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英雄伝説~灰の軌跡~

作者:sorano
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第26話

~パンダグリュエル・パーティーホール~



「―――了解しました。わたしはアルティナ。アルティナ・オライオン特尉。コードネームは”黒兎(ブラックラビット)”。そしてこの子は―――”クラウ=ソラス”。」

「―――――」

レンに促されたアルティナは自己紹介をした後自分の背後に漆黒の人形―――クラウ=ソラスを現させた。

「へ………オ、”オライオン”……?」

「し、しかもあの人形って……!」

「ミリアム君の”アガートラム”とかなり似ているな……」

「”黒兎(ブラックラビット)”―――それに”オライオン”……!何故貴女がメンフィルに……!?」

アルティナの自己紹介を聞いたエリオットは呆けた声を出した後ミリアムに視線を向け、ある事に気づいたアリサは驚き、ジョルジュは不安そうな表情で呟き、クレア大尉は信じられない表情でアルティナを見つめた。

「あはは、君と繋がっているその子はクーちゃんって名前なんだ!だったらこっちも負けてられないよ~!――――ガーちゃん!」

「――――――」

「ちょっ!?ここは重要な会議の場なのに、意味不明な対抗心でアガートラムを出すんじゃない!」

ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべてアガートラムを呼び出し、その様子にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中マキアスが疲れた表情で指摘し

「――――?」

「……”クラウ=ソラス”を混乱させないでください。」

ミリアムのある言葉を聞いて困惑しているクラウ=ソラスの様子を見たアルティナはジト目でミリアムを見つめて指摘した。



「!?ちょっと待て!何でその少女―――アルティナが”特務部隊”の一員なんだ!?」

「トヴァルさんは彼女の事を知っているのか?」

一方アルティナを見て血相を変えて声を上げたトヴァルの様子が気になったガイウスはトヴァルに訊ねた。

「知っているもなにも、アルティナがユミルが襲撃された時のどさくさに紛れてアルフィン皇女殿下を拉致してカイエン公の下へと連れて行った張本人で、その後にリィン達がユミルに戻って来た時にルシア夫人も拉致しようとしたが、”英雄王”達によって捕えられてメンフィルに連行されたんだぞ!?」

「何ですってっ!?」

「そなたが皇女殿下を………」

「しかもリウイ陛下達に捕われて、メンフィル帝国に連行されたとの事なのに、何故その人物が”特務部隊”の一員に……」

トヴァルの説明を聞いたサラは血相を変えて声を上げ、アルゼイド子爵は真剣な表情でアルティナを見つめ、エマは困惑の表情でアルティナを見つめていた。

「そう言えば先程レン皇女殿下のお話ではリウイ陛下がユミルで”貴族連合軍”の”裏の協力者”の一人を捕縛した人物は”黒の工房”に所属していたとの事ですが……まさかその方がアルティナ様で、所属している”黒の工房”がメンフィルによって制圧された為、所属先を失ったアルティナ様をメンフィルに寝返らせたのでしょうか?」

「うふふ、さすが”執行者”の一人だけあって中々鋭いわね♪シャロンお姉さんの推測通り、”貴族連合軍”の”裏の協力者”であったアルティナをメンフィルへと寝返らせたのよ♪」

「……………」

「ええっ!?き、貴族連合軍の関係者をメンフィルに寝返らせるって……!」

「め、滅茶苦茶だ……!」

シャロンの推測を肯定して説明を続けたレンの話に否定する部分はないかのようにアルティナは静かな表情で黙り込み、エリオットとマキアスは驚きの声を上げた。



「フン、要するに所属している組織が潰されて行き場を失ったその娘の弱みに付け込んで、メンフィルに所属させたって事じゃない。子供相手にそんな大人げない事をするなんて、”ゼムリア大陸真の覇者”と恐れられている国の癖に、やる事は随分と姑息で悪辣ね。」

「おい、サラ!さすがに言い過ぎだぞ!?」

鼻を鳴らして厳しい表情でレンを見つめて呟いたサラの言葉を聞いたトヴァルは焦りの表情で指摘し

「弱みに付け込んだなんて、失礼ね~。元々アルティナは”黒の工房”を潰した後はイーリュン教が経営している孤児院に預ける予定だったのよ?」

「え……で、でも現に彼女は”特務部隊”―――メンフィル軍の一員として、メンフィル帝国に所属していますが……」

レンの話を聞いたトワは困惑の表情で指摘した。

「私の身柄はマスター―――リィン・シュバルツァー様に引き取られました。ですからマスターが”特務部隊”に配属された以上、マスターの使用人である私とクラウ=ソラスもマスターを補佐する為に”特務部隊”に配属されるのは当然の流れかと思われます。」

「――――――」

トワの疑問に対してアルティナは淡々と答え、アルティナの意見に同意するかのようにクラウ=ソラスは機械音を出し、その様子にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「リィン特務准将が彼女を引き取ったって……一体どういう事なんですか?」

