だったのか、pause画面で止まっている。

「な、なんなのあんた達! 不法侵入者で警察に訴えますよ!」

「だってコガジュン。面会は毎日行くから安心してねん」

「…一応言っておくが刑務所に入る時は三人一緒だからな」

本当に訴えられて刑務所行きは困るので、曳鬼谷さんに自分たちが何者なのか、ここに来るまでの経緯を説明する。
でもまだ不信感/警戒心は解いてもらえないみたいだけど…

『ピギャァ』

「あ…ムヒ」

子熊のムヒが春の足元でじゃれつく。優しく撫でてあげると嬉しそうに鳴き声をあげる。

「…知らなかった。ムヒがこんなに人懐っこかったなんて」

「ムヒムヒは人が大ちゅきなんだねー」

「食べる意味で」と続けて言おうとした会長を古賀先輩が蹴り上げ阻止する。畳に倒れたまま動かなくなったけど、まぁ大丈夫でしょう放っておこう。

「……で河野先生の何が聞きたいの」

やっと曳鬼谷さんが春たち変人三人組に少しだけ心を開いてくれた!

「そのまま…股もひら…」

古賀先輩は倒れている会長の頭を踏み潰す。

「聞きたいことつーか、おまえには保険になってほしいんだ」

「保険?」

「ああ。オレたちは河野の野郎をボコる! ボッコボコにする、でも理由なしにボコれねーから正当な理由突き付けてボコボコにした上で刑務所にブチ込む!」

胸の前で拳を掌に叩き合わせながら言う。正義のヒーローみたいでカッコイイれす、古賀先輩。

「…わかった……それくらいなら出来るかも…」

「本当か! サンキューな、曳鬼谷!」

曳鬼谷さんの手を取って本当に嬉しそうに何度もお礼を言う古賀先輩と少し照れているのか頬が赤く染まっている曳鬼谷さん。

『ピギヤ?』

「あ…でも協力するのには条件がある」

「条件…れすか?」

「うん。ムヒのことだけど…」

条件というのは対して難しいものではなかった「ただムヒのことを黙っていてほしい」それだけだった。
基本的に寮でのペットを飼うのは禁止、それ以前に熊を飼うのは法律的にアウトのような気がする。
今は子熊で可愛いけど大きくなって大人になったらどうなるかわからないし…それでも曳鬼谷さんは最期までムヒと一緒にいたいらしい、大切な家族だから。




【で】



「今日は急に押しかけて悪かったな。特にこの阿呆が…」

チラリと古賀先輩の肩に担がれた会長を見る。頭を蹴られ気を失っているのでピクリとも動かず/話さず大人しい。もういっそのことこのままの方が静かでいいかもしれない。

「あはは…本当に。まさか窓から入って来るとは思わなかった」

「…驚きれす」

「どこでそんなスキル仕入れてきてんだって話だよな」

「「アハハハッ」」

楽しそうに笑う二人の横で春だけは笑わない。硬い表情のまま。

「また来るわ。おまえもたまには学校こいよー」

「また…れす」

「あたしが部屋を出るのはフィギュアとかムヒのご飯を買いに行く時だけですよー」

と見送ってくれる曳鬼谷さんを背中に感じながら、懐かしの寮を後にする。




【で】





外はもう夕暮れ、そんなに長い時間あの寮へ居たんだ…と浦島太郎状態。

「なぁ…風月」

自分たち住む寮への帰り道、不意に古賀先輩が話しかけてきた。

「なんれす?」

「笑わないよな、おまえ」

ドストレートの言葉だ。ストレートすぎてちょっと心に刺さって痛い…かも。

「そう……れすね」

「なんでだ?」

質問もドストレート。

「……笑いたくないから」

「なんで?」

「……なんででもれす!」

「あっ風月!」

もうこの会話はしたくなくて/ここに居づらくて、春は駆け出す。何処へ向かうわけでもなく。








残された古賀先輩は

「オレまたやっちまった…のか?」

「ほんっつつとデリカシーがないねコガジュンわん!

 一級フラグ建築士なのに朴念仁でデリカシーをお母さんの子宮の中に忘れてきちゃうなんてダメダメじゃん!」

「…盗み聞きとはいい趣味だな」

「えへへよく言われますぅ~」

「よく言われちゃ駄目だろ…たくっ。起きたなら自分で歩け、重い」

「えぇ~~ヤダー! このままボクの部屋まで連れてってハニー!」

「誰がハニーだ」

「じゃあダーリン?」

「それはもっとない」「だよね~」


幼馴染で仲のいい二人。はたから見ればお似合いのカップル?






――今日もまた日が沈み 

    明日もまた日が昇る








                              続く






 
 

 
後書き



前回と今回は愛ちゃんと塗り薬じゃないよ?子熊のムヒ回。

中原会長の名言出ましたー【扉が閉まっているのなら窓から入ればいいじゃない。】
すごいね。多分マリーさんでもこんなこと言わないよw完全にただの変態の不法侵入者だよww
朝来たのに、帰りは夕方ってどんだけ入り浸ってたの!? 小説ではあっという間の出来事だったのに…(>_<)

会長とコガジュンイチャラブ。う、羨ましくなんてないんだからね!
↑コイツに勝てるのかなー春? 自分だったら……回れ右して帰るわ~笑

 
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