「今回の戦争で最も手柄をあげたリィンお兄さんは特別にリィンお兄さんが望む”褒美”は3つになってね。一つ目はさっきみんなに話した通り、今回の両帝国の戦争を”和解”という形で終結させる事。そして二つ目はその娘――――アルティナをリィンお兄さん達”シュバルツァー家”が引き取って、今後の彼女の処遇については”シュバルツァー家”に一任してもらう事だったのよ。」

「ええっ!?」

「何でそんな理解不能な事を望んだのよ?確か話によると、その娘がアンタの母親を拉致しようとした張本人なんでしょう?寝首をかかれる可能性を考えなかったかのかしら?」

「セリーヌ!」

ジョルジュの質問に答えたレンの説明を聞いたアリサは驚き、セリーヌは不思議そうな表情でリィンを見つめて問いかけ、セリーヌの歯に衣を着せない質問の仕方にエマは声を上げてセリーヌを睨んだ。

「……アルティナを引き取る事にした理由は色々あるが、一番の理由はカシウス准将の教えによるものだ。」

「へ……」

「カ、”カシウス准将”って、まさか……!」

「”百日戦役”で圧倒的な戦力を覆して、エレボニア帝国軍を撃退したリベールの”英雄”――――”剣聖”カシウス・ブライトか!?」

リィンの口から出た予想外の人物の名前を聞いたトヴァルは呆けた声を出し、ある事に気づいたエリオットとマキアスは信じられない表情をした。



「ああ。それにしてもまさかリィン君もリシャール大佐やユリア准佐達のようにカシウスさんの後継者の一人だったとはね………」

「確かにカシウス准将は俺にとって”師”に当たる方でもありますが、実際に指導してもらった期間は極僅かな期間でしたから、俺はリシャール殿達のような”剣聖の後継者”ではありません。」

苦笑しているオリヴァルト皇子の言葉に対してリィンは謙遜した様子で答え

「……先程そなたは、カシウス卿の教えによって彼女―――アルティナを引き取る事にしたと言っていたが、カシウス卿は一体どういう事をそなたに教えたのだ?」

アルゼイド子爵はリィンに続きを言うように促した。

「……かつてカシウス准将から指導して頂いた時剣以外に”絆”について教えて貰いました。『人は様々なものに影響を受けながら生きていく存在だ。逆に生きているだけで様々なものに影響を与えていく。それこそが『縁』であり―――『縁』は深まれば『絆』となる。そして、一度結ばれた『絆』は決して途切れることがないものだ。遠く離れようと、立場を(たが)えようと何らかの形で存在し続ける……』、と。だから彼女―――アルティナ・オライオンの件も俺の”縁”と思い、彼女を引き取ろうと思い、褒美に彼女を引き取る事を望んだのです。」

「カシウス卿がそのような教えを………」

「ハハ……あの人らしい教えだな。」

「ええ………」

リィンの答えを聞いたラウラは驚き、苦笑しているトヴァルの言葉にサラは口元に笑みを浮かべて同意し

「”縁”に”絆”………わたし達”Ⅶ組”にとっても他人事じゃないね。」

「ああ………今この場にはいないユーシスもそうだが、クロウもオレ達にとっては決して途切れる事のない”絆”だな。」

「そうだね……君達だけでなく、僕達にとってもクロウとは決して途切れる事のない”絆”だね。」

「うん……そしてその中には学院を停学する事になったアンちゃんもその一人だよね……」

静かな表情で呟いたフィーの意見にガイウスは答え、ガイウスの言葉にジョルジュとトワはそれぞれ頷いた。



「なるほどね~。それにしてもここでもカシウス・ブライトが関わってくるなんてね~。カシウス・ブライトの脅威度ランクをもう一つか、二つ上げた方がいいかもしれないね~。」

「ミリアムちゃん!」

「頼むからそういう事は僕達のいない所で言ってくれ………」

そしてその場の空気をぶち壊すかのように答えたミリアムの発言内容にその場にいる全員が表情を引き攣らせている中、クレア大尉は声を上げてミリアムを睨み、マキアスは疲れた表情で指摘した。

「え、えっと……それよりもアルティナさんはミリアムちゃんと同じファミリーネームである”オライオン”を名乗っていましたが……」

「まさかアンタも”人造人間(ホムンクルス)”なのかしら?」

すぐに空気を変える為にエマはアルティナを見つめて声をかけ、セリーヌは真剣な表情でアルティナに問いかけた。

「はい。私の形式番号はOz74です。」

「あ、ボクの方が1コ上だから、ボクは君のお姉さんだね~♪」

「何故形式番号が貴女の方が上だという理由で、貴女が私の姉になるのか、理解不能です。」

アルティナの答えを聞いて無邪気な笑顔を浮かべてとんでもない発言をしたミリアムの言葉を聞いたその場にいる全員が再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アルティナはジト目でミリアムに指摘した。



「―――さてと。これでレン達”特務部隊”の自己紹介は一通り終わったから、Ⅶ組のみんなは”特務部隊”の指揮下に入るか、入らないのかの判断をこの場で決めてくれないかしら?」

「ええっ!?今この場で決めるんですか!?」

レンに答えを促された事にアリサは驚いてレンに訊ね

「当たり前よ。メンフィルとしてもエレボニアに”和解条約”を実行してもらう為にエレボニアの内戦を1日でも早く終わらせるつもりなのだから、この後レン達は”カレイジャス”に乗り込んで内戦終結に向けて活動するつもりよ。」

「要するにメンフィルはさっさと和解条約で贈与してもらう事になっているエレボニアの領地を得たいから、内戦を1日でも早く終結させたいだけじゃない。」

「ハハ………だけど、それが内戦で苦しんでいるエレボニアの民達の誰もが一番望んでいる事だから、私達は文句を言えないね………」

「……………」

レンの説明を聞いたサラは厳しい表情でレンを睨み、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、アリサ達エレボニア帝国の関係者達はそれぞれ複雑そうな表情や辛そうな表情で黙り込んでいた。

「―――レン皇女殿下。差し出がましいかもしれませんが、一つ提案をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ええ、勿論いいわよ。それでどんな提案かしら、セシリアお姉さん?」

「彼らは”特務部隊”の指揮下に入るか入らないかの判断に迷っているようですから、”判断材料”として特務部隊の指揮下に入る際に発生するメリットとデメリット、そして指揮下に入らなかった際のメリットとデメリットをそれぞれ説明して差し上げればどうでしょうか?」

「あら、それはとってもいい案ね♪―――それじゃ、セシリアお姉さんが言ったように、Ⅶ組のみんなが特務部隊の指揮下に入った時と入らなかった時のメリットとデメリットを今から説明してもいいかしら?セシリアお姉さんが言っていたように、それぞれのメリットとデメリットがわかっていたら、今後どうするかの判断がしやすいでしょう?」

「それは…………みんな、レン皇女殿下のご厚意を受けて、それぞれのメリットとデメリットを説明してもらってもいい?」

「―――はいっ!」

セシリアの意見を取り入れたレンの問いかけに対してトワは複雑そうな表情で答えを濁した後すぐに決意の表情になってアリサ達に確認し、アリサ達は少しの間考え込んだがすぐにそれぞれの顔を見合わせて頷いて返事をした。



「うふふ、それじゃ先に特務部隊の指揮下に入らなかった場合のメリットとデメリットを答えてあげるわ。まず特務部隊の指揮下に入らなかった場合のメリットは今後の行動はⅦ組のみんなの”自由”ね。」

「”自由”………」

「つまり、今まで通り僕達の意志でどう動くを考えて、行動できるって事ですよね?」

レンの説明を聞いたガイウスは呆け、エリオットは明るい表情でレンに訊ねた。

「ええ。―――まあ、水を差すつもりじゃないけど、”学生”である貴方達が内戦の状況を何とかする為に今後どう動くかの方針はもう決まっているのかしら?」

「そ、それは………」

「……お恥ずかしながら、まだ何も決めておりません。」

「それ以前に”Ⅶ組”はまだ全員揃っていないですし……」

「そうよね……クロウはともかく、ユーシスが………」

レンの問いかけに答えられないマキアスは複雑そうな表情で答えを濁し、ラウラは重々しい様子を纏って答え、辛そうな表情をしているエマの言葉に頷いたアリサは不安そうな表情でレンを見つめた。

「!ユーシスで思い出したけど……メンフィルとエレボニアの戦争が”和解”―――つまり終結した以上メンフィルに軟禁されているユーシスは当然解放してくれるのでしょうね?」

「ユーシス君を……それは一体どういう事なのでしょうか?」

真剣な表情でレンに問いかけるサラの質問の意味がわからないジョルジュは不思議そうな表情で首を傾げ

「レグラムでユーシスの件について訊ねた時、”殲滅天使”のお姫さんはユーシスは『メンフィルとエレボニアの戦争終結まではバリアハートの元アルバレア公爵城館にて軟禁して、戦争終結後は”アルバレア公爵家”の財産の4分の1を現金にして渡して解放する』と口にしただろ?だから、現時点でエレボニアは軟禁されているユーシスの解放を主張できるって事だ。」

ジョルジュの疑問にトヴァルが答えた。



ユーシスお兄さんの処遇だけど……メンフィルとエレボニアの戦争終結まではバリアハートの元アルバレア公爵城館にて軟禁、当然ユーシスお兄さんへの危害は厳禁とし、戦争終結後は”アルバレア公爵家”の財産の4分の1を現金にして渡して解放する事になっているわ。



「あ……っ!」

「確かに『和解調印式に出席したエレボニアとメンフィル、そしてリベールを始めとした中立勢力の代表者達が和解条約書に調印した時点でメンフィルとエレボニアの戦争は終結した事』になりますから、メンフィルに軟禁されているユーシス様の解放を主張できますわね。」

「―――レン君、軟禁されているユーシス君を解放してくれないだろうか?」

トヴァルの答えを聞いてレグラムでのレンの発言を思い出したアリサは声を上げ、シャロンは静かな表情で呟いてレンを見つめ、オリヴァルト皇子は真剣な表情でレンに嘆願した。

「ええ、いいわよ。」

「ほ、本当ですか!?」

「待って。”殲滅天使”がこっちの要望をそんなあっさり呑むなんて、どう考えても怪しい。」

「今までの事を考えたら、絶対裏があるか、見返りに何かする必要があるんじゃないの~?」

「口を謹んで下さい、ミリアムちゃん!」

「フィーちゃんもです!」

オリヴァルト皇子の嘆願にあっさり応える事を口にしたレンの答えを聞いたエリオットが明るい表情をしている中、フィーとミリアムはレンを警戒し、二人の言葉を聞いたクレア大尉とエマは声を上げて注意した。



「んもう、何でみんな、レンの事をそんなに疑うのかしら?」

「レンさん……それ、本気で言っているんですか?」

「ハア……貴女の今までの行動や言動を考えたら、貴女を警戒するのも当然の事でしょうが……」

「腹黒い事をするなとは言いませんが、貴女の場合そういう事はもう少し控えるべきですよ、レン。」

頬を膨らませて呟いたレンの言葉にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ツーヤとプリネ、サフィナは疲れた表情で指摘した。

「むう…………ま、いいわ。サラお姉さん達が言ったように、ユーシスお兄さんの軟禁期間は”メンフィルとエレボニアの戦争終結まで”だから、今日行った和解調印式で和解が成立した以上、メンフィルは軟禁しているユーシスお兄さんを解放しなければならない”義務”も発生するのだから、当然解放してあげるに決まっているでしょう?もしメンフィルとエレボニアの戦争が終結したにも関わらず、ユーシスお兄さんを解放しなかったらリベールや遊撃士協会あたりが五月蠅いでしょうし、下手したらユーシスお兄さんを解放しなかった件を持ち出して和解条約書の変更を主張してくる事だって考えられるのだしね。」

「なるほどね。つまりユーシスを解放しないと、メンフィルにとっても都合が悪いから、何の見返りも求めず、あっさりと解放してくれるのね。」

「何はともあれ、ユーシス君を解放してくれることを聞いて、安心したよ……」

レンの説明を聞いたセリーヌは静かな表情で呟き、オリヴァルト皇子は安堵の表情で溜息を吐いた。



「―――話を戻すわよ?次は特務部隊の指揮下に入らなかった場合のデメリットだけど……まずⅦ組のみんなにとっての”拠点”を失う事になるから、新たに”拠点”を探す必要がある事よ。」

「新たな”拠点”………確かに合流してからのオレ達の”拠点”は”カレイジャス”だから、特務部隊の指揮下に入らなかった際、”カレイジャス”から降りなければならないから、新たに拠点を探す必要があるな………」

「拠点なら、東ケルディック街道に僕達が使っていた拠点があるけど……」

「いや、あの拠点は広さで考えると3人が限度だから、全員揃った今の僕達が使うのは無理があるだろ。」

「そもそもケルディックはメンフィルに占領されてしまったから、”エレボニア”の状況を探るに適していないし、最近まで戦争していた相手の国の領土になる事が決まっている地方を拠点として使うのは色々な意味で不味い。」

「ボク達の拠点はノルドの民達の集落だったから、今後の活動の拠点には向いていないね~。」

「ええ……それにこれ以上ノルドの民の人達に迷惑をかける訳にはいかないし………そう言えばエマ達はどこを拠点にしていたのかしら?」

レンの指摘にガイウスは考え込み、エリオットの言葉に対してマキアスとフィーはそれぞれ反論の答えを口にし、疲れた表情で呟いたミリアムの言葉にアリサは複雑そうな表情で頷いた後ある事に気づいてエマに視線を向けた。

「私とラウラさん、ユーシスさんはトリスタで皆さんと別れた後ラウラさんの故郷であるレグラムへと向かい、レグラムを拠点として活動していました。」

「ええっ!?それじゃあ最初はユーシスとも一緒だったんだ!?」

「うむ………ユーシスも故郷の方が気になっていてな。ユミル襲撃が起こる数日前に鉄道を使ってバリアハート方面に向かったのだ。………バリアハートで”あのような事”が起こるとわかっていたのならば、止めておくべきであったな………」

「ラウラちゃん………」

エマの話を聞いて驚いているエリオットの言葉に頷いた後重々しい様子を纏っているラウラをトワは心配そうな表情で見つめた。



「……そなた達さえよければ、レグラムをそなた達の拠点とするといい。」

「へ………本当にいいんですか!?」

アルゼイド子爵の申し出を聞いたマキアスは呆けた声を出した後信じられない表情で確認し

「うむ。不詳の娘が世話になったせめてもの礼だ。」

「父上………」

「あ、ありがとうございます……!」

アルゼイド子爵の答えを聞いたラウラは苦笑し、エマは明るい表情で感謝の言葉を述べた。

「―――水を差すようで悪いけど、拠点にする場所は”よく”考えた方がいいわよ。」

「え………」

「それは一体どういう意味よ?」

その時レンが話に割り込み、レンの指摘を聞いたアリサは呆け、サラは真剣な表情でレンに問いかけた。



「貴方達”Ⅶ組”は”貴族連合軍”にとっては、”敵”で、しかも今まで”貴族派”と協力関係だった”帝国解放戦線”によるテロ活動を正規軍と協力して防いで来たこともあって、内戦勃発後は指名手配までされていたのでしょう?今までは貴族連合軍側が優勢だったから、貴族連合軍も所詮は”学生”である貴方達の制圧にそれ程力を割いていなかったのだと思うけど………今回のメンフィルとの戦争で大損害を受けた今の状況だと、貴族連合軍は不安要素を少しでも取り除く為に貴方達Ⅶ組の捜索や制圧に全力を挙げる可能性はあるかもしれないわよ?」

「それは………」

「確かにその可能性は十分に考えられるね~。貴族連合軍はメンフィルとの戦争で”黄金の羅刹”と”総参謀”に加えて”パンダグリュエル”まで失ったから、貴族連合軍にとっても今の状況は割と焦っている状況かもしれないね~。」

「ええ………特に”主宰”であるカイエン公は跡継ぎのナーシェン卿に加えて自身の拠点であるオルディスまで失ったのですから、内心、相当焦っているでしょうね………」

「そして確実に内戦に勝つ為に、”不安要素”であるわたし達を制圧する為に、貴族連合軍にわたし達の拠点を襲撃させる可能性は十分にあるだろうね。」

「そうね………それこそユミルの時みたいに、貴族連合軍が雇っている猟兵達や結社を始めとした貴族連合軍の”裏の協力者達”にあたし達の拠点を襲撃させるかもしれないわね。」

レンの推測を聞いたガイウスは真剣な表情をし、ミリアムとクレア大尉、フィーの推測に頷いたサラは厳しい表情で更なる推測をした。



「そういう事。―――つまり、レグラムをⅦ組の拠点にしてしまえば、最悪の場合レグラムがユミルみたいに戦火に包まれる事だって十分にありえるから、”よく考えた方がいい”って言ったのよ。」

「………………」

「それは……………フィー。元猟兵であるそなたに聞きたい。レグラムは襲撃する場所としてどうなのだ?」

レンの推測と忠告にアルゼイド子爵は目を伏せて黙り込み、複雑そうな表情で答えを濁していたラウラはすぐに表情を引き締めてフィーに視線を向けて訊ねた。

「…………ん。少なくてもレグラムは猟兵にとっては襲撃しやすい場所。街道方面はレグラムと隣接しているバリアハート地方をメンフィル軍が哨戒しているから難しいと思うけど、湖からの襲撃なら夜の闇に紛れたら、割と簡単。しかも今のレグラムは霧も濃いから、霧を利用しての襲撃も十分に考えられる。」

「そうか…………」

「レン皇女殿下の仰る通り、拠点にする場所はよく考えた方がよさそうですわね。」

フィーの答えを聞いたラウラは重々しい様子を纏って頷き、シャロンは静かな表情で呟いた。

「次に”補給”の問題よ。」

「へ………ほ、”補給”ですか?」

「補給なら、そっちが軍資金として7億ミラをボク達にくれるんだから、その軍資金を使えば問題ないと思うのだけど~?」

レンの口から出た意外な指摘にエリオットは呆けた声を出し、ミリアムは反論した。



「あのねぇ………内戦で物価が高騰している影響で、肝心のお店に食料を始めとした”商品”も平時と比べると数や種類も少ないのよ?しかも貴族連合軍は徴収までしているから、お金はあっても肝心の補給物資がお店にない可能性も考えられるわよ。」

「そ、それは……………あの、レン皇女殿下。軍資金として7億ミラをⅦ組のみんなに提供してくれるとの事ですが、軍資金の一部を”軍資金の金額に相当する現物を支払ってもらう事”でも構わないでしょうか?」

「あら…………」

「ほう………」

「へえ?」

レンの指摘に複雑そうな表情で答えを濁していたトワだったがある事を思いついてレンに訊ね、トワの問いかけを聞いてトワの考えを悟ったセシリアは目を丸くし、サフィナは感心し、レンは興味ありげな表情をした。

「トワ?それって一体どういう事なんだい?」

「うん。メンフィル帝国から提供してもらえる軍資金の一部の代わりに”軍資金の金額に相当する現物”――――つまり食料を始めとした補給物資を用意してもらうって事だよ。」

「あ……っ!」

「なるほどな………確かにそれなら、補給についての心配はなくなるな。」

「ええ、一部とはいえ、間違いなく莫大な量になるでしょうから、正直な所少しでも構いませんから我々正規軍にも分けて欲しいくらいですね。」

「ハハ、話に聞いていた以上にとても優秀な仔猫ちゃんだね♪」

ジョルジュの質問に答えたトワの答えを聞いたアリサは声を上げ、トヴァルの推測に頷いたクレア大尉は苦笑しながら呟き、オリヴァルト皇子は感心した様子でトワを見つめていた。



「和解条約書では軍資金をⅦ組のみんなにあげる事になっているから、”そういう方法での支払い”―――例えば『6億ミラと1億ミラに相当する現物という支払い方』も一種の”軍資金の提供”になるのだから、別に構わないわよ。」

「あ、ありがとうございます……!」

「メンフィル帝国の寛大なお心遣いに心から感謝致します。」

「とりあえずこれで補給の問題は解決できたわね……」

レンの答えを聞いたトワとラウラは感謝の言葉を述べ、サラは安堵の表情で呟いた。

「クスクス、安心していられるのも今の内よ?今から言う二つのデメリットは貴方達Ⅶ組―――いえ、”トールズ士官学院”の人達にとって受け難い事柄なのだから。」

「ぼ、僕達Ⅶ組どころか、”トールズ士官学院”の人達にとって受け難い事柄……?」

「……それってどういう事。」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの口から出た不穏な言葉を聞いたエリオットは不安そうな表情をし、フィーは警戒の表情でレンに問いかけた。



「うふふ、二つのデメリットの内の一つは貴方達――――トールズ士官学院の関係者達が”トールズ士官学院の奪還”に関われない可能性が高い事よ。」

「ええっ!?」

「オレ達が”トールズ士官学院”の奪還に関われない……それは一体どういう事なのだろうか?」

レンの答えを聞いたⅦ組やトールズ士官学院の関係者達がそれぞれ血相を変えている中アリサは信じられない表情で声を上げ、ガイウスは真剣な表情でレンに訊ねた。

「そのままの意味よ。内戦を終結させる為には帝都(ヘイムダル)と幽閉されているユーゲント皇帝達の奪還、そしてカイエン公を始めとした貴族連合軍の上層部達の捕縛もしくは殺害をする必要があるのだから、帝都(ヘイムダル)奪還の為にも帝都(ヘイムダル)に最も近い都市――――トリスタの奪還もレン達”特務部隊”率いるエレボニア帝国軍の予定にも当然入っているわ。」

「そ、そんな……!?もし、レン皇女殿下達の手によってトリスタ―――トールズ士官学院が奪還されたら……!」

「Ⅶ組のみんなや僕達――――トールズ士官学院の関係者達にとっての悲願である”自分達の手でトールズ士官学院を奪還する事”が叶えられなくなるね………」

レンの説明を聞いたトワは悲痛そうな表情で声を上げ、ジョルジュは辛そうな表情で呟き

「レン皇女殿下。先程ジョルジュ先輩も仰ったように、”トールズ士官学院の奪還”は我等Ⅶ組―――いえ、士官学院生全員の果たすべき”使命”と思っており、他のどんな勢力にも任せたくはありません。何とか”特務部隊”率いるエレボニア帝国軍によるトリスタの奪還は思い留まって頂けないでしょうか?」

「ハア?何を寝ぼけた事を言っているのかしら、ラウラお姉さんは。帝都(ヘイムダル)を奪還する為にはトリスタの奪還が必須である事はここにいる誰もがわかる事でしょう?ラウラお姉さん達が言っている事――――”トールズ士官学院の奪還”はトールズ士官学院の関係者達以外はするなって意味にもなるから、内戦が一日―――いえ、一分一秒でも早く終わって欲しいと願っているエレボニアの民達の願いよりも、”自分達の手で学院を取り戻したいという学生の我儘”の方が重要だって意味にもなる事をラウラお姉さん達は自覚しているのかしら?」

「それは……ッ!」

「……ッ!」

「……………」

「皆さん………」

レンに嘆願をしたラウラだったが、呆れた表情をしたレンに正論で返されると反論ができず辛そうな表情で唇を噛みしめて顔を俯かせ、サラは唇を噛みしめてレンを睨み、ラウラ同様辛そうな表情で黙り込んでいるトールズ士官学院の関係者達をクレア大尉は心配そうな表情で見つめていた。



「………レン皇女殿下。帝都に隣接している都市は”トリスタ”だけではありません。そちらの奪還に変更する事は不可能でしょうか?」

「トリスタ以外で帝都に隣接している都市?……ああ、確か”リーヴス”だったわね。”トリスタ”から”リーヴス”の奪還に変更しちゃったら、内戦終結の日が遠のくから話にならないわ。」

「ど、どうしてですか……!?子爵閣下のお話ではその”リーヴス”という都市も帝都(ヘイムダル)に隣接しているのに、トリスタからそのリーヴスという都市の奪還に変更したら内戦を終結の日が遠のくんですか………!?」

「お嬢様…………恐らく”特務部隊”は東部の正規軍や領邦軍を従えて、帝都(ヘイムダル)へ進軍すると思われますから、トリスタとは真反対の位置――――帝都(ヘイムダル)の西側の都市であるリーヴスを奪還しての帝都(ヘイムダル)への進軍は余りにも非効率ですから、無理がありますわ……」

「なるほどね……確かに近くの都市を攻めずに逆側に位置している都市を攻めるなんて、非効率過ぎて常識で考えればありえない進軍ルートね。」

アルゼイド子爵の提案を一蹴したレンの答えを聞いて悲痛そうな表情で反論したアリサを辛そうな表情で見つめていたシャロンは自身が推測したレン達の考えを答え、シャロンの推測を聞いたセリーヌは納得した様子で静かな表情で呟いた。

「うふふ、さすが”執行者”だけあって、鋭いわね。シャロンお姉さんの推測通り、レン達”特務部隊”の大まかの予定では東部の正規軍や領邦軍を従えて帝都(ヘイムダル)の東部に位置しているトリスタを守っている貴族連合軍を制圧してトリスタを奪還、そしてトリスタから帝都(ヘイムダル)に進軍する予定よ。」

「東部という事は第三や第四を従えるつもりなんだ~?」

「父さん達を………」

「”第三”という事は”特務部隊”はゼクス中将閣下達も従えるつもりなのか………」

レンの説明を聞いてある事を察したミリアムは意味ありげな笑みを浮かべてレンを見つめ、ミリアムの推測を聞いたエリオットとガイウスはそれぞれある人物の顔を思い浮かべて複雑そうな表情をした。



「ハハ……なるほどね。第三機甲師団を率いる師匠(せんせい)は”アルノール家の守護者”である”ヴァンダール家”の関係者だから、アルフィンを旗印にしている”特務部隊”の要請に応えて真っ先に”特務部隊”の指揮下に入る可能性は高いだろうし、クレイグ中将は正規軍でも数少ない”中立”の勢力であり、忠誠を誓っている相手は”アルノール皇家”だから恐らくクレイグ中将も”特務部隊”の指揮下に入るだろうね………レン君、トールズ士官学院はかのドライケルス大帝が設立した皇立学校……できれば学院生の諸君で決着をつけて欲しかったが、そうは言っていられない状況だ。私も少しでも早く内戦を終結させる為にも特務部隊率いるエレボニア帝国軍がトールズ士官学院―――トリスタを奪還する事が必須である事も理解している。だが、トールズの学院生達を蚊帳の外にしてトリスタを奪還する事はこの内戦の最中今までトリスタを―――トールズ士官学院を奪還する事を目標にして、頑張って来た彼らには余りにも酷な事だ。特務部隊率いるエレボニア帝国軍がトリスタの奪還作戦を行う際、せめてⅦ組を含めたトールズの学院生達にも何らかの形で奪還作戦に関わらせてくれないだろうか?―――この通りだ。」

オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた後レンを見つめて頭を下げて嘆願したが

「別にそれくらいなら構わないけど、”特務部隊率いるエレボニア帝国軍による奪還作戦に関わった時点でⅦ組を始めとしたトールズ士官学院の学生達も特務部隊の指揮下に入る事を了承した事になる事”は理解していて、頼んでいるのかしら?」

「……それは…………」

「……………」

呆れた表情で指摘したレンの正論に反論できず辛そうな表情で答えを濁し、トールズ士官学院の関係者達はそれぞれ辛そうな表情や複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「………さっき、デメリットの二つの内の一つはエマ達が母校の奪還に関われない可能性が高いって言っていたけど、後一つのデメリットは何なのかしら?」

「うふふ、もう一つのデメリットは正直”人によってはデメリットになるかどうかわからないデメリット”よ。」

「意味不明なんだけど~。もったいぶらずにハッキリと答えてよ~。」

「ミリアムちゃん!レン皇女殿下に対して不敬ですよ!?」

セリーヌの質問に対して不敵な笑みを浮かべて答えたレンに疲れた表情で指摘したミリアムの言葉を聞いたクレア大尉は声を上げてミリアムに注意した。



「クスクス、別にレンは気にしていないから、わざわざクレアお姉さんが怒る必要はないわよ?――――話を戻すけど、もう一つのデメリット……それは”帝国解放戦線”のリーダーがレン達特務部隊によって討たれる可能性が非常に高い事よ。」

「て、”帝国解放戦線”のリーダーって……!」

「クロウ君………」

「そう言えばレグラムでも、メンフィルは”西ゼムリア通商会議”でのテロの件でお前さん達のクラスメイトである”帝国解放戦線”のリーダーも貴族連合軍の上層部達ごと殺害するつもりである事も言っていたな………」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの説明を聞いたアリサは表情を青褪めさせ、トワは悲しそうな表情をし、トヴァルは複雑そうな表情でかつての出来事を口にした。



クスクス、それと肝心な事を忘れていない?レン達メンフィルの殲滅対象にⅦ組のクラスメイトも含まれている事に。



ぼ、僕達Ⅶ組のクラスメイトって……!



………メンフィルはクロウも殺すつもりなのだろうか?



ガイウスお兄さんったら、何を当たり前の事を聞いているのかしら♪レンが言っているメンフィルに殺される予定のお兄さん達のクラスメイト――――クロウ・アームブラストの正体を考えたら、メンフィルどころかエレボニアでも殺されて当然の存在でしょう?



”帝国解放戦線”は”西ゼムリア通商会議”であんたを含めたメンフィルのVIP達も”鉄血宰相”ごと葬ろうとしていたから、この戦争でついでにクロウ達も葬るつもりなのね……!



「そ、そんな………このままだと、クロウが………」

「それにヴィータ姉さんも………」

「……間違いなくバンダナ男と一緒にメンフィル―――特務部隊に討たれるでしょうね。”剣帝”や”殲滅天使”を含めて”特務部隊”は”化物”揃いみたいだから、そんな相手に幾ら魔術師としては最高峰の実力を持っているヴィータでも勝ち目はないわ。」

レグラムでの出来事の一部を思い出したエリオットは表情を青褪めさせ、ある事に気づいたエマは悲痛そうな表情をし、セリーヌは複雑そうな表情をした。

「―――ああ、そうそう。先に言っておくけど、帝国解放戦線のリーダーに”騎神”があるからと言って、レン達が負けるなんて事は絶対にありえないから、”騎神”には期待しない方がいいわよ?」

「何でそんな事がハッキリと言えるの~?……って、”殲滅天使”には”アレ”があるから、”騎神”とも渡り合えるだろうね~。」

「レグラムでの別れ際に現れた人形兵器か……」

「名前は”パテル=マテル”だっけ。」

「確かに”パテル=マテル”のスペックを考えれば、”騎神”の撃破も可能でしょうね。」

「しかも”剣帝”みたいな、生身でも戦車どころか”機甲兵”とも十分にやりあえる連中もいるから、”パテル=マテル”に加えて特務部隊の加勢もあったら、幾ら”騎神”といえど、勝ち目はほとんどないだろうな……」

レンの話を聞いて疑問が出て来たミリアムだったがすぐにある事に気づき、レグラムで現れた人形兵器―――パテル=マテルを思い出したジョルジュは重々しい様子を纏って呟き、フィーとシャロンはそれぞれ静かな表情で呟き、トヴァルは複雑そうな表情で推測を口にした。



「クスクス、トヴァルお兄さんはよくわかっているじゃない♪言っておくけど、特務部隊の隊員達はアルティナを除いて全員単独での機甲兵の撃破は可能よ?」

「ええっ!?」

「オレ達が協力してようやく戦闘不能にできた機甲兵を単独で………」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの答えを聞いたアリサは驚き、ガイウスは真剣な表情でリィン達を見つめ

「”アルティナさんを除いて”という事はリィン特務准将やエリゼさん達も機甲兵を単独で撃破できるのですか……?」

「―――ああ。俺やエリゼ達も生身で機甲兵や戦車ごと、貴族連合軍の兵士達を殺した事もある。」

「な、”生身で機甲兵や戦車ごと、貴族連合軍の兵士達を殺したこともある”って……!」

「”ゼムリア大陸真の覇者”の異名で各国から恐れられているメンフィルの精鋭部隊だけあって、とんでもない”化物”の集団みたいね、”特務部隊”は。」

不安そうな表情をしているエマの質問に答えたリィンの答えを聞いたトワは信じられない表情をし、セリーヌは目を細めてリィン達を見つめていた。

(まあ、俺達の国を建国した皇帝自身やその子孫達が”化物という言葉も生温いと思えるような存在”だから、そんな存在と比べたら”生身で機甲兵を撃破できる程度”の俺達なんて、大した事ないよなぁ?)

(フォ、フォルデ先輩。プリネ皇女殿下達もいらっしゃるのですから、そういう事は口を謹むべきだと思います。)

(ア、アハハ………)

フォルデはからかいの表情でステラと小声で会話し、フォルデの言葉を聞いたステラは冷や汗をかいて指摘し、二人の会話が聞こえていたプリネは苦笑していた。



「”特務部隊”の指揮下に入らなかった場合、僕達にとっては致命的なデメリットだらけだから、選択肢はもう決まったようなものじゃないか………」

「あ、あんた達………!クロウやこの子達の悲願を盾にして、結局あたし達があんた達に従わざるを得ない状況へと仕立て上げるつもりね……!」

マキアスは疲れた表情で肩を落とし、サラは怒りの表情でレンを睨みつけ

「クスクス、レンは当然の事を言っただけよ?―――それじゃ、次は特務部隊の指揮下に入った場合のメリットとデメリットを説明してあげるわ♪」

サラの睨みに全く臆することなく軽く流したレンは小悪魔な笑みを浮かべて説明を再開した―――――








 
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